《こんにちは!この世界の勇者を倒しに來ました!〜『世界』を旅する転生旅行記〜》さあ、天敵です!!
バサバサと鳥が飛ぶ音で目が覚める。
今日はよく眠れた。前回はホームレス生活だったからなあ。頭がスッキリするね。
さて、今日は報収集頑張りますか!
とりあえず宿の店主に勇者の話を聞いてみるとしよう。
「あのー。すいません。私田舎から來た者なんで、勇者さんに憧れてここまで來たんです!良かったら勇者さんの話を聞かせてください!」
「おお、そうかいそうかい。なら、最近聞いた話でもしてやろう。」
そう言うと、嬉しそうに店主が話し始めた。
「先日、隣街に降り立った魔王の手先がいたんだよ。そいつがまた大きなドラゴンでな、街の腕利きじゃあ歯が立たなかったんだ。そんな時勇者様が現れてな、そのドラゴンを素手で倒したって言うんだ。な?凄いだろ!?」
「へ、へぇー!!勇者様ってやっぱりカッコいいですね!!」
いや、どんな化けだよ...ちょっと引くわ。
大方能力は強化とかだろうな。
「そして今日は、平原に現れた様子のおかしなゴブリンを倒しに行くそうなんだ。だから、會うなら帰って來てからにしな。」
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「本當ですか!?」
「しかし、どうも今回の魔は魔王の手先では無いようなんだ...人に危害を加える訳じゃ無いんだが、安全を確保する為に倒しに行くそうだ。」
魔王の手下じゃないって言うのが怖いな...誰かの仕業なのだろうか。いや、そんな事考えている暇は無い。早速向かうとしよう。
さてと、平原に著いたは良いが...見ただけで分かる異常さだな。
計畫としては、店主が言っていたゴブリンとやらを見つけて近くに隠れて観察するつもりだったんだけど、平原中に棒立ちのゴブリンがいるのだ。これじゃあどこに勇者が來るかわからないじゃないか...
とりあえずゴブリンが多い所に隠れてりゃそのうち來るだろう。そう思い、近くにあった巖影に近づく。
ん?なんかゴブリン達の様子がおかしいぞ?とりあえず足を止めて周りを見渡す。なんとこの場にいる全てのゾンビが僕の方を向いているじゃないか。
まあ、見てるだけだし危険はないだろう。危害は加えないって言ってたしね。そう思い再び歩みを進めると
「「「ウォオォオォオオォォオオ!!!」」」
なんか一斉に追って來たんだけど!?なんで!?助けてっ!!
とりあえず走って逃げてみたが、四方八方ゴブリンだらけ。僕の姿を確認したゴブリン達が加わって最早逃げる場所が無かった。一ならまだしもこの數の相手は僕には無理だ。
ああ、僕はここで死ぬんだな。せめてハリ坊にもう一回會いたかったな。そんなことを考えていると全方向のゴブリンが吹っ飛んだ。
「大丈夫か!?兄ちゃん!!」
気な笑顔と共に颯爽と男が現れた。
「あ、あなたは!」
そう、昨日僕を助けてくれた男だった。
「あなたが勇者だったんですか!!」
「おう、しっかり守ってやるから安心しな!」
なんて頼もしいのだろう、あんなに沢山いたゴブリン達がドンドン倒されていく。
まさか、あの人が勇者だったなんて!!
いや、よくよく考えてみたらあの高さから落ちてきた人間を、無傷でけ止められる人が普通の人間な訳がないか。
そうこうしていると、もうゴブリン達は全滅していた。
「フウ。結構ギリギリだったな...怪我はないか?」
「はい、大丈夫です!」
こいつ、かっこ良すぎる...!!
とりあえず命は助かったようだ。
しかし、僕は気づいてしまった。この世界にはもう一人。『外の世界』からきた奴がいると。死にそうになった瞬間、走馬燈のようなを見て整理できたんだ。
さっき勇者に倒された、僕にだけ反応するゴブリン。
勇者が言っていた、落ちて來るのが『流行っている』というセリフ。
そして、うちの自稱天使と出會った時に言っていた『天使共に気づかれる前に』ってセリフ。
全てをまとめて考えると、このゴブリン達をっていたのは多分...
なんて考えていると、近くから聲が聞こえてきた。
「見つけたぞ!悪魔の手先が。天使の使徒である僕が、これ以上貴様の好きにはさせない!!」
「何!?お前は一昨日空から落ちて來た奴じゃないか!!」
ああ、やっぱりこういうことか。どうやら、僕とは立場の違う異世界人のようだ
「スキル『勇者代行』!!」
「ぐっ...なんだ!?力が抜けていく!?」
奴がスキルを発すると、勇者の顔が悪くなっていった。
スキル名から察するに、奴はこの世界の勇者になり変ったのだろう。どうやら勇者には、様々な能力補正がかかっていたようだ。
「ふふふ...これでこの世界の勇者は俺だ!!よーし。そこの用無しと共にくたばるといいさ!!」
そう言うと奴は腕をふるった。すると、さっきの倍以上の數のモンスターが現れた。
...さて、どうするか。そう思っていると勇者が聲をかけてきた。
「おい、さっきは悪魔の手先だなんだと言われていたが俺には違うってわかる。なんとかするから早く逃げるんだ!!」
本當、この人は...こんな事言われて逃げるわけないでしょ!!やるしか無い。覚悟を決めよう...!!
「勇者さん。まだスキルは使えますか...?」
「ああ、まだ使えるが...」
「実は僕、異世界から來たんです。」
「っ!?」
「実はこの世界の勇者。つまりあなたを殺す為にやって來たんですが、ちょっと事が変わりました。後で詳しい理由も話すので、今は一緒に戦ってください!!」
「仕方ない...どうせ今ここでやりあってもあいつに殺されるだけだ、良いぜ!!」
本當。お人好しだよあんたは...
そうして今度は、二人で息を合わせモンスターの群へと向かっていった...
【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔術師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔術の探求をしたいだけなのに~
---------- 書籍化決定!第1巻【10月8日(土)】発売! TOブックス公式HP他にて予約受付中です。 詳しくは作者マイページから『活動報告』をご確認下さい。 ---------- 【あらすじ】 剣術や弓術が重要視されるシルベ村に住む主人公エインズは、ただ一人魔法の可能性に心を惹かれていた。しかしシルベ村には魔法に関する豊富な知識や文化がなく、「こんな魔法があったらいいのに」と想像する毎日だった。 そんな中、シルベ村を襲撃される。その時に初めて見た敵の『魔法』は、自らの上に崩れ落ちる瓦礫の中でエインズを魅了し、心を奪った。焼野原にされたシルベ村から、隣のタス村の住民にただ一人の生き殘りとして救い出された。瓦礫から引き上げられたエインズは右腕に左腳を失い、加えて右目も失明してしまっていた。しかし身體欠陥を持ったエインズの興味関心は魔法だけだった。 タス村で2年過ごした時、村である事件が起き魔獣が跋扈する森に入ることとなった。そんな森の中でエインズの知らない魔術的要素を多く含んだ小屋を見つける。事件を無事解決し、小屋で魔術の探求を初めて2000年。魔術の探求に行き詰まり、外の世界に觸れるため森を出ると、魔神として崇められる存在になっていた。そんなことに気づかずエインズは自分の好きなままに外の世界で魔術の探求に勤しむのであった。 2021.12.22現在 月間総合ランキング2位 2021.12.24現在 月間総合ランキング1位
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