《量産型ヤンデレが量産されました》放課後
これもまたどういうわけか午後の授業にじいちゃん先生の授業がある日は無く、晝食後は比較的穏やかに過ごすことが出來る。だからと言ってその日の胃壁君の戦いが終わったわけではない。
「雄太!俺の家で遊ぼうぜ!」
「雄太くん!ケーキを用意してあるから食べに來ない?」
「お兄ちゃん!さっさとお家に帰るよ!」
最後の授業が終わると同時に3人から聲を掛けられる。うん、知ってた。しかし私の答えは最初から決まっているのである。
「うーっし、家帰るぞー」
「早く早く!」
何故一番危険な妹のいに乗るのか。普通に考えて自室に籠れるからです。榛名の家も田中の家も他人が介する余地が無いから行ったら最後、無事に戻れる自信がありません。
「仕方ないなあ、じゃあ雄太の家に遊びに行くか!」
「一旦家に戻ってケーキ持っていくね!」
俺が家に直帰することはわかっていたのか素直に引き下がる二人。しかし何故彼らが家に來ることが既に決定事項となっているのか。これがわからない。
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「いやいや、そんな毎日來なくていいから。
何か他にも用事あるだろ?」
「おいおい、親友と遊ぶ以上に大事な用なんてある訳ないだろ?」
「そうそう。
大好きな彼氏さんの家に遊びに行く以上に大事な用なんて無いよ!」
あんた達こんな時だけ息ぴったりなのね。普通に考えて親友や彼氏と遊ぶ以上に大事な用なんていくらでもあるだろ。あと最近榛名が俺のことを「大好き」という時に顔を赤くしたりしなくなった。なんか寂しい。
これ以上の抵抗をしても全く引き下がらないことを俺は既に知っているので素直に諦める。また、何か一言二言、もしくは全力で抵抗しそうな妹は何故か黙ったまま。これが勝者の余裕か。いや知らんけど。
「はあ、まあわかったけど家には泊めないぞ?
絶対に泊めないぞ?
フリじゃねえからな?」
「「わかってるって!」」
普段からそれくらい仲が良ければ胃壁君の仕事量が減るんだけどなあ。
「う~~自宅自宅」
今自宅を求めて全力帰宅している僕は
普通高校に通うごく一般的な男の子
強いて違うところをあげるとすれば
3人の元ヤンデレに興味を持たれてるってところかナー
名前は高瀬雄太
そんなわけで帰り道を通って自宅の前にやって來たのだ。
ふと見ると隣に一人の親友が立っていた。
ウホッ!いい………なんだろ………。
ハッ
そう思っていると突然彼は僕の見ている目の前で
ポケットから我が家の合鍵を取り出したのだ…!
「それじゃあドア開けるからね」
既に手遅れだった………。いつだ………、いつ作られたんだ………。ぶっちゃけ隙だらけだったかもしれないけどまさか本當にやるとは思わなかったんだよ………!
最初家に來られた時に「あっ」って思ったけど翌日何も無かったし、それからも何も無かったから「泊めなきゃ大丈夫へーきへーき」って思ってたのがいけなかったのか?それとも俺が油斷するのを待っていたのか?あっ、何か今馬鹿の姿が頭をよぎった。あいつが原因だ。俺には分かる。ってことは沒収しても無駄か。畜生。
「お邪魔しまーす」って言ってる聲がいつもより若干楽しそう。理由は考えるまでも無い。逆に俺のテンションはどんどんと下がっていく。これからは安息地帯が無くなるからね。仕方ないね。
いや仕方ないねじゃねえよ、やべえよやべえよ、10日ぶりを久しぶりと言うのかは知らないが久しぶりに本格的な危機がががが。思考停止してる場合じゃねえ!
「いやいやいや、普通に取り出してるけど何で合鍵持ってるのさ」
「え?雄太の姉ちゃんが『いつもうちの弟と仲良してくれてありがとう』って渡してくれたけど?」
なんだろう、適當な理由をつけて「とりあえず渡しとけ」ってじが凄い。そしてその理由にツッコミをれなかったのは非常に都合がよろしかったからですねわかります。
案の定馬鹿が関與しているという事は合鍵を抹消する方向にくのは無駄か。田中を立ちり止………は出來てたら苦労しない。うぬぅ、どれだけ効果があるかは知らんがなんとかして自室の扉に鍵を設置するか。それ以外の部屋にられてもそれ程に不都合は………無い………よね?やっべえ全然自信無ぇ。
そんなこんなで妹はキッチンへ、田中と俺は俺の部屋へと向かうのであった。そして田中がぷ○ぷ○やろうぜ!と言ってきたので、特に斷る理由が見つからずぷ○ぷ○をすることに。何か自然ですっごい距離詰めてきてますけど放置する。もうこれくらいじゃあじないぜ。
田中がもの凄い近い位置に座っていること以外は普通に遊んでいただけの貴重な癒しタイムを楽しみながら田中にフルボッコにされていると妹が俺の部屋にやってきた。
「お兄ちゃん、お菓子と飲み用意したよ~」
「おう、そこ置いといてくれ」
「わかった。
今どっちが勝ってるの?」
あの、妹さんや、どっちが勝ってるかは真ん中の勝ち星數見ればわかりますし、しれっと後ろから抱き付いてくるのやめてくれませんかね。ってああっ、手元が狂って置く位置が!連鎖が!おい田中的確に潰しにくるのやめろ!
「あははっ、お兄ちゃん弱~い」
「お前が余計なことするからだろうが!」
「いや、雄太さっきから負けっぱなしじゃないか」
「やかましい!もう一戦じゃ!」
「え~、お兄ちゃん私ともやってよ~」
ふざけるな!負けっぱなしで引けるか!意地でも田中に一泡吹かせて………あれ?まさか田中はこれを見越して二人用ゲームで俺をフルボッコにしたんじゃ………。
俺の中で田中の策士疑が浮上しかけていると來客を告げるチャイムが鳴る。どうやら榛名が到著したようだ。
「あ、俺が出るから」と告げてさっさと玄関に向かう。部屋に田中と妹を二人っきりにして大丈夫なのかって?知らん。
「いらっしゃい」
「遅くなっちゃってごめんね?
あ、これがさっき言ってたケーキだよ」
と言いながら榛名がケーキを俺に渡す。左手でけ取り「ありがとな」と言おうとするが右手に何か違和が。榛名さんや、あの一瞬で人つなぎとか凄いですね。
「じゃ、雄太くんの部屋にいこっか」
微笑んでいる榛名の左手からは絶対に放すものかという意思がじられる。え?このままで?マジで?突撃しちゃうの?ワオ。
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