《貓神様のおかげで俺と妹は、結婚できました!》九話 異形な貓祭りと、ける妹

「話の腰が折れてしまいましたね。話を戻しましょう」

「あ、あぁ、それで冷奈の貓の尾の事なんだけど⋯⋯今朝も思ったんだが、確か夢で貓の大群と、し大きめの貓が居たって言ってたよな?」

「はい、その貓は他の貓から『社長』と呼ばれていた、気がします」

朝も思ったけどさ、貓に『社長』っておかしくね? 會社なのかよ。

それに俺の推測が正しければそいつは⋯⋯。

「なぁ、そいつってもしかしたら神様だったりしないか?」

「はい⋯⋯? まぁ、確かに神がいないとは言い切れませんが、どうして?」

「だってこの町って昔から貓の神様を祀る祭りがあるだろ? それが関係してるのかなと思って」

「あぁ、あの悪趣味な祭りですか⋯⋯」

冷奈がし怪訝な顔をして、俺は力無く笑う。

その祭りは異形な祭りとしてし名の通った街一の不思議イベントなのだ。

9月13日にあるそれは、町中の10歳以上の男が主役で全員がふんどし一丁、頭には近海の海で取れた旬の秋刀魚を角の様に取り付け町中を踴り歩く。

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いくら九月と言っても夜はなかなかに寒いので、その年の病気やらなんやらにかからなくなるとか⋯⋯。

それにどうやらこうする事によって街を見守ってくださっている貓神様を楽しませるとか昔聞いたことがある。

本當にしんどい祭りってわけだ。

はというと、街の真ん中に位置する貓神様を祀った神社、その前にある広場に貓の為に焼いた秋刀魚をほぐしたものをトレイにれて置き、それに集まって來た貓達に手を合わせお祈りするんだ。

本當にふざけた祭りだろ?

まぁ、そんな祭りな事もあってか多くの観客が來たりして中々に町の収になってたりするのだから邪険にも出來ないんだ。

「それで、この町には貓の神様、貓神様が天から見守ってくださっている、と言い伝えられているだろ? 本當なんじゃないのかなとも思うんだ」

「⋯⋯確かに⋯⋯あの忌々しい祭りの神、だとしたら見守ってくれてるはずの神様がどうしてこんな事を」

冷奈が悔しそうに拳を握り、「まずまずどうして貓なんかを祀らないといけないんですか」と呟く。

まぁ、確かに貓を崇めるってなんかおかしいよね、俺も前から思ってたよ。あれめちゃくちゃ恥ずかしいし。

「いや、冷奈去年、祭り途中で貓追い返したりしてただろ。ツケが回って來たんじゃないのか?」

「うっ⋯⋯」

痛いところを付かれた様で唸り聲をあげ、小さくなる冷奈。

あの時は皆が驚いたさ、なんせ誰にでも何にでも優しく全てが完璧なとまで言われている冷奈様がいきなり祭りにとって崇める存在である貓様を追い返したんだからな。

後々聞いて笑い転げてしまったさ。

そんな訳でそれが恥ずかしいらしく、顔を落とししゅんとしている。

それがとても可く見えて顔が赤く染まってしまう、今の顔を冷奈に見られたら罵詈雑言が帰ってくるに違いない。

俺は軽く深呼吸をし落ち著きつつ、ふと気づいてしまう。

俺はこういう冷奈が好きなんだ。

いや、もちろん妹としてだぞ?

もっといろんな表の冷奈を見たいと思ってしまった。

こ、これも妹としてだぞ!

「ま、まぁ理由はどうあれ、おそらく貓神様って事で良いかな。まぁこんな事決めたところで何にも解決しないんだけどさ」

そう、まだ何も解決してないんだ。冷奈がこれ以上悲しまない為一刻も早く治してあげないといけないのに⋯⋯。

でも今こんなに冷奈と話せてるのは尾のおかげでというわけで治ると前みたいに戻ってしまうかもしれな──。

「ふにゃぁぁあ⋯⋯」

突然可らしく甘ったるい聲が響き、俺は最悪な考えを吹き飛ばされ顔を上げた。

「へ⋯⋯⋯⋯⋯⋯?」

ど、どうしたんだ⋯⋯。

俺は目の前の景、主に冷奈にある違和に目を見開いた。

頬をほんのり赤く染め、目は下がり口元もやや丸くなった様で自然とふわっとした印象にじられる。

普段の俺に対してのキリッとした目つきに不満げな口元とは大違いだ。

なんか酔ってるみたい、だな⋯⋯でもうちでアルコールがってるようなは────あ⋯⋯⋯⋯。

俺はそこであるものが目につき、唖然としてしまう。

一瞬で消えたそれは、貓の耳の様に見えたんだ。

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