《クラス転移、間違えました。 - カードバトルで魔王退治!? -》第7話「宮殿の中へ」

「……ということがあったんデスよ! デス子達は激しいドラゴンの猛攻に耐え、命からがらこの場にたどり著いたんデス!」

「今の話を聞いた限りだと、皆がしていたのは驚くことと、お茶を飲んでいたことだけのような気がするが……」

「まあ細かいことは気にするなデス。デス子は噓偽りなく話したデスから、聞き足りない部分があれば他の人たちに聞いてみれば良いデス」

「うーんにわかには信じがたいが、噓を言っているようには見えんな。あの宮殿も本みたいだし」

瀬奈は窓の外にそびえる宮殿を一瞥する。ここがどこかは分からないが、なくとも修學旅行の目的地ではないことは確かだ。取り敢えずこのバスの中には自分達しか居ないようだし、すぐにみんなと合流した方が良さそうだ。右も左も分からない場所で迷子とか、考えただけでゾッとする。

「ところで、皆はあの宮殿の中に居るということで良いのか?」

「そうデス。瀬奈ちゃん以外に眠っていた人らは全員起きたデスから、後はデス子たちだけデスね」

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「貴様が、私を起こしにきてくれたのか? ……一何を考えてる?」

瀬奈は一切信用ならない悪友に疑の目を向ける。何か盜まれたがないか、カバンの中から財布やカードケースなどを取り出して確認し、何も盜られていないと理解しホッとで下ろす。

「心外デスよ瀬奈ちゃん、デス子何にも盜ってないデス。確かに盜ろうとはしたデスが……」

「盜ろうとはしたんかいっ」

「とにかく一度外へ出るデスよ。ここがどこか分からない以上、みんなと一緒に居た方が安全デス!」

「ああ。……しかし、私は闇の力をこのに宿す者。あのような聖なるに包まれし天使共の拠點に足を踏みれるのは、大変な危険が伴う訳で……」

「何この後に及んでヘタレてるんデスかっ! ボサッとしてるなら置いてくデスよ!」

「行くしかないわね、もう」

瀬奈は覚悟を決めて座席から立ち上がる。何が待ちけてるにせよ、このまま留まっているという選択肢はない。

何かの役に立つかもしれないので、一応旅行カバンは持って行くことにした。と言っても、瀬奈の持ちは著替えや化粧品、タオルやシャンプーなど旅行時に必要な最低限のしかっていないので、本當に何の役に立つか分からないのだが……。

「……待てよ。そういえば辺銀デス子、貴様盜みを行うためのアイテムを幾つか持ち込んでいたよな?」

「んっ? ああ、確かに持ってきてるデスね」

「何か使えそうなは無いのか? その……護用の武とか」

「う〜〜ん一応、ロープを切るためのナイフなどはあるデスが。……それを構えたところであのドラゴンには太刀打ち出來ないと思うデスよ?」

「まあ、私はそのドラゴンを認識していないのだがな」

念のため、デス子の持ちも確認する。デス子のカバンの中には懐中電燈に手袋、鍵付きロープや黒い全タイツなど盜みに役立ちそうな道が詰め込まれていた。

しかしその代わりというか、本來旅行に必要そうなは著替え以外は見當たらない。

「……これだけか? 盜みの道以外ほとんどってないような気がするが……」

「問題無しデス! デス子化粧とかしないデスので」

「仮にも子高校生がそれってどうなの?」

「逆にデス子は、瀬奈ちゃんがだしなみに気を使うというのが驚きデス。元ぼっちのくせに」

「ぼっち言うな! 私だって高校生だし、おしゃれくらい気を使うわよ。……だらしない奴だと思われるのも嫌だし」

「それはみんなに対してデスか? それともぉ〜、特定の誰かに対してデスか?? 例えばぁ〜……」

「ああ知らんっ!! 下手に私の絶対不可侵領域プライベートに足を踏みれるな! 呪い殺すぞ!!」

デス子は顔を真っ赤にして取りす瀬奈が可かったので、軽く"キュン死"しそうになる。

それから瀬奈はデス子の持ちを調べて、自分でも使えそうなアイテムは無いかと漁っていた。すると、一つ気になるものを探り當てた。

それは、黒いボディに特徴的な赤いレンズ、一見変わった雙眼鏡に見えるそのを、瀬奈は目を瞬かせてまじまじと見つめる。

「おおっ、これって暗視ゴーグル!? 凄い、本初めて見た!!」

瀬奈は暗視ゴーグルを裝著してみる。ガチャガチャとしまごつきながらゴーグルを固定し、周囲を見渡そうとするがまだが昇っているので視界は真っ白で何も見えない。

瀬奈は、おそらくデス子が居るであろう方に振り向き、今の姿を見せびらかしてみる。

「どうかな?」

「うん。客観的に見て分かったデスが、やっぱりそのゴーグル"ダサい"デスね」

「ダサい!? 辺銀デス子、貴様このかっこいいゴーグルの魅力が分からんのか!? 分からないのに持っているのか!?」

「いや別にかっこいいから使っている訳ではないデスから。それに全然かっこよくないデス。目の所飛び出てるし」

「これ借りてもいいかな?」

「う〜ん……、まあデス子は夜目が利く方なので無くてもそんなに困らないデスし。良いデスよ、でも後でちゃんと返すデス」

デス子から許可を貰って、瀬奈は暗視ゴーグルをウキウキと自分のカバンに詰め込んだ。

さて、持ちを充実させた瀬奈はようやくバスの外へ足を踏み出していった。バスの向こう側にはやはり宮殿があって、宮殿の正面には巨大なゲートと扉が設置されている。

「勝手に開けて良いの?」

「良いんじゃないですか?」

「これ、召使いが道案とかしてくれないのかな?」

「さあ……、デス子達が最初にった限りだと、そういう人達は見當たらなかったデスね」

立ち止まっていても仕方がないので、瀬奈とデス子は大きな扉を2人で開いた。

宮殿の中にるとそこはロビーとなっており、裝は外観に負けないくらい高価そうな裝飾品が飾られていた。壁には絵畫、テーブルには骨董品や置などが幾つも並べらている。

瀬奈はお寶だらけのこんな場所で、デス子が金品を漁らないか心配になるが、意外にもデス子は大人しく宮殿の奧へ突き進んでいった。

「おい、辺銀デス子。いつもなら近所の館の絵畫を贋作とすり替えたり、校長の分厚い財布をくすねたりする貴様が何故こんなに大人しい。まさか偽者か!?」

「いや瀬奈ちゃん。確かにデス子は金にがめつい一面があるのは認めるデスが、流石に『PTO』くらい弁えるデスよ?」

「堂々と噓をつくな。祖父の葬式に産の一つである金の延べ棒を盜もうとしたという逸話はクラスでもっぱらの噂だぞ!」

「あれは金の包み紙で出來た『チョコ』だったから、結局盜まなかったデス。お婆ちゃんが普通にくれました」

デス子は軽く呟いて、壁付近に置かれた大きな壺をひょいと持ち上げた。そして在ろう事か、その壺を暴な手付きでガンガン叩き出したのだ。

瀬奈は一瞬張したが、かなり強い衝撃をけているはずの壺は傷一つ付かない様子を見て、首を傾げた。

「これ、偽デスよ。本の壺はこんなに軽くて丈夫じゃないデス」

「なに?」

デス子が調べたところ、この宮殿にある骨董品や絵畫などは全て偽であり、裝飾品も安い素材で作られたばかりだそうだ。

何故こんな見栄を張った飾り付けをしているのかは謎だが、なくともここにデス子が気にるお寶は無い。デス子は、見て分かるくらいに、肩を落としていた。

ロビーを抜けて階段を上り、通路まっすぐを歩いて行くとまた大きな扉が現れた。

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