《リーンカーネーション 小學生に戻ったおれ》えっ?そっち?
井上さんと太田さん、山田さんに囲まれた俺、確実に岡田さんのことで何かを言ってくるに違いなかった。そして、想定通り岡田さんの話をし始めた。
「佐藤君!!岡田さんには注意してよ」
「え?なぜ?」
俺の答えに怒ったのは太田さんだった
「なぜじゃないわよ。多分、彼、あなたのこと好きよ」
「どうして?」
すると山田さんがため息じりに
「あんな事されたら好きになってしまうわよ」
「おれ?何かした?」
「「「あ~あ~」」」
呆れた3人は俺に詰め寄ってきた
「何故、あの時に彼を助けたのよ」
「そうよ」
あの時って、多分、算數の授業の時だろう。そう思っていると
「それに黒板の落書き、あんなこと言ったらだめでしょ」
「え?何が?」
「何がじゃないわよ!!!あんなかっこいいこと言ったら好きになるに決まってるでしょ」
「えっ?そっち?」
「あ~この人何にもわかってないわ」
「本當に困った人ね」
呆れかえっている3人に俺は
「でも、君達でも同じことをしたよ」
「またまた~」
「これだから困るのよねぇ~」
すると3人は俺の肩をポンと叩いた。
「わかったわ。佐藤君を信じる。けど、岡田さんには注意してね。それと沢田さんにも」
こうして、俺は解放された。ようやく家路についたのだがその途中で岡田さんが待ち伏せをしていた。俺を見つけるとどことなくはにかんで笑みを浮かべている。そして、俺に近づいてきて、手を取った。
「今日は、ありがとう・・・ただ、それを言いたくて・・」
言葉とは握りしめているその手にはかなり力がっている。
「別にいいよ・・・」
俺の言葉を聞いてじっと見つめたかと思うとニコリと笑顔をみせて
「じゃ・・・さよなら」
そう言い殘して、彼は、去って行った。
ニジノタビビト ―虹をつくる記憶喪失の旅人と翡翠の渦に巻き込まれた青年―
第七五六系、恒星シタールタを中心に公転している《惑星メカニカ》。 この星で生まれ育った青年キラはあるとき、《翡翠の渦》という発生原因不明の事故に巻き込まれて知らない星に飛ばされてしまう。 キラは飛ばされてしまった星で、虹をつくりながらある目的のために宇宙を巡る旅しているという記憶喪失のニジノタビビトに出會う。 ニジノタビビトは人が住む星々を巡って、えも言われぬ感情を抱える人々や、大きな思いを抱く人たちの協力のもと感情の具現化を行い、七つのカケラを生成して虹をつくっていた。 しかし、感情の具現化という技術は過去の出來事から禁術のような扱いを受けているものだった。 ニジノタビビトは自分が誰であるのかを知らない。 ニジノタビビトは自分がどうしてカケラを集めて虹をつくっているのかを知らない。 ニジノタビビトは虹をつくる方法と、虹をつくることでしか自分を知れないことだけを知っている。 記憶喪失であるニジノタビビトは名前すら思い出せずに「虹つくること」に関するだけを覚えている。ニジノタビビトはつくった虹を見るたびに何かが分かりそうで、何かの景色が見えそうで、それでも思い出せないもどかしさを抱えたままずっと旅を続けている。 これは一人ぼっちのニジノタビビトが、キラという青年と出會い、共に旅をするお話。 ※カクヨム様でも投稿しております。
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