《うちの姉ちゃんはこわい》第一次お姉ちゃん會議 第二部

「ところでさ、姉ちゃん今年のQS率どんくらい?」

子野球におけるQS《クオリティスタート》とは、先発が5イニング以上投げ、かつ3自責點以に抑えたことを言う。

QS率が高い投手ほど優秀というのは言わずもがな。

「う……、70ちょいくらい……」

「ふふん、あたしなんか、100パーだから。あ、もう空だ」

「はい。そりゃ、桜莉菜はここまで無失點なんだからそうでしょうよ」

「さんきゅ。そういう柚莉菜はどうなんだよ?」

「私、リリーフだし。姉さん、新しいの開けていいですか?」

「いいわよ。じゃあ桜莉菜、奪三振率はどうなのかしら?」

「それは……6.2か3くらい……」

「私は8.7よ。やっぱ三振たくさん取るような、魅せるプレーができないとねぇ。柚莉菜、私にもちょうだい?」

「はい、どうぞ。ちなみに姉さん、WHIPはいくらです?」

WHIPとは、一回あたりにどれだけのランナーを出すかを表すもの。WHIPが低ければ、それだけ點も取られにくいということ。

「……1.6」

「えっ、マジで? 1.6はヤバくない? あたしだって1.1だよ? っていうかこれうまっ」

「え、どれ? 言いだしっぺの柚莉菜はどうなのよ」

「これです。ふふっ、驚かないでくださいね。私、0.6なんです。奪三振率は8.9くらいですね」

「あ、奪三振率も負けた……」

「まぁまぁ、姉さんはまだまだ試合ありますし」

「防率もどうにかしないとなぁ~」

「この前6失點で落ち込んでたもんね。ハルにめてもらってたし。めっちゃ面白かった」

「桜莉菜、あんまり姉さんをいじめないで。桜莉菜だって、プロに行ったらボコボコにされるかもなんだから」

「はいはい。柚莉菜は高校どうすんの? あたしと同じ駒越? それとも姉ちゃんと同じ霧島大三高?」

「んー、まだ考え中。私にとっては、野球だけが大事じゃないから。あ、最後の一個、もらっていいですか?」

「いいよ。お菓子も大事だもんね♪」

「そういうことじゃないですっ」

三人のおやつパーティーは、この後も続いた。あれ、會議ってなんだっけ。

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