《量産型ヤンデレが量産されました》

例の薬の効果が切れてから10日が経過した。薬の効果が切れることにより元の平穏無事な生活が戻ってくるかと思いきやそんなことは全然なかった。

馬鹿がやらかしてしまった後癥と言えばいいのか、々とハッチャけてしまった例の3人は程度こそ収まったものの、俺に対しての好意を隠そうとしなくなったのだ。

俺が何をしたというのだ!と唐突にびたくなる衝を抑えつつ、今日も今日とて大人しく學校へと向かうのであった。

「おはよう雄太!」

「………おう」

教室の扉を開けてすぐに挨拶をしてきたのは外見は紛う事無き、儚い印象を與えるらかい笑みで何人もの男子を虜にしてきた男子生徒、その名も田中太郎。し前の俺ならばコイツをいじるために「今日もだな!」などと言っていたところだが、今のコイツにそんなことを言えばたちまち顔を赤らめ上目づかいにモジモジしながらこちらを見つめてきて周りの男子の新保さんがスタンダップしてしまうこと間違いなしだ。お、俺はノンケだから俺の新保さんはシットダウンしたままだし。噓じゃねーし。

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「雄太くんおはよう!」

「榛名もおはよう」

そして間髪れずに挨拶してきたのは俺の彼、學校のアイドル、外見がなだけでなく別もきちんと、田中とは対照的に生命力あふれる笑顔を振りまく可い系の如月榛名。薬で暴走した結果とはいえ彼が俺のことが好きなことは事実、彼の告白を俺がOKしたことも事実であるため彼こそが俺の彼である。何故このような言い回しをするかというと………。

「おはようございます、如月さん」

「田中君もおはようございます」

毎朝これである。先程俺に向けた聲と調子は変わらないはずなのに、背筋がゾクリとするような響きがある挨拶を互いにしている。やめてくれお前ら、この雰囲気は俺の胃に効く。何故なにゆえ毎朝修羅場に放り込まれなければならんのだ。周りを見てみろよ。し慣れたとはいえクラスメイト達がドン引きしてるぞ。

何だか三角関係のような狀況であるが、既に俺の彼というポジションは榛名で決定しており、田中が割ってることは出來ないということを強調するために先程のような言い回しをしたのである。

「ふふふふふ」「うふふふふふ」と不気味な笑いをし続けるので放置して自分だけ席に座るという選択肢もあるにはあるが、このやり取りは俺の席の目の前で行われているため無視することは出來ない。Holy shit!

そうして二人のやり取りに気を取られていると後ろから軽い衝撃が加わる。あ、そういやコイツもいるんだった。

「お兄ちゃんおはよう!」

「ああ、うん、おはよう」

背中から抱き付いてきたのは俺の妹高瀬文、特徴は低長ツインテ無、そして俺に対しての犬並の嗅覚。顔の方は客観的に見ればのはず。俺にとってはどうでもいいただの妹なので別にには見えない。いや、妹の顔を偏見無しに評価できる奴なんてそうそう居ないだろ?そんでもってコイツ、家で既におはようは済ませたのにわざわざやってくるとは、二人をどうしても挑発したいと見える。

10日の間、學校のある日には毎朝繰り返されたこの景は俺の新たな日常と化してきているが、そのようなことは斷じて認めない。それを認めるということはこの後に行われるであろうやり取りもまた俺の日常であると認めるということになるからだ。

「おはよう文ちゃん、朝から元気なのは良いことだけど雄太から離れなよ。年頃のの子がそんなことしちゃ駄目だよ」

「そうよ文ちゃん、それに雄太くんの『彼』の私の前でそういうことされるとちょっと嫉妬しちゃうかな~」

言っている容はまともなのに目に異様に力がっている田中と、やけに「彼」を強調している榛名。二人の殺気は俺の後ろの妹に向けられているとはいえ俺も怖いのですよ。妹さんや、あなたの挑発行為は見事に功しました。そういう訳で早く離れてください。

「え~、でも兄妹だったらこれぐらい普通ですし~、そんな気にすることじゃないですよ~」

妹よ、喋りつつ無いを押し當てようと努力しているのは認めるがその努力は無駄なので早く離れてください。っておいコラ俺の新保さんをるんじゃありません!しかも振り払おうと手を向けると巧みに躱してその勢いを利用しつつ更に激しくってくる。何だコイツ!

「文ちゃん、ちょっとオイタが過ぎるんじゃないかな?

その辺で止めないと実力行使しちゃうよ?」

「田中君の言う通りよ?

そろそろ離れないと永久に雄太くんとお別れになっちゃうよ?」

は変わらないはずなのに青筋が立っているように見えるお二人。てかそろそろ本気でスタンダップしそうなので離れてくださいお願いします。

「ふふっ、そんなに怒らないでくださいよ」

と言いながらスッと俺から離れる。榛名が俺の彼を宣言したのに対抗してコイツは俺の人又は妾を自稱し始めた。無論俺も田中も榛名も認めていない。しかしそんな他人の反対はどこ吹く風で過激なボディタッチを誰にも見られない場所で繰り返し行ってくる。今回のも実は4人のを壁にして誰にも見れないようにして行っている。才能の無駄遣いだからその努力を他のことに向けてくれませんかね………。

俺の胃壁やら何やらがガリガリと削れた頃にチャイムが鳴り3人は各々の席に座り妹は自のクラスへと帰るのであった。

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