《リーンカーネーション 小學生に戻ったおれ》盜塁
三回表
打順は9番からといっても、三振してしまった。ワンアウトで打席に立つがキャッチャーが立ち上がった。そう敬遠だ。そうとわかった瞬間、ベンチから野次が飛んだ。
ピッチャーびびってるぞ!!
ランナーなしで敬遠かよ!!
アホちゃう!!
しかし彼は俺を敬遠しようとしている。カウントはツーボール
次の送球モーションにった瞬間に構えをやめてバットをピッチャーに背中を向けてバッターボックスから出た。
「タイム」
投球モーションにっていた四谷君は手元が狂って大暴投、しかし、審判は
「ボール」
ハハハ!何やってんだあいつ!!
俺たちのベンチから笑われていた。もう一度、同じことをしてみたが、結局、俺は敬遠になってしまった。普通はな小走りで走って一塁へむかっていくんだが。わざとゆっくり歩いているとコーチから檄が飛んだ。
「早く行きなさいよ!!」
「へーい」
そう言って、片手を上げて返事をしたが俺は、わざとゆっくりと歩いた。それは、さっきの守備でみんなの疲労がたまっていると思ったからだった。ライトの俺にはほとんど関係ない。けど、野の連中はかなり走らされている。中學の部活と違って、町會のソフトボールだ。走り込みなんてみんなやっていない。それを見込んでのバント作戦だとすると、あのおっさん、かなりセコイ・・・そんな方法でいつまでも勝てるはずがない。その攻略は後にして、まずは、俺がフロッグズを困らす番だ。
しかし、ここからが勝負だ。何をするかと言えば、盜塁しかない。しかも、一球目からだ。だから、おれはゆっくりと歩いた。それは、やる気がないというのを見せる為でもあった。一塁についてから2塁へ向けて片足をベースにかけもう片足をベースの後方へだすというポーズはするけど、わざとだるそうにやって見せている。もちろんリードはできない。
どきどきしてきた・・・
四谷がボールを構えてウィンドミルで腕をまわした。ボールがはなれた
今だ!!
「走った!!」
だだだだだだっ!!
キャッチャーがボールを摑んだが、慌てたのかボールをこぼした。
「ボール」
そして、慌てたまま素早くセカンドへ投げようとしたがその頃には俺は2塁に到著していた。
「渉!!ようやった!!」
ベンチから歓聲が沸き上がる。するとフロッグズのベンチからはコーチからヤジが飛んだ
「キャッチャー何やってんだ!!コノヤロー!!」
おっさん・・・盜塁くらいであんなに怒らなくても・・・よく見るとキャッチャーの奴、怒られて委しているようだ。次がチャンスかも・・・そう思っているとコーチからは待てのサインが出ている。しかし、おれは、ここで待たない。こんなチャンスはないのだから、コーチすら無視して獨斷で盜塁をしてやる。そう思うとワクワクしてきた。
ドクン・・・ドクン・・・
鼓が頭にまで聞こえてくる。ワンアウト2塁、ここから3塁への盜塁は無謀だ。けど・・・これ以上のチャンスはない。キャッチャーは委しているようだし、ピッチャーの四谷もコーチにどやされてしぎこちなく見える。だから・・・やる・・・
ドクン・・・ドクン・・・
四谷が投球の構えをした。
ドクン・・・ドクン・・・
ウィンドミルが回って、ボールが離れた
今だ!!
「走ったぞ!!」
ボールをとったキャッチャーは立ち上がったが、丁度、3塁線上にバッターの矢部っちが立っていた。彼はバッターボックスに立っていたので、守備妨害に當たらない。
「くそ!!」
場所を替えて、慌てて投げる
「あーーー!!」
ボールは3塁の頭上を越えて行った。
「よっしゃーーー!!!」
それを見た俺は、そのままホームへ駆け込んだ。
「やったぁあ!!!」
こうして、2対1と引き離した俺たちベンチは歓聲に沸いたのだった。しかし、
「おい・・」
そう言って、コーチにベンチ裏へ連れて行かれ
「よくも無視してくれたな!!」
そう言って凄んで俺の頬を抓っていたが、顔は笑っていた。結局2番、3番が凡退してこの回も終わって、チェンジになった。フロッグズのベンチでは、凄まじい景が見えていた。特にキャッチャーはビンタされる始末・・・かわいそうに・・・たかが・・・町會のソフトボールなのに・・・と思っているのは俺だけなのだろうか・・・
【書籍化・コミカライズ】小國の侯爵令嬢は敵國にて覚醒する
豊かな小國サンルアン王國の宰相の娘にして侯爵令嬢のベルティーヌ。 二週間後の結婚を控えていた幸せなある日、自國が直接関わってはいない戦爭の賠償金の一部として戦勝國に嫁ぐことになってしまう。 絶望と諦めを抱えて戦勝國へと嫁ぐ旅を経て到著したベルティーヌは、生まれてこの方経験したことのない扱いを受ける。 「私はなんのために生まれてきたのか」と放心するが「もう誰も私をこれ以上傷つけることができないくらい力をつけて強くなってやる」と思い直す。 おっとりと優雅に生きてきた侯爵令嬢は敵國で強く生まれ変わり、周囲を巻き込んで力をつけていく。 □ □ □ 小國令嬢の累計アクセス數が2022年3月12日に1千萬を超えました。 お読みいただいた皆様、ありがとうございます。
8 179雪が降る世界
高校一年生の璃久は両親に見捨てられた不治の病をもつ雙子の弟、澪がいる。偏差値の高い學校で弓道部に入り、バイトもたくさん。どれだけ苦しくても澪には言えるはずもなく。そして高校生活に慣れた頃、同級生の瑠璃に會う。戀に落ちてしまうも瑠璃はつらい現実を背負っていた…。 他方、璃久は追い討ちのごとく信じられない事実を知る──
8 149永遠の抱擁が始まる
発掘された數千年前の男女の遺骨は抱き合った狀態だった。 互いが互いを求めるかのような態勢の二人はどうしてそのような狀態で亡くなっていたのだろうか。 動ける片方が冷たくなった相手に寄り添ったのか、別々のところで事切れた二人を誰かが一緒になれるよう埋葬したのか、それとも二人は同時に目を閉じたのか──。 遺骨は世界各地でもう3組も見つかっている。 遺骨のニュースをテーマにしつつ、レストランではあるカップルが食事を楽しんでいる。 彼女は夢見心地で食前酒を口にする。 「すっごい素敵だよね」 しかし彼はどこか冷めた様子だ。 「彼らは、愛し合ったわけではないかも知れない」 ぽつりぽつりと語りだす彼の空想話は妙にリアルで生々しい。 遺骨が発見されて間もないのに、どうして彼はそこまで詳細に太古の男女の話ができるのか。 三組の抱き合う亡骸はそれぞれに繋がりがあった。 これは短編集のような長編ストーリーである。
8 161帰らずのかぐや姫
それは昔々の物語。竹取の翁が竹の中から見つけたのは、大層愛らしい娘でした。 成長し、それはそれは美しくなった彼女を一目見よう、妻にしようと 多くの殿方が集まります。 しかし、彼らは誰も知りません。世に聞こえる麗しき姫君の実體を――。 ――――――――――――――――――――――――― 武闘派なかぐや姫がタイトル通り帰らないお話です。 ファンタジー要素込み。シリアス寄り。ハッピーエンド。 冒頭はかぐやが鬼を食らうことから始まります。特にグロ表現ではないですが。 完結済み作品。自サイトで全文掲載。
8 51胸にヲタクという誇りを掲げて
ヲタクであることを隠して生活している少年 ヲタクになったことを誇らしく思う少女 このふたりが出會う時、ヲタク達はーー ※不定期連載です!
8 107獣少女と共同生活!?
ある日、朝倉 誠は仕事帰りの電車で寢てしまい、とある田舎に來てしまう。 次の電車まで暇つぶしに山へ散歩に行くと、そこにはウサギのコスプレをした少女がいた。 彼女から帰る場所がなくなったと聞いた誠は、自分の家に招待。そして暫くの間、一緒に過ごすことに。 果たして、彼女との生活がどのようなものになるのか? ※作者からの一言 この作品は初投稿で、まだ不慣れなところがあります。ご了承下さい。 また、投稿間隔は気まぐれですが、金曜日に投稿出來るように努力します。毎週ではないですが……。 1話あたりの文字數が1,000〜2,000文字と少ないですが、ご了承下さい。 リクエストなども隨時受け付けています。全ては不可能ですが、面白そうなものは採用させて頂く予定です。 また、小説投稿サイト「ハーメルン」でも投稿しているので、そちらも宜しくお願いします。
8 160