《神は思った。人類の7割をアホにして、楽しく見守ろうと》俺は思った。世間は狹いのだと

「いらっしゃいませ!!  あっ、工藤くん。2ヶ月ぶりくらいだね。今日もカットだけでいいよね?」

「はい、カットだけでお願いします」

「じゃあ、髪の一回流しますねー」

そう言われ、工藤  蓮はシャンプー臺へと案される。ここの理容室は小さい頃からの行きつけで、いつもお世話になっている。

そして、工藤の散髪を擔當してくれるのは、數ないデコの理解者である藤田  茜あかねさんでる。それ故、カットは藤田さん以外頼まない。それは例え、同じ店の店員さんでも。

と言うのも、過去一度だけ藤田さんの予約が取れず別の店員さんカットしてもらった事がある。その時工藤を擔當してくれた人に、前髪は切り過ぎないようと何度も伝えたのにも関わらず、思いっきり前髪をかっさらって行った事を今でも覚えている。

それからの1ヶ月はまさに地獄だった。どうぞ見てくださいと言わんばかりに主張する俺の広いデコ。廊下ですれ違う奴らの目線を自然と集めるデコカリスマ。これは中學時代の黒歴史ナンバーワンに君臨している。

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そんな苦い思い出だが、高校に學してからじゃなく良かったとつくづく思う。特に高2、小早川の前であんな髪型だと弄りのネタ以外の何者でもないからな。

そして現在では、藤田さんが働くこの理容室に2ヶ月に1度程のペースでカットしてもらっていると言う訳だ。

「工藤くん、今回もいつも通りでいいんだよね?」

「はい、いつもので」

工藤が言う『いつもの』とは、前髪を切り過ぎず、左右と後ろだけをカットすると言うもの。い頃からから通っているため『いつもの』で伝わり、藤田さんもそれをけ取るのだ。

そして、髪を濡らし終え本題の散髪をり、それと同時にたわいもない會話も始まる

「工藤くん、最近學校どう?  弄ってくる人と仲良くなれた?」

「うーん……あんまりですかね…」

『弄ってくる人』それは十中八九、小早川  優である。

時はし遡り、學年が一つ上にあがり 慌ただしい日常にもなれた五月。2年生になり、初めて髪を切りに行った時に今回のように藤田さんと他もない話をしていたのだ。

その時藤田さんが『新しいクラスどう? クラスの人とはいいじ?』と聞いてきたので『クラスの人に弄られて大変なんですよ』と、言う事を藤田さんに話したため、名前は知らずも小早川の存在を知っているのだ。

「ふ〜ん。あんまりか……でも2ヶ月前に來た時よりは、表が明るくなった気がするけど?」

「明るくなったというより、慣れたと言うじですかね」

最初のうちは小早川からの弄りが嫌で嫌でしょうがなかったが、2ヶ月も経てば殘念ながら慣れる。

工藤の口から出た『慣れた』と言う発言に、藤田の頭の中にとある可能が浮上して來た。それは………

「工藤くん、もしかして目覚めちゃったの? Mに」だった。

工藤としては、この展開は大方予想していたが、まさか藤田さんにこんな風に言われると思わなかったので焦りを隠せない。

そんな複雑な気持ちり混じるなか、Mじゃないと伝えなければと思い咄嗟に「違います!」と相手によっては怒ってるように捉えられる言い方をしてしまった。

案の定、この工藤の言い方に藤田は怒っているのだと捉え、會話が途切れ微妙な空気が2人の間を留まり続け、ハサミで髪を切る音だけが淡々と鳴り響いてた。

そんな時、唐突に

「変なこと言ってごめんね、工藤くん」

と藤田さんが謝ってきた。工藤としては誤解を生むような言い方をしてしまった工藤自にも非があると思っているので工藤も

「いえ、俺こそ誤解を生むようなこと言ってすみません」とお互いに謝った。

お互いに謝り微妙な空気が和らいだとほぼ同時に髪を切り終わり、そこで2度目のシャンプー臺に案される。

いところはありませんかー?」

髪を洗ってる最中、これを言われるのはいつものでことで、工藤はその度に『特にないです』と答える。今回もそれは変わらず、『特にないです』と答えるつもりだ。

「そうですね、今 とても間がいので掻いてもらっていいですか?」

「「………えっ!?」」

藤田さんと工藤はしばしの沈黙の後2人同時聲を合わせた。そして、嫌なじをしつつも聲のする方へ目だけを移させる。そこには悪魔が降臨していた。

「なんで……小早川が……」

こんな言葉が口から出てくるのは當たり前だ。この理容室には小さい頃から通っているが小早川をおそらく一度も見た事がないのだ。

工藤が驚いてる一方、藤田さんは若干の揺を見せるものの特に驚いている様子はなく、寧ろ小早川とわかって安心しているようにもじられる。それはなぜかと思っていると、藤田さんと小早川の會話の容で納得した。

「優、お客さんに失禮でしょ!  ごめんね工藤くん」

「大丈夫だよおばさん。蓮くんはこのくらいじゃ足りないから」

「おば……さん?」

「はい、この人は私のお母さんの妹です」

まさか、小早川 母の妹が藤田さんだったとは……驚きのあまり聲が出ない。

藤田さんはと言うと、工藤と小早川が初対面だと勘違いしているようで、2人が普通に話している事に驚いているようだ。だが、驚きも束の間、藤田さんの中である可能が浮上する

「まさか工藤くん、學校で弄ってくる人って優のこと?」

「はい……殘念ながらその通りです」

まさか優がと、開いた口が塞がらない。そして、そんな事を黙認してはならないと藤田は思った。

「こら優!  工藤くんをいじめちゃダメでしょ!ーー

この時工藤は、初めて工藤をかばってくれる人が現れたと、している。だか、そのはあっと言う間に通りすぎる

ーー優と同じクラスになってから、工藤くんのおデコがさらに広くなったんだよ!  工藤くんに謝りなさい!」

工藤はこの時知ったのだ。天然弄りストの恐ろしさを。小早川もこれを聞いて笑うのを堪えてるのが分かる。

そして、追い討ちをかけるかのように小早川が笑いを堪えながら謝ってきた。

「蓮くん……おデコを広くして……プッ…すみませんでした」

出ました。小早川の必殺技。謝罪されてるのにさらに怒りがこみ上げくるやつ。藤田さんは小早川が謝ったことによって2人が仲直りしたと思っているようで、中途半端だったシャンプーを再開し、それと同時に小早川は笑いながら待合室に戻っていた。

工藤は頭を洗われてる最中思ってしまった。世間は意外と狹いのだと。そして、は爭えないのだと。

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