《うちの姉ちゃんはこわい》プールに行きたい

おれはサリ姉とある約束をしていた。

もしサリ姉が全國大會で優勝することができたら、一つお願いを聞いてくれる、というもの。ここに“何でも”とついていないのがミソなのだろう。

“何でもする”と言った者がどういう目に遭ったのか、サリ姉も知っているからなのだろうか。

「サリ姉、例の件なんだけど……」

「なんだ?」

「プールに行きたい」

全國大會も終わった。ということは、もう夏真っ盛りだ。毎日暑くてうっとうしいし、気晴らしにはもってこいだ。

「はぁ? そんなの勝手に行けばいいじゃん」

「みんなで行こうよ。それに、その辺のプールじゃなくて、大きいところがいいんだよ」

「いいけど、それは姉ちゃんにも聞いてみないとな。車運転できるの姉ちゃんしかいないし」

「じゃあマリ姉にはサリ姉が言っといて。おれはユリ姉に言っとくから」

「おい、何楽そうな方取ってんだよ」

バレたか……。

「いやだって、お願い聞いてくれるんでしょ……?」

「ちっ、まぁいい。さっさと聞いてこい」

おれはサリ姉の部屋を出て、ユリ姉のところへ行くと、ユリ姉は夏休みの宿題を片づけているところだった。

あ、おれやってねぇや……ま、いっか。

「ユリ姉、プール行かない?」

「なんで?」

あれ、行くって言ってくれないんだ。

「せっかくだし、みんなで大きいとこ行こうって、サリ姉と話してて」

「いつ行くの?」

「わかんないけど……行きたくないの?」

「だって……、今型自信ないんだもん」

なんだ、そんなことか。

「そんなことないよ。この前見たじだったら全然大丈夫だって」

「もう、いい加減忘れてよ!」

「行くでしょ?」

「わかった、行くよ。だから、お願いだからっ、あのことは忘れて。なかったことにして」

「ヤだよ」

「なんでよっ」

実はあれ以降も、たびたび裝させられている。もちろん、許可制にはなっているが。

ただ、暑い日はスカートの方が涼しいので、案外助かっていたりする。

「ユリ姉の水著姿、期待してるからね」

「もう、バカぁ~!」

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