これはまだ小早川  優がかった頃の話である。

小早川  優は活発な子であった。公園に連れて行けば、その場で仲良くなった子供といつまでも遊び、家にいても常に公園に連れて行けと駄々をこね、親としては嬉しい反面、大変な子供であった。

そんな優だ。夜になっても靜かなわけが無い。だが、その頃になると母は優の相手や家事やらでぐったりしている。そこで優の餌食になるのが仕事から帰ってきた父である。

だが父は父で仕事帰りという事で疲れている。それでも優が毎日お出迎えしてくれ、それは仕事で疲れきった父にはたまらなかった。

玄関を開け、靴をぎ家に上がると  タイミングよくトコトコと走りながら父を迎える聲が聞こえるてくる

「パパ〜  おかえりー」

「優〜〜  ただいまー」

そして走って來た勢いを殺さず、父の足にギュッとくっつくのだ。父はこの瞬間が幸せで、気持ち悪いほど顔がにやけている。

しかし、この幸せは今日で終わりかもしれない。いや、幸せと言えば幸せなのだが………

今日もいつもと変わらず、仕事から帰ってくると優が走ってくる。

「パパ〜  ただいまー」

「おかえりー」

ここまではいつもと同じで、毎日の日課である。

だが、ここでいつもと違う事が発生する。いつもなら足にくっついてくるのだが、今日はめがけて飛び込み、父の間を優の頭が強打する。

その瞬間、激痛が父の全を襲い、その場にひざまずく。

「だいじょぶ？」

「だっ、大丈夫だ……」

そう言い優を心配させないように笑顔を作る。その顔を見た優も安心したようでいつも元気な優に戻っていた。

そして翌日

玄関にり「ただいま」を言うと、いつものようにトコトコ走って來た。流石に今日は足に向かってくるだろう。そう思っていた父であったが、その予想は外れる事になる。

なんと今日も間めがけて飛んで來たのだ。いくら父でも間に攻撃耐がついてる訳でもなく、またも間を抑えひざまずく。そして優は昨日のように「だいじょぶ？」と聞いてくる。その優は言葉に父は『なんていい娘だ。きっと今回も偶々  タ○タ○にあっただけだろう』そう思い、顔をあげると  そこにはとても良い笑顔の優が立っていた。

のちに父はその時の心をこう語る。

〈間に頭をぶつけ笑顔で謝る姿に、Sの才能を見た〉と