《明日流星群が見れるそうです。》偽りの師

暗い森の中を1人のメイド服のが忙しなく歩いている。

アリス様!一どこへ行ってしまったんですか!!!

く…メイドの私が目を離したばかりに!

なんという失態…!!

今回の仕事を大功してメイドから執事になってやる!とかいきがってた自分がけない。

てかこの森どこだし!

ジメジメするし蟲いっぱいいるし、蚊に刺されるし!

「アリス様!!どこなのですかぁー!」

びは暗い森に虛しく散っていった。

遠くの方から忙しい機械音が聴こえてくる。

毎朝俺を不愉快な気分にさせてくれる音…

『ジリリリリリリリリリリ!!』

重い瞼をこじ開け、時計を止めた。

ばした後に大きなあくびをする。

なんだか今日はいつにも増してが重いな…

これぜったい授業中睡するやつじゃん。

えっと…今の時間は……。

「12時か…12時だってぇぇ!!???」

慌てて飛び起きた。

急いで制服に著替えリビングの扉を開けると、未知花がエプロンをにつけ、料理を作っていた。

「あずみおはよう、朝ごはんはなににする?」

未知花は慣れた手つきで野菜を切っている。

「やばいやばい遅刻してる!」

「今日は休みじゃないのかったのか?」

「違うよ!だから急いでるんだよ!」

「朝ごはんは…」

「すまん!食ってる時間ないわ!!」

家を飛び出し、猛ダッシュで學校に向かう。

學校はちょうど晝休みが終わり、掃除をしているとこだった。

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「あ、來たんだ」

廊下であずきが聲をかけてきた。

「ま、まぁね」

「寢起き?」

「なんでわかったの?」

「だって寢癖ついてるもん」

あずきの言う通り、後頭部の辺りにぴょんと髪が跳ねている。

「どうせ遅れるの確定してるんだから、寢癖直せばよかったのに」

ほうきを両手持っているあずきは、やれやれといったじに言う。

「遅れるのが確定してるからこそ急がなきゃだろ」

手で跳ねている所をわしゃわしゃと押し付けてみるが、やはり無理だった。

「おま、來るのかい!」

教室にると真っ先に優斗が聲をかけてきた。

「悪いかよ」

「いや、悪いことはねぇけどよ、今日5時間で終わりだぜ?」

「だからなんだよ」

 

「1時限くらいで來ることもないだろ」

「お前は何を言ってるんだ」

俺はの芯がメラメラと熱くなっていくのをじた。

「今日の5時限目の教科を知っててそれを言ってるのか….?」

「もちろん、英語だろ?」

「そう!英語だ!これで俺が來た理由が分かったろ」

「え、全然わかんないんだけど」

まったくこれだからやっくんは!!

「今日は''第3金曜日''だ!」

「だ、第3金曜日だと…!?」

「もう流石に分かったようだな」

「ああ…ごめんな、ながちゃん」

そう、今日は第3金曜日

第3金曜日の英語はALTの『ファザンサさん』が來ると決まっている。

白人巨のファザンサさんが來るんだ!!!

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常人離れしたあのスタイルに人特有のいい香り…あんな超人気モデル並の人が本當にこんな所に來ていいのか?と疑問に思ったりもする。

俺はあの人に會うためだったら何がなんでも授業に參加してやる!

「えー、授業を始める前にお話があります。いつも來てるファザンサさんなんですが、本日調不良だということなので、今回は先生だけの授業になります。」

それは授業が始まってすぐ打ち付けられたあまりにも殘酷な現実。

俺は靜かに手を挙げる。

「ん?どうしたあずみ」

「先生、生きる目的を無くしたので帰ります。」

結局おれはその時間を保健室で過ごした。

帰りのホームルーム前に教室に戻り、地味に長い擔任の話を聞く。

帰りの挨拶を済ませ優斗に聲をかけた。

「やっくん帰ろうぜー」

「ながちゃんすまんが今日は無理だ」

「はぁ〜?なんでだよ」

「ちょっと修行を教えてやらないと行けないからな」

「修行?なんだそれ」

「この前話したじゃねぇか、弟子が出來たって」

その言葉を聞いた瞬間、全に鳥が立った。

そしてものすごく嫌な予がした。

「や、やっくん…?悪いことは言わない、だからその修行とやらを教えに行くのはやめとけ」

「チッチッチ〜、見くびってもらっちゃあ困るぜ!ながちゃん」

舌を鳴らしながら、俺の顔の前で人差し指を左右に揺らしている。

前にもみた景だ。

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「いいってそういうの、だから本當に行くのやめな、てかやめて」

「どうしたどうしたぁ~?俺に弟子が出來たことがそんなに悔しいのかぁ~」

だめだ

完全に舞い上がってやがる…。

今のこいつになに言っても無駄だ。

「大丈夫だって!弟子ができたからといって親友のお前をひとりぼっちにさせるわけないだろ?」

そんなことを心配してるわけない。

「まぁとりあえずそういうことだから一緒に帰るのは無理だわ」

「そうか、気をつけろよ」

「んじゃ、また明日な」

そう言って優斗はるんるんで帰っていく。

「とても嫌な予がするな…」

俺は1人呟いた。

「そんな、険しい顔してどうしたんだい?」

帰りのホームルームを終えたばかりのあずきが遅れて聲をかけてくる。

もちろんあずきに真相を話すことなど出來ない俺は、適當に話を返した。

仕方なくあずきと一緒に家に帰る。

「暑いねぇ」

あずきがだるそうに言う。

「あれ、今って何月だっけ?」

「ん?7月だよ」

そっか、もうそんなに経つのか。

未知花と出會ってもう1ヶ月も経つ、この1ヶ月は濃すぎた。

「それがなんかした?」

「ああ…いや、もうしで夏休みだなって」

「もう夏休みのこと考えてるの?」

「そりゃ考えるだろ」

「今年こそ3人で遊びたいね」

楽しそうに言った言葉が刺さる。

こういう時はなんて言ったらいいのだろうか。

の奧がずんと重くなっていくのをじるだけで俺はあずきの言葉に答えれず、はは…っと笑って濁した。

そしてなんにも進めてないんだなと、改めて実した。

「てかお前、遊んでる暇あるのかよ」

「う…」

あずきの痛い所を突っいて話をそらした。

「もう!ながちゃんはいじわるだなぁ、今そんな話してなかったでしょ!」

「せっかく俺が手伝ってやったってのに數學10點ってなぁ」

「あー!點數まで言わないで!」

「次そんな點數とったら先生とは別に俺からも課題出すからな」

「ひ…それだけはやめてくだされ……」

それから俺たちはいつものようにあずきの家の前で別れた。

1人で自分の家に帰っていると、朝の景を思い出した。

「そういやなんであいつ普通に料理作ってたんだろう?」

思わず聲が出た。

あまりにも自然過ぎてツッコまなかったが、よくよく考えればおかしすぎる景だ。

あいつ家でなんかやらかしてないだろな?

なんだか心配になってきた。

早歩きで家に向かう。

恐る恐る玄関の扉を開けみるが、いつも家にるなりすごい勢いで出てくる未知花の姿がない。

「ただいまー」

聲を出してみるがやはり來ない。

靴をいでリビングへ向かう。

すると珍しくソファーで未知花が靜かに寢ていた。

相変わらずエプロンをみにつけたままだ。

その景を見て朝のは夢じゃなかったのだと確信した。

制服をいで部屋著に著替える。

このままリビングに未知花を置いて2階の自分の部屋に行くのは心配なので、仕方なく未知花が寢ているソファーの端に座る。

なにげにスマホを開くと新著のメッセージがってた。

父さんからだ。

『あずみ元気してるか。

お前の學校はもう夏休み始まってるのか。

実は父さん夏休みまでに帰れそうにないんだ。ごめんな。

とりあえず口座に今月分のお金をれといたから、に気をつけるんだぞ。それじゃ』

相変わらず記號が無い。

本人はそのつもりがないのだろが、なんだか冷たくじてしまう。

言い遅れたが父は醫者だ。

中央アフリカやコンゴ民主共和國など、貧しい國を飛び回りながら、治療をけられない人々を助ける立派な醫者だ。

そのため、なかなか家に帰って來れないのだ。

''あの日''も父さんはいなかった。

それから父さんの所に住むという話も出たが、全力で斷った。

おじさんが、うちに來るか?と言ってくれたが、流石にそこに住む勇気もなかった俺は、みんなより一足先に一人暮らしをすることに決めた。

月10萬ほど仕送りがあるのだが、俺と未知花の2人で使うとなるとそれなりにきついものがある。

するとソファーで寢てた未知花が、ううぅう…と両腕を上げびをし始めた。

腕を上げるついでに足もび始める。   

未知花の足が俺にあたり、そこで初めて俺が帰って來ている事に気がついた。

「あ、ああ…あずみ、帰ってきてたのか」

そう言ってボサボサ髪の未知花は目をこする。

「ただいま」

「わたしは、どのくらい寢ていたんだ?」

「んーどうだろう?結構寢てたんじゃん?」

「そうか…あ!」

未知花は思い出したようにボサボサの髪をくしゃくしゃと手で馴染ませながら、冷蔵庫に向かった。

未知花が取り出したのはラップがってあるハンバーグだった。

「これ、つ、作ってみたんだ…」

目線をそらせ、白い頬をを薄桃にしながらもじもじと恥ずかしそうに言う未知花は、なんだか可い。

「そういや朝作ってたもんね、未知花って料理出來たりするの?」

「ま、まぁな、テレビを見て覚えた」

「あ〜お晝になんかやってるもんな」

「そ、そう…それだ、それを…みて作った…。」

「ちょうどお腹すいてたとこだし、さっそく頂こうかな」

「ほ、ほんとか!」

未知花は、嬉しそうにハンバーグをテーブルに置くが、溫めることを思い出し、もう一度ハンバーグを持って電子レンジで溫め始めた。

「未知花の料理初めてだからすげぇ楽しみだな」

「や、やめろ!恥ずかしいだろ…。」

機械音がなり、未知花がゆっくりハンバーグを持ってくる。

しだけ私なりに工夫してみたんだ」

「おおー、初めての料理なのによく挑戦したなぁ」

「ま、まぁな」

「それじゃいただきま〜す」

箸でハンバーグを大きめに切って、炊きたての白飯と共に口の中に放り込んだ。

モグモグと何度か噛んでみる。

ん?この味って…

「う!!」

思わず吐き出しそうになった口を両手で無理やり抑えた。

「お、お前…この工夫って……。」

「お!気づいてくれたのか!?実はハンバーグの全てを砂糖で作ってみたんだ」

「『作ってみたんだ』じゃねぇよ!!」

せめて口にったやつだけでもと頑張って見るが、やっぱり無理で洗面臺に吐き出した。

「おい!吐くなんてひどいじゃないか!」

「いやこれでも頑張った方だぞ…!?」

「砂糖だぞ!?甘いんだぞ!」

「だから吐き出したんだろ」

それでも未知花はなんのことだか分からないでいる。

「いいか未知花、甘いでご飯に似合うのはあんこと、桜でんぷんだけだ!」

「桜でんぷん??」

「ほら、ちらし壽司とか恵方巻きとかにかかってるピンクのやつだよ、え?知らない??」

「初めて聞いた、ちらしずし?え、えほうまき??」

「ま、まぁとにかくだな、なんでもかんでも甘くしたらいいってわけじゃないんだよ。なんならハンバーグなんて論外レベル…」

「そうなのか…」

未知花はエプロンの中から『食いもん!』と大きく書かれた、青い大學ノートを取り出した。

「なんか凄いとこからノート出てきたな」

「メモだ」

ノートを覗き込むと、ハンバーグだけじゃなく、々な料理のメモがびっしりと書かれてあった。

以外にも達筆で、まとめるのが上手い。

「見やすいな」

「ほ、本當か?」

「うん、それにしても急に料理なんてどうしたの?」

「あずみには々と世話になってるからな、家事全般は出來るようにしたいんだ」

「そっか、未知花も頑張ってんだな、ありがとね」

俺はでようと頭に手をばす。

未知花は一瞬くさせ、目を力強くつぶった。

優しく頭をでると、ゆっくりとの力が抜けていくのが分かった。

「ちょ、あずみいきなりなんなんだ!やめろ!」

恥ずかしそうに手をはらう未知花はやっぱり可い。

「んじゃこれからは料理は未知花擔當にするわ」

「え…」

予想に反して未知花は不安な顔を見せる。

「ん?もしかして嫌だったりする??」

「本當にいいのか…?」

「無理にとは言わないけど」

「でも失敗したんだぞ…?」

「え?あ、うん」

「それなのにそんな重役を私にくれるのか?」

「そんな重役かな?なくとも俺より料理上手いからさ、やってよ」

「分かった、頑張ってみる」

「え!いや、本當に軽いじでいいんだからね!??」

その時外から「まてー!」と聞き覚えのある大きな聲がしてきた。

カーテンを開けて外をのぞくと、泥だらけの優斗が走っている。

優斗は俺の家の前で倒れ、息を切らしている。

「お前、なにやってんの?」

俺は家を出て倒れてる優斗の顔を覗き込んだ。

「はぁ、はぁ、な、ながちゃん…し、しま柄の貓、見かけなかった?」

「貓?みてないけど…お前修行教えに行ったんじゃないの?」

「何言ってんだよ…修行の真っ最中だと言うのにさ」

「は?貓追ってるのに??」

「だーかーら!そういう修行なの!」

「え…」

どういう修行??

その時俺の頭にはこの言葉以外なにも出てこなかった。

あ、でもそうか…よく考えてみればあいつに弟子なんか出來たことないしな、カッコつけて修行とか言ったはいいけど、そこからどうすればいいのか分からないんだ…!

ん?でも、あのヤンキーはどこだ?見當たらないな?

「師匠おおお!やっと見つけやしたーー!!!」

奧の方から泥だらけで、顔や手に引っかき傷を付けた爽やかな青年が走ってくる。

「おおお!みつけたか!」

「はい!なかなか懐かなかったんですけど、シャケ缶出したらもう秒できやした!」

見た目は爽やかな好青年なのだが、話し方や話す容がし、いや、だいぶバカっぽい。

「この子は?」

優斗に訪ねた。

「ああ、こいつが俺の弟子だよ」

「え!??」

なんと、この青年は俺のことをボコボコにしたあのヤンキーだった。

チリチリのパーマがなくなり、金髪だったのが黒になっている…!??

これはいったい…

「なんか前ってさ、いかにも〜みたいなのがあっただろ?だから誰の目にっても優しいじにしたんだ!」

優斗は両手を腰にやり、どうだ!と言わんばかりの顔をしてる。

「もしかして!!あなたは師匠のお友達様でありますか!?」

威勢がよすぎる。

そしてほんのりとバカである。

「お友達様…?なかなか聞かない言い方だな…」

「自己紹介遅くなってしゃぁせぇん!!自分優斗さんの弟子やらせてもらってます!邪堂(じゃどう)っていいます!」

これまたなんともパワーがある名前だ。

「じゃ、じゃどうくんね…」

「はい!よしゃせまぁぁす!」

「もうそこまで來たら威勢がいいとかじゃないよね、1回落ち著こうか」

「はぁい!おちゃぁつぅぅぅきまーーーす!!

ちょっとこの子嫌いかもしれない。

「ま、まぁいっかい落ち著いて」

俺の家のドアが開き、未知花が恐る恐る顔を出す。

ショートでさらさらした白髪、その真っ直ぐで純粋で、綺麗なサファイアの瞳と合った時、優斗は自然に聲が出た。

「きれいだ…」

「き、きれい?」

「確かにこの貓めっちゃ可いですよね!」

優斗の次に、俺、邪堂、と聲を出す。

優斗の言葉が向かった先が未知花だと気づいて、俺はなんとなく嫌な予がした。

「そんなに騒いでどうしたんだ?」

しかし未知花はそれからすぐ俺たちの方へ來てしまった。

「あ、ああ…それは」

未知花は、邪堂や優斗の顔を見るとなんとなく狀況を把握できた。

「おい、ながちゃん?ちょっといいか」

ちょっと前まで意気揚々と弟子自慢をしてた優斗の顔から笑みが消えていた。

優斗に肩を組まれ背中を丸めて、コソコソと話し始める。

「な、なんだよ」

「なんだよじゃなくて、あの子だれ?」

「あ、姉貴かな…?」

できれば優斗にはこの噓を言いたくなかったがしょうがないか…。

「あね…!お姉さんなのか!??」

「う、うん」

「ってことは…だいじょぶだよな……」

「ん?な、なにが?」

「いや、あの子お前の彼じゃないんだもんな」

「う、うん…」

「口説いても大丈夫だよな」

こいつはなにを考えてるんだ!?

友達のお姉さんってだけで気まずいのに、本人の目の前で今から口説ますの報告をするだって?

やっぱこいつバカだわ。

「よし!んじゃ行きますか」

「ちょ、ちょっと」

そうそうと実行しようとする優斗の腕を摑もうとした時、きが止まった。

「お嬢さん、ねこ…いりませんか?」

俺らの目の前で邪堂が既に未知花を口説きにいっていた。

「おぃぃぃぃいい!!」

優斗は邪堂めがけて勢いよく走り出す。

「なに勝手なことしてくれちゃってんの!?てかその貓人のだから!」

「お嬢さん、ねこ…ですね。」

「ねこですね。じゃねぇよ!てかその子から離れろや!」

「もぉ、なんなんですかぁ?今いいじなんで邪魔しないでください」

「いや全然いいじじゃないからね!?てかお前貓持つな!俺が持つ!」

そう言って邪堂の腕の中にくるまっている貓に手をばす。

先程まで大人しかった貓が、優斗の手を見た瞬間「シャー!」と威嚇をしながら噛み付いた。

「イッデ!おい!このバカ貓噛付きやがったぞ!」

噛まれた手をブンブンと振り回すが、なかなか貓は離れない。

「おい!離れろ!歯がくい込んでめっちゃ痛てぇんだよ!!」

「師匠!俺が助けます!!」

邪堂が力づくで貓の口をこじ開ける。

「うっわ!見て!だよ!?噛まれてたらが出たよ!??」

けっこう深く歯が刺さったようだ。

「師匠!やばいっすよ!それ!!」

「え!ヤバいの!?これ!」

「だって、野良の生に噛まれたら狂犬病になりますもん!」

「きょ、狂犬病だってぇー!!!??」

大袈裟過ぎるが、一理ある。

「い、今すぐ病院に行きましょ!?」

「え?でも狂犬病って犬限定じゃないの?」

は?

「あ、確かに」

いや、確かにじゃなくて…。

「そ、そうだよね?だって狂''犬''病なんだもんね?」

んなわけねぇだろ。

「いや、違いますよ…師匠!貓に噛まれたってことは狂貓病になるってことじゃないですか!?」

狂貓病ってなんだよ。

「きょ、狂貓病だってぇぇえ!??」

「今すぐ病院に行きましょ!」

「そ、そうだな!それじゃながちゃん!俺は今から狂貓病を治しに行ってくるから」

狂貓病かかってることは確定らしい。

優斗は邪堂と一緒に猛スピードで病院に向かった。

ずっと二人の會話に心の聲でツッコんでいたが、さすがに疲れた。

すると未知花がクスクスと笑った。

未知花の笑い顔は母さんに似て、綺麗だ。

そしてとても優しい。

「ほんと、あいつらには呆れるよ」

「いいじゃないか、元気で」

ふふふと、笑いながら未知花は言った。

「家、戻ろうか」

「そうだな、料理の準備をしなければだしな」

俺と未知花は二人同時に家にった。

「てか邪堂のやつ貓も一緒に抱えて走って行ったけど…」

「確かにあの貓可いしな」

「いや、そういう事じゃなくて…」

未知花がこの家に來て1ヶ月。

誰かが家に待っていてくれるだけでこんなにも違うのか…と改めて思う。

正直いって俺は家が嫌いだ。

あんな事があった家に住んでる俺はどうかしてるのかもしれない。

でも俺は…

ここで生きていきたい。

俺が帰れば未知花が笑って「おかえり」と言ってくれこの家が…

俺が出て行けば「行ってらっしゃい」と言ってくれるこの家が…

俺はそんなこの家が好きになっていた。

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