《うちの姉ちゃんはこわい》お著替えタイム

「じゃあ、ハルちゃん、全部いで?」

帰ってきて第一聲がこれだ。

「え……」

がないなら、がしちゃうよ……?」

そんな風にっぽく言わないでくれ。余計にドキドキする。

「わ、わかった、ぐからっ」

ユリ姉に見られながら、一つずついでいく。

サリ姉も、ユリ姉のベッドに橫になりながら、その様子を傍観していた。

「まずはこれね」

淡いオレンジのパンツと、薄手のシャツのようなものを渡された。タンクトップよりもひもみたいになっていて、キャミソールというらしい。

……うわ、すごいぴっちりする。変なじ。

「次はこれ」

淡い水のブラウスと、白のミニスカート。

そしてその上に、デニム生地のジャケットを羽織る。これはサリ姉のチョイスだ。

「う〜ん! このままでもかわいいねぇ〜。こっちおいで、しお化粧してあげる」

言われるまま、薄く化粧され、黒く長いウィッグを被せられた。

「はぁ……! かわいい〜!!」

ユリ姉に抱きつかれ、頬ずりされる。

「本當、ハルじゃないみたい」

サリ姉までそんなことを言っている。

でも、おれはそろそろ限界だった。

「……ユリ姉、もうやめてよ」

「どうして?」

當のユリ姉は、おれの様子など、関心がないようだった。

「おれが男だって、わかってるでしょ。おれのこと、しは考えてくれてるの?」

「でも、こんなにかわいいのに……」

「だからっ! ……ユリ姉なんて、大っ嫌いだ!」

おれはそのままユリ姉の部屋を飛び出した。

マリ姉の部屋の扉を開けると、マリ姉はびっくりしたように、けれども優しくおれを迎えれてくれた。

「あら、あなた確か、柚莉菜の……」

「ごめん……。マリ姉、おれなんだ」

おれはウィッグを外してみせる。と、マリ姉は目を丸くした。

「なんでそんな格好? かわいいけど」

そうは言っていても、おれの様子がいつもと違うと気づいたのか、いつもみたいに抱きついてきたりはしなかった。

「マリ姉……おれ、初めてユリ姉が嫌いになりそうだよ……」

「……何があったの?」

マリ姉はベッドに腰掛け、隣に座るように促す。それに従って、マリ姉の隣に腰掛けた。

「実は……」

これまでのあらましを説明すると、マリ姉は優しく抱きしめてくれた。

「そっか。辛かったね……」

今日のマリ姉も、エロくない。

マリ姉が落ち込んでいたとき、おれがしてあげたみたいに、優しく、抱きしめてくれたんだ。

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