《高一の俺に同い年の娘ができました。》三話 タイムスリップと呼び方

高一の俺に同い年の娘ができました。

こんなとても現実的とはかけ離れた事実を何とか飲み込んだ俺は、とりあえず彼、俺の娘に問いかけてみる。

とにかくしでも報がしい、この子が俺の娘と理解はしたが、頭は100パーセント納得したわけではない。ただ、なんというか、心?というか、頭とは違うところでこの子が自分の娘だとれてしまった。

この子は間違いなく俺の娘だ。娘は俺のものだ!誰にもわたさん!!!なんてのは、し早いか。いつかやろう。うん……

それはとにかく今はこの子のことをしでも多く知るのが第一だ。

「すこし聞いてもいいかな?」

「おっ、なんだね?なんでも聞きなさい」

「えーと、いろいろ聞きたいんだけど、とりあえず、君は未來から來た俺の娘、ってことは本當ってことでいいんだね?」

「もっちろ~ん。さっきからそう言ってるよーに私はお父さんの娘なのです!今からだいたい25年くらい未來から來ました」

「なるほど、じゃあどうやってここに來た?」

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「あ~、それはねー」

途端にむずかしい顔をする娘、どうしたのだろうか。

「どうした?言えないのか?」

「そのね、なんというかイマイチ覚えてないの」

「はぁ?」

し剣呑なじの聲が出てしまった。いかんいかん。相手は娘だぞ。

娘はし怖がってしまったようで、を震わすと気まずそうに答えてきた。

「いや、覚えてないっていうか、知らないっていうか、なんていうか、気づいたなここにいたの」

「リアリー?」

「イエス、リアリー」

なんてこった、來た方法も原因もわからならないだと?それじゃあ帰る方法もわからないってか。

「なんてこった」

「ごめんなさい」

そう言ってシュンとうなだれる。気分が下がっているからか、ポニーテールのしばっている位置がさっきよりし下がっている気がする。あれはどうなってるんだ?

それよりもいかん、娘が落ち込んでしまった。

「ただなんか、夢のなかで神様?みたいな人にあってそれで気が付いたらここにいたってわけ」

「神様ってマジか。タイムマシンとかできたとかじゃないのか」

「マジだよ。ていうか、たかが25年くらいでそんなスーパーすごい発明ができるわけないじゃん」

マジか。タイムマシンはできていないのか、し殘念だ。

「神様って言ってもいまいち顔とか覚えてないけど。なんか、お父さんがよく見てたっていうネット小説みたいな雰囲気のところに連れられてきたってかんじかな」

なるほど、誰にも言ってないのに俺の趣味が知られているようだ。さすが娘だな。しかし、25年も経っているのにネット小説の世界はほとんど変わってないってことか。

「なるほど、じゃあここに來た理由も?」

「うん。殘念ながらわからないってことです」

なるほど。

「じゃあ、もしかして、未來に帰る方法も…」

「うん…」

「そうか」

まぁしょうがない。彼も巻き込まれた被害者ってわけだしな。できれば早いうちに帰れる方法を見つけてやりたいが、俺にそんな心當たりなんてないし、神様なんてこと言われたら、俺が手助けすることなんて不可能だろう。々厳しい言い方だが自分で頑張ってもらうしかない。

うん、と大きくうなずくと今度は別の質問をしてみる。

「じゃあ聞くが、えっと君は…」

「ねぇお父様」

「なんだ娘様よ」

「実の娘相手に君ってのはなんか変だよね、奏でいいよ、ていうかむしろそう呼んで!」

マジですか、たしかにこの子は俺の娘だ。

娘なのだが……目の前のの子は未來の自分の娘とは言え見た目は同年代のの子だ。しかもこの子めっちゃ可い、めっちゃという言葉では足りない、この子がアイドルデビューなんてことをした日には日本に革命がおこるそう斷言できるほどすさまじい魅力を持っている。そんな子にいきなり名前呼びなんてこの俺には々ハードルが高い。

「えーと…」

「うん?どうしたの?」

「いや、その…」

「ははーん、お父さん、もしかして照れてるね?」

「なっ、ばか、ちげぇよ」

そう言ってにやにやした顔で俺の顔をのぞき込んで來る。

くそっ、この顔の顔腹立つな!腹立つがなぜか憎めない、もしかしてこれが父ってやつか?それとも単純にこの子の魅力に俺が太刀打ちできてないだけか?

「まぁ、私は見ての通りとびっきりのだし、まだ初心なお父さんが照れても仕方がないね」

そう言って、どやぁ、と言ってくるこの子だがよく見るとし顔が赤い、もしかして照れているのか?

ちなみにこの子のポニーテール、もうカナデテールと名付けよう、カナデテールはものすごい勢いで左右に振り回されている。

しかし、意外な弱點を見つけたな々お返ししてやろう、

「俺は照れてなんかないぞ、むしろ照れてるのはそっちじゃないか?」

「なっ!」

「違うのか?そうなら、もう一度俺のことをパパって言ってみなさい」

「うっ、それは…」

そう言って顔を真っ赤にする、やっぱり照れてたか。

「ほらほら言ってみ、パパって呼んでみ?」

「うぅ…」

と、恥ずかしそうにをよじらせるだけで何も言わない。なんかすごい危ないことをやっている気分。もしこの景が誰かに見られたら俺はひきこもることになりそうだ。

いつまでたっても、もじもじして言わないので、し発破をかけてみよう。

「ほらほら、パパって呼んだら俺も奏って呼ぶから」

「本當?」

「ほんとほんと」

気安くそういうと娘はし考えるようなポーズをとった。しまった、これじゃ不公平かな?気持ち悪いとか思われてなければいいんだが、

「うーん…」

「ごめん、そんな嫌だったらいぇらなくていいから」

「いや、いい!やるよ!」

そう言ってスーッと息を吸ってから、かっと目を開き、

「パッ、パパ!!」

「お、おう…」

やばいなんだ今のは、じたことのないと興が混じった凄まじいが押し寄せてくるぞ。

これは、くるな。クセになってしまう。

「はいじゃあ行ったから今度はお父さんの番!!」

「わかったよ」

「ほら、早く早く~!」

「スーハー、よし行くぞ!」

「ばっちこい!!」

「奏!」

「ほ、ほわ~!ほわ~~!!」

ぶんぶんと腕を振り回し、部屋を駆け回る。もちろんカナデテールも絶好調だ。

ようやく走り終わると、軽く息を切らして俺に向かってきた。

「はーはー、これ、いいね。こうなんか、にくるものがある」

「そうだな、同だ。娘よ」

「じゃあこれからはこう呼び合うってことで」

「ちょっと待て、これからずっとなんて聞いてないぞ」

「えっ、ダメなの?」

そう言ってウルウルした目で訴えかけてくる。

うっ、この顔には弱い。というか、娘にこんな顔されて勝てる父親はこの世にはいないと思う。

娘というのは、父親にとってこの世で一番の存在、天使であり、また逆に絶対に頭の上がらない存在、小悪魔でもあるというわけだ。

そんな世界中の父親たちが絶対勝てない娘という最強の相手にまだ父親歴數時間ほどの高校生の俺が勝てるわけがない。

父親という生きはかくも娘という生にはめっぽう弱いのである…

「わかった、わかったからそんな顔しないでくれ」

「本當!?」

そう言ってくる奏の顔はすっきりとした笑顔だった。おのれ、父親をだましたな。

こんな純粋な父親?をだますなんて、親の顔が見てみたいわ!!

あっ、俺だった。

「じゃあこれからは私のことを奏って呼ぶことにけって~い」

「はあ、まぁしょうがないか…」

「じゃあ、これからもよろしくねお父さん」

ちょっと待て。

「ちょっと待て、俺は名前で呼んだのに、なんで俺のことをパパと呼ばない」

「えっ、だって私はこれからずっとなんて言ってないじゃん」

「それはせこいだろ」

「せこくありませ~ん。お父さんはお父さんです~」

なっ、またもやだまされた……だと……!?おのれ、この子は!し期待したのに、期待してたのに!!

なぜか自然に涙が出そうになってしまった。くそっ、これが子離れってやつか、つらいぜ!

「あれ?お父さんもしかして泣いてる?」

「なっ、泣いてねーし!」

ちがうんだ、これは泣いていたわけじゃない!これは目から大きな粒が出てきただけだ。

俺の口に流れ込んできた粒は、切ない海の味だった。

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