《量産型ヤンデレが量産されました》

逃げ場が無いのはいつものことではないかと自分を激勵して帰宅することにする。だが自分を勵ますつもりが逆に悲しくなってきたのでこれは失敗だったな。

右手に榛名を、左手に田中を、ついでに腰には文を。

これまたいつも通りとなりつつある帰宅風景であるが、改めて考えると本當に異常だな。

どうしてこんな狀態なのにまともにけるのかが不思議でならない。両腕と腰を抑えられてはしくらいはくのに支障をじてもおかしくは無い、むしろけないのが普通だと思う。

それなのに「実は俺ひとりで歩いているんじゃね?」と思えるくらいきに不自由が無い。超びっくり。

多分三人とも俺のきを読み、それに合わせていてくれているのだろうけどそれでもおかしい。読み合が半端じゃない。最早気遣い上手とかそんなレベルじゃない。

「なあ、なんでそんなに俺のきに合わせられるんだ?」

気になったので榛名に尋ねる。

「そんなの、雄太くんへのがあれば簡単だよ!」

元気よく答える榛名さんの笑顔が眩しいです。

「いや、があっても絶対難しいよね? 他のカップルとか絶対出來ないよ、これ」

「それはきっとが足りてないだけだよ」

俺の反論に対して自信満々に答える榛名さん。言われてみれば確かにがあれば可能なのか……? むしろ何で他の人は出來ないのだろうか……?

いやいやいやいや、騙されるな俺! があっても絶対無理だから!

あまりに自信満々なので危うく騙されるところだった。本當にそう思わされるかもしれないのでこれ以上この件を追及するのはやめておこう。

心の棚にしまい込んで無心に自宅を目指す。改めて思うが公共通機関を使わずとも通學できる距離で良かったが、もしも俺が電車通學していたらと思うと恐ろしい。

他人の目など一切気にしない彼らは構うことなく今と同じフォーメーションで帰宅しようとするだろう。そうなると大勢の學校とは無関係な人たちに目撃されることとなる。

そうなると當然俺たちに注意をしようとする人も出る訳で、その人の未來を考えるのは…………恐ろしいのでやめておこう。

運よく回避出來ていた慘劇に思いをはせているといつの間にか家に到著していることに気づく。腰に回されている手が新保さんをり始めたために気づいた。我ながらこの気付き方に慣れ始めているのはどうかと思う。

の手をぺしっと叩いていると手馴れた様子で田中が家の鍵を開けて榛名が扉を開ける。いや、ほんとそのコンビネーションはなんなんですか。

橫に三人並んでれるほど我が家の玄関は広くないため、また、流石に家に到著したため彼らはフォーメーションを解除する。多分我が家に到著していなければ意地でもフォーメーションは維持するのだろう。

「ただいま!」

「ただいまー」

勝手知ったる我が家と言った様子で榛名と田中が家にる。本當の住人たる俺と文がまだ外に居るのが面白い。

「ほら、早くろ?」

そう言いながら後ろから文が背中を押してくる。

けどなんというかね? こう、第六が告げるのよ。夏休み、誰の邪魔もらない、絶対何かあるって。

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