《うちの姉ちゃんはこわい》ユリ姉のライバル

「えっ? あ、高瀬たかせさん!?」

「こんなところで會うなんてね。デート?」

ユリ姉が高瀬さんと呼んだ彼は、ユリ姉の腕にしがみつくおれをちらと見て、そう言った。

を浴びると茶く見える、サイドアップの。ユリ姉と同い年にしては、背も低めだし、も殘念だ。

それにしても、高瀬って、どっかで聞いたような……。

「違うよ~。この子は弟のはる。今日は家族で來てるの。高瀬さんは?」

「わたしは友達と來てるの」

「舞祈まき、どうかしたの?」

高瀬さんの後ろから、彼よりも背の高くても大きい黒髪のが現れた。

「あ、永妻さん!」

「平沢ひらさわさん、久しぶり~」

どうやら三人とも知り合いらしい。おれだけ蚊帳の外があるのはつらい。

「ハルちゃん、こっちは高瀬舞祈ちゃんで、こっちが平沢月瀬つきせちゃん。シニアの友達なんだ」

わかったから、外でハルちゃんはやめてくれよ。

「みんなチームはバラバラだけどね」

「あ、思い出した。高瀬舞祈って、ユリ姉の決勝の相手じゃん!」

ユリ姉のいる天竜てんりゅうシニアの全國行きをかけた決勝戦の相手。それが瀧上たきがみシニアの高瀬舞祈だったはずだ。

ユリ姉はそこで負けて、全國には行けなかった。

「あら、わたしのこと知ってたんだね。いずれプロになるんだから、覚えといて損はないわよ?」

「プロに!? すげぇー!」

「舞祈、純粋な子を誑かしちゃダメだよ」

「誑かしてないって。ホントになるもん」

「はいはい」

月瀬さんは適當にあしらっているが、おれにはわかる。舞祈さんはプロになる人だ。なんとなくだけど、そんな気がする。

「じゃあ、わたしたちはここで上がるから、またね」

「今度は高校球として會いましょう」

「う、うん。またね」

ユリ姉にも、あんな友達がいたんだなぁ。友達っていうか、ライバルっていうか。

「ユリ姉のライバルなの? あの人たち」

「あはは、私なんて全然。だって、勝てる気がしないもん」

そう言って笑ってみせるユリ姉の目は、なんだか寂しそうでもあった。

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