《田中と山田》「田中」と『山田』その20

「田中」と『山田』その20

『なんたかんだで20話ってすごい!』

「話って程文字數無いけどな。」

『20話にちなんでなんか特別なことしようぜ!』

「…特別な事?」

そうだなと同意しようとした山田は口を開きかけたまま止まった。自分のすぐ目の前に田中の顔がある。どきんと心臓が跳ねる。切れ長の一重瞼がこちらを覗いている。一瞬驚いた後なぜか彼の顔をよく見たいと思った。

「…離れないのか。」

んー驚いたけどさ、なんか改めて田中の顔はあんまり見た事が無かったなって思って。

この機會にじっくり見させてもらうと山田は思ったことをそのまま話した。他意は無い、純粋な興味。

それが誰を落膽させているかを彼は知らないし、その誰かはいまだ一歩も踏み出せず自分を抑え続けている。

「お前は頭悪くてもはあるよな。」

『田中は頭良くてかっこいいな。』

(…俺はお前の方が羨ましいよ。)

思ったことをそのまま言ってしまうのは素直とも愚かとも言える。けれどおしい。

(言える訳ないけどな。)

傷つけることで、傷つきたくない。

自分は臆病だ。

ー20回目のベーコンレタスー

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