《貓神様のおかげで俺と妹は、結婚できました!》十三話 こう見えて私、先輩なんですよ!
気配を消す様にして隣を過ぎていく。
どうしてそんなことしてるのかって?
こんな俺にでも部活勧がされるからだ、しかも結構ガツガツと、本當にだるい事この上なしな訳で今のうちに校舎にりたいんだ。
そうして無事靴箱まで到著した俺は大きく背びをした。
「⋯⋯ま、じでこれ疲れるな⋯⋯」
一度振り返り未だに多くの部活生徒に囲まれ執拗に迫られている冷奈に軽く手を合わせ頭を下げると、踵を返す。
首をポキポキと鳴らしながら自分のクラスの靴箱に行き、俺は思わず足を止めてしまう。
うわ、それはだるいって⋯⋯。
どうしてかちょうど俺のクラスの靴箱の前に一人のが立っているのだ。
そしてそのが、「あ、おはよう!」とこちらに向かって聲を掛けてくる。
落ち著くんだ輝夜、騙されるな、そうだ俺の後ろに友達でも居るんだろうな。
うん、そうに決まってる、あんなで気軽に話しかけてくる奴なんて俺は知らないからな。
それって最悪パターンじゃん!
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場合によっては俺を挾む様にしてJK話が始まるカオス空間じゃねぇか!
俺は冷や汗を浮かべながらなるべく邪魔にならないようにと下を向きつつ迅速に隣を過ぎ、ようとしてそれが出來ず肩を震わせることとなった。
突然肩を摑まれ、振り返らさせたのだ。
「な、なんで無視するの!」
案の定、頬をめいいっぱいに膨らませたが立っている。
その容貌は低めの長では考えられないぐらいに可憐だった。
とにかく目を奪ったのがその艶やかで差し込む太のをけ、輝くように揺らめく薄く明るい茶髪、それは肩をくすぐる程度の長さで全的に緩やかなウェーブがかかっている。
はすごく華奢で、普段から冷奈を見てきて耐の付いていたはずの俺にとって、その可さには衝撃を覚えてしまった。
それと同時に、どこかで會ったことがある、そんな違和をじてしまっていた。
どこかで見たことがある? でもこんな勝ち気そうなと仲良かったことなんて無かったし、まず友達なんてほとんど居なかったし⋯⋯。
「ちょっと何いきなり沈んでるの!? しっかりしてよ」
肩をぐいぐい揺すってくる。
あの⋯⋯顔近いですって⋯⋯本當君誰?!
「ご、ごめん。俺になんか用でもあるの?」
「あ、そうなの⋯⋯あの⋯⋯ねぇ、輝夜おにぃ、じゃなくて輝夜くん、単刀直に言うね、私の部活にってくれない?」
「は⋯⋯? 部活の⋯⋯勧⋯⋯?」
うんうんと頷く金髪、その仕草がげで思わず微笑んでしまいそうになり、首を橫に振る。
「⋯⋯やっぱり、だめ⋯⋯だよね」
瞬間しゅんと小さくなるに俺は思わず「今のは違うからね!?」と答えてしまった。
すると今度は顔を満面の笑顔に変えて「やったー♪」と喜び出す。
「いや、まだるとか一言も言ってないから!」
なんかすごく疲れるんだけど、それよりこの子、高一だよね⋯⋯。
もう勧の仕事なんて頑張ってるんだな。
「一年生で部活の勧なんて君偉いね」
「紗希、三年なんだけど!?」
が衝撃をけたように愕然としてびをあげた。
「え⋯⋯⋯⋯⋯⋯?」
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯はっ!?
「すすすすみませんでした!」
やばい、それは最低すぎる! マジですみませんすみません!
「⋯⋯⋯⋯やっぱり覚えてないの?」
「ん?」
頭を下げてると頭上からそんな弱気な聲が聞こえてきて思わず顔を上げる。
は何かに耐えるかのような顔をしていた。
どこか寂しそうなそんな表。
「いや、何も無いよ」
だが、直ぐに明るい顔に戻る。
今なんて言ったんだ? なんか⋯⋯やっぱり俺と関わりでもあるんじゃ──。
そこでチャイムが鳴った。登校五分前のチャイムだ。
それを合図に正門にごった返して居た生徒達が片付け始めだしたのが見える。
「あぁ、もう時間が⋯⋯輝夜くん! 詳しく話すから、今日の放課後妹の冷奈ちゃんと、舊校舎二階第三多目的室に來て」
「冷奈も?」
あぁ、そういう事か。
元々俺が目的なんじゃなくて、その妹である冷奈が目的という事なんだな。
どこか予想していた答えに俺はため息をついて答える。
「すみません、先輩多分それは無理ですよ。俺、冷奈に嫌われてるんで」
「何言ってるの? 輝夜くん、君しか出來ないんだよ。だからぜ〜ったいだからね!」
「俺にしか⋯⋯出來ない?」
「もちろん、あ! 來ないって選択肢は無いからね? 來なかったら二人のバラしちゃうから、冷奈ちゃんどうなっちゃうんだろうね」
そう言って振り返り歩き出す金髪の先輩。
え⋯⋯⋯⋯? 今、なんて? 二人の?
それって⋯⋯!!
「あの先輩! って!?」
「それは來なかった時のお楽しみだよ」
そう言って手をひらひらと振ってくる。
もし、紗希先輩の言うが貓化の事だとしたら⋯⋯それだけは避けないといけない!
「先輩! 名前は!?」
混する頭の中、俺はそうぶ、するとそれが聞こえたのか、振り返った先輩は笑顔で「東城 紗希とうじょう さきだよ」
その際に目元が何故かっていたのが見えた。
泣いて⋯⋯た?
俺はその不思議な先輩、にどこか不思議な想いをじつつ教室に歩みを進めた。
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