《うちの姉ちゃんはこわい》続・ハードトレーニング

「サリ姉、大丈夫?」

「……余計なことすんな」

そんな……。サリ姉が心配だったから、おれは……。

「でも、まぁ、ハルにしては気が利くな。……ありがとう」

視線をそらしながら、サリ姉はつぶやくように言った。最後の方はすごくか細い聲だったけど。おれは聞き逃さなかった。

疲れて顔が赤くなってるのもあって、今日のサリ姉はふつうにかわいかった。

「ふー、続き、するか」

「えっ!? まだやるの?」

「當たり前だろ。足、押さえて」

言われるがまま、膝を曲げて仰向けに寢そべるサリ姉の足を押さえた。

すると、上を起こしては戻し、起こしては戻しを繰り返す。

起き上がってくるときに、顔が近くなるのが、ちょっとドキッとする。しかも起き上がるたびに、がぷるんと揺れる。マリ姉ほどじゃないけど、サリ姉もじゅうぶん大きい。

サリ姉はふつうにしてればかわいいんだ。ただ、暴力的じゃなきゃ。

「……どこ見てんの?」

視線に気づかれてしまった。

ヤバい、毆られる……! 咄嗟に手を離して頭を押さえると、お腹を蹴り飛ばされた。

「手を離すな。もう一回押さえろ」

おれは渋々言うとおりにする。

さっき蹴られた時に、背中をぶつけたところが痛い。お腹も痛い。

暴力的じゃなきゃ、かわいいのに……。

「……よし、もういいぞ」

やっと解放されて、おれはへなへなとその場に崩れるように座り込む。

「あたしはまだやるんだよ。ハルの出番は終わりだから、居ても邪魔だし、出てって」

ひどい言い草だ。おれをなんだと思ってるんだ。

おれはサリ姉の道じゃないんだぞ。

もう二度と協力なんかしてやらないからな。

何も、言えなかった。

くそう、……サリ姉のバカ。

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