《明日流星群が見れるそうです。》流星群
『ジリリリリリリリリリリリ!!!!』
「う、うぅぅ……。」
幸せな時間にいきなり終止符を打たれた俺は重たい瞼(まぶた)をこじ開け、永遠になり続ける目覚まし時計の音を消す。時計の針は午前7時を指していた。
「今日土曜日だろ?また目覚まし鳴りやがって…そろそろ買い換え時かな…?」
ゆっくりとを起こし、のろのろと支度を始める。
歯磨きをしながらシャワーを浴び、頭を乾かす。テレビの電源をつけて昨晩作ったカレーを食べる。
「べちゃべちゃだな…」
料理は苦手だ。
「こんなことなら母さんに教えてもらえばよかった」
今更後悔しても遅いのだか、料理を作る度に思ってしまう。テレビのニュースは今日20年振りの流星群が見えるとかで結構盛り上がってる。
食を洗い、一通り部屋の掃除を済ませる。洗濯を干そうかとベランダに出ようとしたとき、電話が鳴った。
『おはよう!ながちゃん!』
電話を取るなり勢いよく話しかけてきた相手は
『安本 優斗 (やすもと ゆうと)』
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稚園からの馴染みで、お互いをあだ名で呼び合うほど仲がいい。頼りになる良い奴だ。
「やっくん、こんな朝早くにどうしたの?」
『僕の目覚まし時計が壊れてしまったらしく休日だというのに起こされてしまってね』
お前もかよ!
「やっくんのも壊れてるんだ、俺のも壊れててさ、さっき起こされたよ」
『はっはは!お互い同じタイミングで目覚まし時計が壊れるなんて、神の悪戯かな?』
俺のはだいぶ前から壊れてたんだがな。
「それは違うと思うけど…」
『じゃお互い壊れたことだし、遊びにでも行かないかい?』
まったく、めちゃくちゃな理由だ。まぁこの後とくにやることもなから別にいいか。
「うん、じゃいつものところで」
『了解した!』
『橋本駄菓子店』
俺達が産まれる前からある古いお店で、小學生の頃よく遊びに行く時の集合場所にしていた。まぁ結局その駄菓子屋が遊び場みたいになってたのだが…。店主のおじさんがとてもいい人なので、高校生になった今でも何かあるたんびに立ち寄る。
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蟬の鳴き聲に包まれながら洗濯を干し、集合場所に向かった。
駄菓子屋にはもう既に優斗が著いていて、俺が來る間の暇つぶしにおじさんと雑談をしていた。
おじさんは筋隆々、ボディービルの日本チャンピオン大會で5年連続1位という快挙を叩き出しためっちゃ凄い人だ。
「お!あずみじゃねぇか!」
俺を見つけるなりおじさんは場違いなほどの聲量で俺を呼ぶ。
「おじさん!下の名前で呼ばないでって言ったじゃないか」
「ガッハハハハハハハハハ!いいじゃねぇか!可くて」
「それがやなんだよ!」
『長崎 安曇 (ながさき あずみ)』
まったく、嫌な名前だ。この名前のせいでよくいじめられた。もっと男らしい名前を付けてしかったな!ゆうととか、りょうたとか、げんた、こうた、たろう…
結論、みたいな名前なんてクソ喰らえ!
「そういうおじさんも可い名前じゃないか!」
「長崎……それは言っちゃだめだろ…」
「そういえばおじさんの下の名前聞いたことないな」
優斗が、めっちゃ食いついてくる
「ほらぁ〜優斗が興味持っちゃっただろ!」
「俺の名前を馬鹿にした罰です。」
「さぁ白狀しなさい!」
「白狀って…しょうがねぇな、りnk…だょ…」
「え?」
「だから!、、、りん……」
「りん?」
「凜子!凜子だよ!」
「苗字もれると…?」
「橋本 凜子だよ!!!!」
「か、可い!?」
「やめてくれぇぇぇぇえ!!!!」
おじさんをからかい騒いでいると、店の奧から1人のが降りてきた。
「あれ?ながちゃん來てんなら言ってよぉ」
「あずきちゃん!」
『橋本 あずき』
このきれいな赤髪のは、今騒いでいるりん…いや、おじさんの娘。こいつも稚園からの馴染みで結構仲がいい。以前はいつものように遊んでいたが、おばさんが亡くなってから店の手伝いが忙しく、全然遊べなくなってしまった…。
「やぁ久しぶりだねあずきちゃん」
「ゆうとくんも久しぶり! 2人は今からどこ行くの?」
「いやぁ別に決まってないけど?」
「そうなんだ、あ!待ってて今お茶出すから」
「もうそろそろ出るし、大丈夫だよ。ありがとう!あずきちゃん」
「そっか…楽しんで!」
その會話を聞いていた優斗が、今日の夜流星群が流れことを思い出したように呟いた。
「あずきちゃんもし、今夜予定がないなら一緒に見に行かないかい?」
「え!?でも…お店があるし…」
「いいよいいよあずき!俺一人でも出來るから」
「でもお父さん大変になっちゃうんじゃ……」
「いつも無休で手伝ってもらってるんだ!今日くらい休んだって誰も何も言わないよ」
そう言いながらあずきの背中を叩いた。
「てことは今日1日あずきちゃんお店休み?」
「うん、そういう事だね」
「じゃ今から一緒に遊ぶ?」
「え!いいの!?」
あずきは頬を赤くさせている。
「別にいいけど…」
「ありがとう!今から準備してくるからちょっと待っててね!」
そう言ってあずきはどたどたと音を立てながら階段を駆け上がって行った。
「ありゃ安曇に惚れてるな」
「ブ!!」
おじさんの突拍子もない言葉に思わず飲みかけのコーラを吹き出す。
「き、急に何を言い出すんだ!」
「だってそうじゃねぇか!明らかお前の時だけ揺してたぞ?」
「顔も赤くなってたし」
「やっくんまで何言ってるんだ!?」
「安曇……俺は基本的、男にものすごく厳しい…が、お前なら大丈夫な気がするんだ。」
「だから!あずきちゃんと俺はそういう関係になれないの!」
「なんでなれないって決めつけるんだよ。」
「やっくんは黙ってて!」
「なんだ安曇は他に好きな人がいるのか?」
「いや、そういうことじゃないけど…」
そりゃ俺だって付き合えるなら付き合いたいさ、めっちゃ可いし!でも、あんな酷いことをした俺を果たしてあずきちゃん許してくれるのだろうか...
「お待たせ!」
支度を終えたあずきが、階段から降りてきた。
「じゃ行こうか」
「うん!」
「おいあずみ!」
おじさんはあれほど言うなと言った俺の名前を大きな聲で呼び、小さくウィンクをした。
「はぁ……長々とありがとうございました!"凜子”さん!」
「その名前で俺を呼ぶなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
それは俺のセリフだ。
「それじゃ今からどこ行こうか?」
「スタバ!」
「こんな田舎にあるわけないだろ」
それから俺達は昔の頃に戻った。。。
日もすっかり落ち、辺りが真っ暗になった。
「そういえば流星群何時頃見れるんだっけ?」
あずきが言う。
「20時って聞いたけど…」
俺はそう言ってスマホで現時間を確認する。
時刻は19時
「あともうしだ」
「じゃ俺は今からバイトなんで」
優斗はそう言いながら俺らに手を振る。
「は!?お前今日休みなんじゃないの?」
「え?俺今日バイト休みなんて言ったっけ?」
いやいやいやちょっと待て!今日の遊びにあずきちゃんをったのはお前だろ!!
「お前…まさか…」
「ながちゃんファイト!」
小さくそう言い、ウィンクをした。
「お前!俺をハメやがったな!?」
「やだなぁハメただなんて、俺はながちゃんを応援してるだけさ」
「お前だって知ってるだろ?俺があずきちゃんに何をしたのか」
「何度も言うけどあれはお前のせいじゃない。あずきちゃんもそう思ってるよ。」
「なんでそんなことが言えんだよ!なぁ頼むから俺を1人にしないでくれ!」
「やっば!もうこんな時間!バイバイあずきちゃん」
そう言って優斗は無に走り去ってしまった。
「ゆうとくんバイトあるなら先に言ってくれれば良かったのに」
「まったくだよ…ほんとに…。」
「流れ星見えやすいとこ行こうか。」
「え?知ってるの?」
「うん、凄く綺麗な所だよ?」
そう言ってあずきはニッコリと笑ってみせた。
隨分ひとけのないとこまで來たな…本當にここで合っているのだろうか?
「なぁ本當にこの道であってるのか?」
「大丈夫大丈夫!私にまかせんしゃい」
本當はこういうのって逆なんだろうな…
かっこわる!俺……。
「著いた!」
「え?ここが?」
そこはお世辭にも綺麗とは言えない場所だった。
「ここ、そんなに綺麗じゃなくない?なんか変な匂いするし」
「馬鹿だなぁ、ながちゃんは」
「え?」
「後ろ見てみ」
ゆっくり後ろを振り向くと怪しげでどこか懐かしい建があった。
「ここって…」
「基地だよ。私たちの」
暗くてよく見えないが、言われてみれば確かに子供の頃よく遊んだ基地だった。基地と言っても、いつ崩れてもおかしくないただの廃棄なんだが…。
「あ〜懐かしいな」
「ただの廃棄だけどね」
「確かにただの廃棄かもしれないけどここは俺らの輝かしい青春の舞臺だったじゃないか。確かに綺麗な場所だね」
「へぇ〜たまにはいいこと言うじゃん」
「本當に思ってるのか?」
「うん、ほんとほんと思ってマース」
「適當だなー」
「ながちゃんみたいに?」
「うるせー國語20點」
「あ〜!それは言っちゃいけないんじゃないの?」
「俺を馬鹿にした罰だ」
すると突如として夏の澄んだ夜空が真っ白に輝きだした。
「なんだあれ……?」
そこには流れ星とは思えないほど大きな?が強いを放ちゆっくりと墮ちていく。
俺は慌ててスマホを取り出し時間を確認する。
「19時30分」
「え?」
「予定の時間より30分も早い」
「流星群早まったとか…?」
「てかあれ隕石とかじゃないよな?」
「え!?」
「だって見るからにデカすぎるし」
そしてその謎のはゆっくりと墮ちていき見えなくなった。
「なんだったんだろう?」
「Twitterで検索れたら何かわかるかも」
だが、いくら探してもあの謎のに関する報は得られなかった。
そうこうしているうちに流星群まであと1分になった。
「もうしだね、流星群」
「なんかドキドキしてきた」
すると澄んだ夜空に1粒の流れ星が降った
「あ!」
「流れ星だ!俺初めて見たよ」
するとその流れ星を皮切りにとんでもない量の流れ星が降り出した。よく見るといろんなの流れ星があり、幻想的な景を生み出している。
俺らはしばらく無言で見惚れ、なにもかも忘れた。
「ゆうとくんも來れば良かったのに」
あずきがし寂しそうに言う。
「まぁバイトだししょうがないよ」
「來年も見れるかな?」
「數年ぶりの流星群ってニュースは言ってたから當分見れないと思うけどな」
「てか、來年私達験生だしね」
ああ...もうそんなに経ってしまったのか。。
やっくんとあずきちゃんと三人で遊びまわっていた頃が懐かしい。
「ながちゃんはどこ行くとか決まってるの?」
「まぁ普通に大學かなぁ…あずきちゃんは?」
「私は全然」
「將來の夢とかは?」
「お父さんの店継ぐか、學校の先生になるかでめっちゃ悩んでるんだよねぇ」
「あずきちゃんじゃ勉強教えられないでしょ」
「うん、今のままだと完璧無理だね」
「今度のテスト大丈夫そう?」
「なんか…頭痛くなってきた」
「こりゃまた赤點地獄だな」
「ねぇながちゃん、頼みがあるんだけど」
「頼み?」
「うん、今度私に勉強教えてくれない?」
「全然大丈夫だけど」
「本當に!?ありがとう!」
「でも俺教えられるか分からないよ?」
「學年1位が何言ってるんですか」
「だからあれはたまたまだって」
すると徐々にの粒が減っていき、とうとう見えなくなってしまった。
「綺麗だったね」
「一緒に見てくれてありがとう。ながちゃん」
「それはこっちのセリフだよ」
「じゃ帰ろうか」
「そうだね」
あずきを家まで送り屆け、自宅に著く。
「そういえば夜ご飯食べてないな」
冷蔵庫の中を見てみるが、相変わらず殺風景でお腹を満たしてくれそうな食べが見つからない。
「しょうがないか」
袋からカップ麺を取り出しお湯を注ぐ。出來上がる間、さっき見た謎のをもう一度調べてみたが、あのを見たという報は得られなかった。
『ピンポーン』家のチャイムが鳴り響く。
「こんな夜遅くに誰だよ」
恐る恐る覗きを見てみると、とても綺麗な見知らぬが立っていた。
「はーい、どちらさま……」
俺は思わず言葉を失った。
「は、!?」
白髪の綺麗なが全で俺の前に立っていた。
【コミカライズ&書籍化(2巻7月発売)】【WEB版】婚約破棄され家を追われた少女の手を取り、天才魔術師は優雅に跪く(コミカライズ版:義妹に婚約者を奪われた落ちこぼれ令嬢は、天才魔術師に溺愛される)
***マンガがうがうコミカライズ原作大賞で銀賞&特別賞を受賞し、コミカライズと書籍化が決定しました! オザイ先生によるコミカライズが、マンガがうがうアプリにて2022年1月20日より配信中、2022年5月10日よりコミック第1巻発売中です。また、雙葉社Mノベルスf様から、1巻目書籍が2022年1月14日より、2巻目書籍が2022年7月8日より発売中です。いずれもイラストはみつなり都先生です!詳細は活動報告にて*** イリスは、生まれた時から落ちこぼれだった。魔術士の家系に生まれれば通常備わるはずの魔法の屬性が、生まれ落ちた時に認められなかったのだ。 王國の5魔術師団のうち1つを束ねていた魔術師団長の長女にもかかわらず、魔法の使えないイリスは、後妻に入った義母から冷たい仕打ちを受けており、その仕打ちは次第にエスカレートして、まるで侍女同然に扱われていた。 そんなイリスに、騎士のケンドールとの婚約話が持ち上がる。騎士団でもぱっとしない一兵に過ぎなかったケンドールからの婚約の申し出に、これ幸いと押し付けるようにイリスを婚約させた義母だったけれど、ケンドールはその後目覚ましい活躍を見せ、異例の速さで副騎士団長まで昇進した。義母の溺愛する、美しい妹のヘレナは、そんなケンドールをイリスから奪おうと彼に近付く。ケンドールは、イリスに向かって冷たく婚約破棄を言い放ち、ヘレナとの婚約を告げるのだった。 家を追われたイリスは、家で身に付けた侍女としてのスキルを活かして、侍女として、とある高名な魔術士の家で働き始める。「魔術士の落ちこぼれの娘として生きるより、普通の侍女として穏やかに生きる方が幸せだわ」そう思って侍女としての生活を満喫し出したイリスだったけれど、その家の主人である超絶美形の天才魔術士に、どうやら気に入られてしまったようで……。 王道のハッピーエンドのラブストーリーです。本編完結済です。後日談を追加しております。 また、恐縮ですが、感想受付を一旦停止させていただいています。 ***2021年6月30日と7月1日の日間総合ランキング/日間異世界戀愛ジャンルランキングで1位に、7月6日の週間総合ランキングで1位に、7月22日–28日の月間異世界戀愛ランキングで3位、7月29日に2位になりました。読んでくださっている皆様、本當にありがとうございます!***
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