《破滅の未來を知ってしまった悪役令嬢は必死に回避しようと闘するが、なんか破滅が先制攻撃してくる……》第二十話~どれもおいしそうで迷っちゃうっ!~

ベルトリオがケーキ屋さんに連れてきてくれた。しかも、好きなものを奢ってくれるっていう懐の大きさを見せつけてきて……くぅーかっこいい。

私の知っている超俺様系ナルシスト王子とは大違いだぜぇ。

あいつは屑だった。なにが「俺様がお前に貢ぐんじゃない、俺様のかっこよさに溺れたお前らが貢ぐんだよ」っだ。っけ。

だけど、奢ってくれるんだ。おいしいものをたーくさん食べようっ!

でも太る可能がある。ぶっくぶくのご令嬢なんて需要ないよね。

食べられるものは限られている。さて、何を食べようか。

「確か、ショートケーキが絶品なんだよね」

「ああそうだ。ここのショートケーキは最高だ。我が食べ歩いた中でも最上位になるだろう」

「ちなみに一番は?」

「我が家の料理長が作ったショートケーキだな。この店の主人の師匠にあたる人だ」

「ほほう、おいしいケーキ屋さんの師匠とな」

それはかなり期待できそうだ。だって第二王子の家の料理長って、つまりは王宮料理長ってことだよね。ということは、國で一番の腕を持つ料理人ってことだ。

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んで、ここのお店の主人は、王宮料理長の弟子……つまりかなりおいしいってことだっ!

なぜにお菓子屋さんなんだろうという疑問がないわけでもないけどね。中華とかやればいいのに。

あ、今思い出したけど、中華料理ってブスガルト領の自由市場にしかなかった。

なんかもう帰りたくなってきた。

でも今はケーキっ! 何食べよう。

ショートケーキは確定、あとはダークベリータルト、そしてマカロンかな。

むむむ、あと一ついける気がする…………。

私がどれにしようか迷っていると、ベルトリオはとんでもないことを言い出した。

「店主よ、とりあえず全て一つずつお願いする。あとはこの者が注文する」

「了解です、ベルトリオ様。々お待ちください」

すげぇ、全部頼む奴初めて見た。前世の記憶でもそんな奴見たことない。

いったいどこににあのケーキたちはるんだろう。胃袋だろうか。

さすがに私はそこまでできないから……。

「すいませーん、私はこれとこれとこれとこれとこれを全部三つずつお願いしまーす」

「は、はい、かしこまりましたが…………食べられますか?」

「任せてくださいっ! これでも甘味には飢えていますゆえ」

「……可哀そうに、見たところどこかのご令嬢だと思われますが、甘味が食べられないほどなんですね」

失敬な、私はこれでも公爵令嬢だぞ。そんなことを言ってやりたいが、こんなに頼む公爵令嬢もどうなのだろうか。全部で15個のケーキを買う公爵令嬢……我ながらないわー。

ケーキ屋さんの店員さんが「私たちがお持ちしますので席でお待ちください」と言ってくれたので、私とベルトリオは奧にあるひときわ目立つ席に座った。

私的にはもうし普通の席でも良かったんだけど、ベルトリオが言うには彼の専用席らしい。さすが第二王子だ。見かけはともかく中がかっこいい。見かけはひでぇけどなっ! 大事なことなので二度言いました。

席に座った途端、會話が止まってしまった。というか、ベルトリオが「ケーキを食すものの禮儀として、彼らが來るまで神を清めなければならないのだ、我が従妹よ、一緒にやるがよい」なんて言ってくれちゃったので、楽しく會話もできなかったんだけどね。

まあ、豚と話すことなんてないけど。

それにしても、ケーキが來るまで神を清めるとか……どこぞかのラーメン好きなあれかな?

店の人に敬意を示すために、ラーメンが來るまでスマホなどをいじらずにじっと待つことが禮儀だという輩がたまにいる。どうやらベルトリオはラーメン好きすぎる人たちと同類なのかもしれない。

そんなことはどうでもいいか。早くこないかなー。

おいしそうなケーキが來ないかなーと待っていると、思ったよりも早くケーキがやってきた。

どんどんやってくるケーキたちで機の上が埋まっていく。

今更なんだけどすごい景だな。寫真を撮ってSNSに上げたら楽しいことになりそう。

はは、これ二人で食べるんだぜ、ある意味ですげぇわ。

「では、いただくとするか」

「そうだね、いただきまーす」

フォークをそっとケーキに指すと、らかいスポンジが沈んでいき、力をれずとも切ることが出來た。

なんてらかいんだ。さすが薄力。これでドーナッツ作るとおいしんだよね。確かミスドのふわふわドーナッツは薄力で作っていたはず。あれがかなり難しい。

「む、汝は今、目の前にあるスイィィィィィィツ以外のことを考えておるな。なんて罰當たりな。ケーキたちに対して失禮だぞっ!」

え、ええ……なんで私、怒られているんだろう。ていうかなんでわかったの、エスパー?

「なんでわかったのって顔をしておるが、おぬしは顔に出すぎだ」

「あちゃー、もうちょっとポーカーフェースというやつを學ばないとね。それは左斜め下に置いておいて、まずはショートケーキからーーんっ! おいしっ!」

口の中に含んだとたんに広がっている生クリームの甘さ、スポンジの間に挾まっている薄切りのいちごのさっぱりさが後味をすっきりさせてくれる、最高のケーキだった。

これを食べたら、ほかのケーキが食べられない……それぐらいおいしいよっ!

まあ、たくさんケーキを買って貰ったから全部食べるんだけどねっ!

それから數時間ぐらいたったころ。

私の口が限界にきた。前世の記憶だと、焼屋さんでよくある現象だ。

例えば、焼に行ったとしたら、絶対にを食べるだろう。

さっぱりとしたものを食べず、ばかり食べていると、おなかが限界を迎えていたいのに口がを拒絶するようになる。

口の中に脂がまとわりついて、気持ち悪さを発させるからに他ならない。

いま、私はそれと同じ現象にあっている気がする。

口の中に広がっている甘ったるさが、次のケーキを拒絶する。

どうしよう、あと半分なのに……。

ふと、ベルトリオに視線を向けると……すごい形相で私を見ていた。まるで怒れるスイーツだ。

私はいったい何を考えているんだろう。もうあれだ、いろいろと頭がおかしくなっている。

「どうしたのだ、あと半分、たべんのか」

「っく、おなかのキャパはまだ平気なのに、口が限界にきた……。くそっ!」

「ふん、そんなことだろうと思った。なら、店員よ、あれを持ってくるがいい」

ベルトリオが店員に聲をかけると、店員はにこりと笑顔を向けて奧に行った。そして、トレイにティーカップとポットをのせてすぐに戻ってきた。

店員は、私ににこりと微笑むと、カップを私の前に置く。

「お待たせしました、限界突破ドリンクでございます」

なんかすごいのが來たっ!

ポットから注がれる不思議なのお茶? からは何に例えたらいいか難しい匂いが漂ってくる。だけど不思議だ。変なにおいのはずなのに、なんだかすっきりとしたじがした。

なんのお茶なんだろう。

注がれたカップを持って、顔に近づける。不思議なにおいに心地よさをじながら、私はティーカップに口をつけた。

「わぁ、おいしい。なんだかすっきりしたような味だ」

「良かったです。これは良質なヘンプシードから作った當店特のお茶なんですよ」

「へー、ヘンプシードってどんなものなの?」

「そうですね、簡単に言うならば、大麻です」

「ぶふぅー」

たたた、大麻ってあれだよね。麻薬的なあれだよね。幻覚とか見ちゃったりハイになっちゃったりする大変危険なものなんだよね?

そんな危険なお茶飲んじゃったっ!

どどど、どうしよう……。

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