《うちの姉ちゃんはこわい》と男の約束

「おい、ハル。ちょっと來い」

やれやれ、今度はなんだ……。

「座れ」

サリ姉の部屋にるなり、床に座らされた。

え……、怒られるのか? 何も心當たりないんだけど。

あるとすれば、この前ユリ姉を素っにしたことだけど、それでサリ姉が怒ったりはしないはず……。

すると、サリ姉もおれの向かいに座った。

「この前はあたしも調子に乗りすぎた。ごめん」

「別に、謝らなくても……」

サリ姉は暴力的でも、そういうところはしっかりしている。そこはおれも見習いたい。

「それで、本題なんだけど、明日からあたしは全國大會だから、しばらく留守にする。母さんもいつ帰ってくるかわからない。だから、何かあった時は頼むよ」

サリ姉は普段、そんな気持ちでいるんだ。そして、おれが、サリ姉の代わりに……。

「なんでおれに……?」

「姉ちゃんはああ見えてそそっかしいし、柚莉菜はたぶん、立ち直るのにまだ時間がかかる。だから、お前を一人前の男と見込んで、だ。……できるね?」

一人前の男……。おれが……。

「……うん。男と男の約束だね」

上からげんこつが降ってきた。

「あたしはだ、バカ」

「サリ姉」

「ん?」

「頑張って!」

「ああ。どこにも負けないから、見てなって」

サリ姉は暴力的だけど、カッコいい。

この人ならって思える何かがある。こういうのを、カリスマって言うのかもしれない。

そしておれは、この人に信頼されている。期待されている。

それに、応えたい。

「ま、でもまだ小學生だし、そんなに期待はしてないから」

だから雰囲気ぶち壊しだって!

「でも、ほっとくとあの二人、病んじゃうから。ホント、よろしくね」

「うん。わかった」

と男の約束だ。

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