《にヲタクという誇りを掲げて》第3節/のヲタクという誇りを暴かれて
「おい......」
「ああ......」
「噓だろ、何でここにいるんだよ、お嬢様が」
なんとあの玲花れいかお嬢様がラノベの棚を見つめてじっと立っている。
マジかよ、あの玲花れいかお嬢様がラノベを?
「うーん、この人は容が(ブツブツ)」
どうやらラノベの品評をしているらしい。
お嬢様がねぇ......何かウラがありそうだな。
「かかわらない方が良さそうだ......あれはいくらなんでも不気味すぎるし、俺らのナワバリをこうも荒らされちゃあ、な?」
ミキと共に素早く同人誌の棚に移してを潛める。
この店の棚の配置からして、れじがわにこちらがよらなければすらちがうことはないだろう。
たのむ、早く僕らのナワバリから出てってくれ! と、そんな願いを込めて念を送る。
だがしかし
お嬢様はくるりと右向け右の制を取り、回れ右した方向にあるレジではなく、この同人誌コーナーに突してきたのだ。
「......!?」
「ちょっ、ミキっ!?」
まるでとち狂ったかのような速さでCDコーナーへと逃げていくミキ。
そんな彼をお嬢様は眠たげに見つめながら言い放った。
「小田くん。貴方、『ヲタク』だったのね」
そのたった一言が、僕の脳で雷鳴のように響き、の至る所でけたましくリピート再生された。
けた衝撃に耐えうるメンタルを持っていなかった僕は、目の前のお嬢様には目もくれず、一目散に上層階の本屋に逃げ込んだのだった。
りんご
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