《リーンカーネーション 小學生に戻ったおれ》天野さんと山田さん

さてと、さっきのの約束というのは、一緒に市民プールに行くということであった。山田さんにとっては、清水の舞臺から飛び降りる覚悟で言ったみたいだったのだ。そのことに対して何故かいち早く反応したのは、他ならぬ立川さんだった。

「麗ちゃんとプールに行きたいですって!!あんた見たいなの麗ちゃんが相手にする訳がありません!!」

俺からは一切、一緒にプールに行こうなんてっていない。それまでの會話はこうだった。玄関で3人と話をしている俺、その後ろには、妹達が、見たことがないお姉ちゃん達を見て、妄想を始めていた。

「おにーちゃんの彼?」

「ちがう!!あーもう!!話がややこしくなる。ただの同級生!!」

「あ・・そう・・・」

妹達はなんやかんや二人で話し込んでいる。そんな景を彼らは目の當たりにしている。

「わかったと思う、俺・・今・・・妹たちの面倒を見ているから、今日はちょっと無理なんだけど」

現実的に、午前中は妹の宿題を手伝わないといけないと親からも言われてたのは事実で、青木達も宿題をやっていないことが親にばれて行けなくなったということだった。俺は、ちゃんと宿題をやっていたので、今日は行ける予定だったが、青木達の報をどうやって共有していたのか、現代みたいに攜帯がない昭和において神年齢47歳の俺にとって、この當時の親たちの連絡網に恐怖をじた。という訳で、俺は、妹たちの世話係をしている。

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「そう・・・殘念ね・・・でも、ちょっとだけでいいんだけど、お願い」

「お願いといわれても・・・」

そして、俺の耳元で山田さんが

「試合が終わったら、今度一緒にプールに行くから」

だけの話がさっきの立川さんがプールに行くっていったものだから、大騒ぎになったのは言うまでもない。當然、妹たちは、怒り出す。

「おにーちゃんだけずるい!!」

「お父さんにいいつけてやる!!」

そうだろう・・・そうだろう・・・立川さんも妹たちが騒ぎ出すことを予想だにしていなかったようで、早々に、

「私関係ありませんから」

そう言って、玄関から逃走していった。妹達が猛抗議の中、意外に冷靜だったのは、山田さんと天野さんだった。何故か二人は、妹達に話しかけた。

「じゃあ、おねーさん達とあなた達、そして、佐藤君と5人で一緒に行こうか」

天野さんの言葉に、妹達が”わーい”と喜んだのは間違いなく、そこへ山田さんが

「私達3人で妹さんを見ると言えば、両親も納得すると思うんだけど」

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その言葉が妹達を納得させたようだった。

「じゃぁ、お兄さん借りて行っていいかしら」

「「どうぞ、どうぞ、どうぞ」」

という訳で、俺は、學校のグラウンドにいる。しかも、問題を起こした立川さんは平然とその場にいたのだった。というより、彼がいないと3人だと練習が出來ない。という訳で話はバッティングの練習にまで話が戻る。俺の目の前で、足を大きく開いて、手の力だけでバットを振っているスイングを終えた山田さんが

「どう?」

そう聞いてきたので、

「まず歩幅は肩幅くらいにする。そして、腰を回してからバットをだすんだ」

俺が言ったことが全く理解が出來ない山田さん。そこへ、立川さんが、

「何偉そうに言っているのよ、これでも麗ちゃんはヒットは打っているのよ」

うるさいぞ!!帰ってやろうかと思っているとその事に気付いたのか山田さんが

「それより歩幅はこのくらい?」

そう言って歩幅を調整している。そんなちゃんと話を聞いてくれるという真摯な姿勢に俺自としても帰る訳にも行かなかった。しかしだ。構えを教えるが上手く伝わらない。結局バットを持って構えて見本を見せようとした時だった。になった足を見て立川さんが笑った。

「男の癖になんて、本當に打てるのかしら?私でも3振取れそうよ」

山田さんと天野さんは困している表を浮かべていた。この時點で帰るという選択肢もあったけど、こいつ鬱陶しい、俺はバットで立川さんを指した。

「じゃ・・・お前が投げてみろよ」

俺の言葉に立川さんはムッとした表で、マウンドへ向かった。山田さん曰く、彼もピッチャーが出來るそうで、自分たちのチームでは3番手くらい、”じゃ2番は?”と聞くと天野さんだそうだ。3番手と言っても、他のチームだとエース級の実力だと山田さんは言っていた。

「投げるわよ」

のフォームはウィンドミルで腕をグルリと回してボールを投げるフォームだ。シュット投げてきたボールは1,2,3のタイミングでバンとキャッチャーミットに収まった。

「手も足も出ないみたいね」

「まだ、1球目だろう」

すると2球目が投げられた1,2のタイミングでバットを振るとタイミングはドンピシャだ。後は、ボールの中心のし下を叩くだけだ。

キン!!

バットに當たったボールは、ショートとサードの間くらいの位置を抜け、三塁線上にワンバウンドして転がって行った。

「うそ?」

俺の打球に驚いた立川はシュンとなっていた。

「あんなチビに打たれるなんて」

という訳で俺のバッティングコーチは続く、3人を構えさせるとまだ個人特有のフォームが殘っていた。とりあえず、俺は、山田さんの指導から始めた。歩幅を肩幅くらいにしたけど、スイングはまだ、腕力に頼っている。仕方がないから、おれよりも大きい山田さんの背中から、手をまわして、バットの位置を押してるが、”何かがおかしい?”と思っていると腰より腕が先に言っているのだ。これを教えるには、まずバットの位置を決めて、俺は、山田さんの腰に手を當てた。そして、腰をまわし始めた。

「まず腰をまわすんだ・・・こうして」

それを見ていた立川は絶句して後で発狂したかのように激怒するのだが、腰をった狀態で一度腰をまわした。そして、バットを出すタイミングを言ってあげた。

「ここでバットを出すんだ」

「こう?」

すると山田さんのバットがスムーズになった。俺は、もう一度彼の背中から手をまわして、バットを握った。そして、

「腰をまわして、この狀態で、バットを出すとスイングが早くなるんだ」

これを數回繰り返して、今度は、一人でスイングさせると見違えるくらい早くなった

「本當だ!!」

喜んでいる山田さんをよそに立川さんがいきなり怒り出したのだ。

「麗ちゃんに何してんのよ。このスケベ!!おっていたでしょ!!」

怒っている立川さんをなだめる山田さんがぼそりと言った。

「いい子なんだけど、時々、変なところで切れるから大目に見てね」

そして、しばらくトスバッティングをした後、再び、立川さんが投げて數回打席に立ってもらった。格が違うせいもあるのだろう、俺の場合とは違い。時折レフトオーバー位の打球が出ていた。そして、今度は、天野さんの番だ。山田さんのを見ていたこともあって、すんなりと教えることが出來た。

「おっていいよ」

なんて、軽い冗談を言ったものだから本當にると軽く

「えっち・・」

そうは言っていたが楽しそうにしていた。こうして、俺のコーチが終わる頃、山田さんと天野さんは

「佐藤君、私達のボール打てる?」

「さっき打ったでしょ」

「あれは、立川さんのでしょ」

「ま・・・そうだけど、別にいいでしょ」

俺としては、そろそろ帰りたいと思っていたのだが、彼たちはその俺の行が自分達のボールは打てないと錯覚させてしまったようだ

の子のボール打てなかったら恥ずかしいからにげるの?」

「そうじゃないけど」

「じゃぁ・・・勝負しましょうよ」

こまったぞ、彼たちは本気だ。二人とも地區予選ではヒットをほとんど打たれていないとか、それが自信に繋がっているに違いないのだが、

「やっぱ、別にいいんじゃない?無理に勝負しなくても」

「あ・・・逃げるんだ。の子のボールが打てないと恥ずかしいから」

「そんなことないよ」

二人がニヤリと笑った。

「じゃ・・打てなかったらどうする?」

「どうするって・・・」

「私達たちの言うこと1日聞いてくれる?」

「1日は、厳しいな1回ならいいけど」

二人は顔を見合わせて頷いた。

「いいわ。じゃ・・勝負よ」

「ちょっと待ってよ。それじゃ、俺が打てたらどうする?」

「じゃあ〜1回言うことを聞いてあげるわよ」

こうして、俺たちの間の契約が立した。そして、勝負の時、ルールは簡単、彼達が投げた3球の1球ヒットを打った者が勝ちだ。という訳で、俺があっさりと勝ってしまった。

悔しかったのだろう、山田さんが俺のボールを打つとか言い出したが、さてどうしたものだろう。クラスから3番目にチビな俺が素直に直球を投げたところで打ち返しされる可能が高いという訳で、これしかない。

「じゃ、投げるよ」

キャッチャーの天野さんに向かってボールを投げた。

「えっ?」

構えている山田さんはかなり驚いている。それもそうだろう、かなり山なりのボールを投げたのだ。ストライクゾーンの後ろ側をギリギリに通るくらいのボールだ。しかし、山田さんは、ボールと思ったに違いない。

「何よ、今の!!ボール球じゃない」

すると天野さんか山田さんに話をしている。

「ストライクゾーンギリでってるわよ」

「うそ」

「本當にストライクゾーンにってたわ」

釈然としない表を浮かべていた山田さんはそのままバットを構えてた。

第2球目

同じボールを投げると辛うじて當ててきた。

第3球目

同じフォームで、ど真ん中にし早めのボールを投げるとズバーンとボールはミットにおさまった。

「えっ?」

山田さんは驚いてんだ。

「騙したわね〜!!」

「三振は三振だよー」

その時だった。キャッチャーをしていた天野さんが駆け寄って來た。そして、俺の手を取って

「すごい!!今の私に教えて!!ね!ね!お願い!」

こうして俺はもうし練習に付き合うことになった。

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