《破滅の未來を知ってしまった悪役令嬢は必死に回避しようと闘するが、なんか破滅が先制攻撃してくる……》第二十三話~王城を散策するよっ!~

まるで養豚所の豚のように手のスイーツを食い続けるわが國の王子様。なんて醜い姿なんだろう。一何があったらこんなことになるのだろうか。きっとつらい日々に逃げようとして食べているのだろう。

今はそっとしてあげよう。

「ぶぎゃあああああ、スイィィィィィィィツ」

マジでそっとしてあげよう。

という訳で、私はその場からこそこそと抜け出した。お父様もなんだか楽しそうにお話をしている。

お母様は…………殘像だ。

セルシリア様も…………殘像だ。

かすかに聞こえる、金屬と金屬がぶつかるような音。

「半蔵、お母様とセルシリア様が何しているのか見える?」

おそらく天井裏にいるであろう半蔵に訊いてみた。すると、床が揺れた。そして床が外れて半蔵がひょっこりと顔を出す。

床、外れるんだ。床は石のタイルで敷き詰められているから隙間もないはずなのに…………。

「なんと見事な戦いでござろうか。さすが、皆殺しのセルシリアと首狩りシルフィーと呼ばれている人でござる。というより、さっき知ったでござるよ。主殿の屋敷にいた疾風旅団の人たちから全部聞いてきたでござる」

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「そういえば、誰かがそんなことを言っていたけど……それってお母様のことだったんだ。それに王妃様の二つ名が皆殺しって」

「あの二人は疾風旅団のリーダーと副リーダーでござるよ」

「ああ、だから王都の屋敷に疾風旅団のメンバーがいたんだ」

なんとなく納得した。ふむ、あれも放っておいた方がいいよね。

という訳で、私は一人になってしまった。

お父様とディールライト様は真面目な話になっちゃったし。お母様とセルシリア様は殺しあっているし、豚は地面に顔をつけて手をすすってるし。

そうだ! お城を探検してみよう。私だって一応公爵令嬢だし、きっと大丈夫だよねっ!

そう思って私は、そっと扉を開けて部屋を出た。

出た先はまっすぐ長くびた廊下だった。曲がり角が一切ない、ただだた長い廊下が若干不気味に見える。

何も見えないはずなのに、クスクスと笑い聲が聞こえた。

王城怖い……。

聲にビビって、壁際に立ち、辺りを見渡した。だけど誰一人としていなかった。

半蔵に聲をかけたが反応が返ってこない。もしかしてあいつ逃げた? 主を置いて逃げた? ひどいよ。こんな怖いところで一人にしないで。

そう思った瞬間、突然大きな音がした。

びっくりして、を震わせて目をつぶってしまう。だけど何も起こらなかったので、そっと目を開けると、辺りが暗くなっていた。

まだ日は沈んでいないはず、ならなんでこんなに暗いの。

もしかして、雲が太を隠してしまったとかだろうか。

でもこの暗さは不自然だ。そう思って窓に顔を向けると……。

「じーーーーーーーー」

な、何かいるっ!

私は急いで振り向き壁を見つめた。再び窓を見るのが怖い。私はいったいどうすればいいんだろうか。この狀況の打開策を必死で考える。けど何も思いつかなかった。

ガタガタとを震わせていると、ポンっと肩をたたかれる。

怖い気持ちをぐっと押し込んで、ゆっくりと振り向くと……。

「じーーーーーーーーーー」

っと口で言っちゃう殘念なメイドさんがいた。纏っている雰囲気がアンにそっくりで、怖い気持ちが不思議と消えていた。

あたりを見渡すと、さっきまで暗かった廊下が明るくなっている。

メイドさんは私に近づくと、ほっぺをぷにぷにしてきた。

「わ、ちょ、何するのっ!」

「おいしそう、食べていい?」

ニタリと笑うメイドさんは、どこぞかのホラー小説に登場する幽霊のようだった。再び怖いという気持ちがわいてくる。でも、そんな気持ちはすぐに霧散した。

「ちょ、冗談っすよ。ところで、こんなところで何やってるですかー、馬鹿なんですかー、ぷーくすくすっ! だっせー」

うぜぇ、すごくうぜぇ。話しかけてくれた瞬間、アンの同類だと確信した。

あまりかかわりたくない。

「あなた、とてもうざいわ」

「よく言われるっす。あ、自己紹介したほうがいっすか? 私はクリスティラ。一応あの豚のそば付きメイドをやってるっす」

「私はヘンリー・フォン・ブスガルトですわ。頭が高い、控えなさいっ!」

「ははーってなんでやねん。ヘンリーちゃんはあれっすか、アンのところの公爵令嬢っすか」

「言い方がかなりうざいけど、まあそうね。アンは家の庭師よ」

「あれ? メイドじゃないんっすか」

「まあいろいろとあったのよ」

それから私は、屋敷で起きた忌まわしき事件のことを語ってあげた。まあ、事件が起きてからそこまで時間がたっていないんだけど。

クリスティラはリズムよく、うんうんと相槌を打った。

そして、すべてを語り終えた後、彼はこんなことを言いやがったのだ。

「ところで、なんの話をしてたっすか」

「嫌だからね」

「あ、耳栓とるの忘れてたっす。んで、なんの話っすか」

「耳栓して私と會話してたのっ。その事実に逆に驚いたわよ」

「へへ、褒めなくても」

「褒めてない、褒めてない」

この子、いろんな意味で頭のネジがぶっ飛んでやがる。大丈夫なんだろうか。

「からかうのはこの辺で終わりにして、アンが転職したことについては了解っす。教えてくれてありがとうっす」

「私の話、ちゃんと聞いていたんだ。だったらふざけないでちゃんと言ってくれればよかったのに」

「耳栓してたのはほんとっすから、話はちゃんと聞いてないっすよ。読がつかえるっす。口のきでなんとなく理解しただけっすよ」

「ある意味でその特技はすごいわ」

私もやってみたいわよ、読……。でもきだけで何言っているかわかるわけないじゃない。それがわかる、一握りの天才ってことね。

「あ、一つお願いしたいことがあったっすよ」

「え、何突然」

「無禮な態度をとっているの謝るんで、殺さないでほしいっす」

「今それ言うのっ! おかしくねぇ!」

なんで今更そんなこと言うのさ。私はもう気にしていないし、アンで慣れちゃったから。それに、分なんてあまり気にしたってしょうがないんだよ。

あまりにもうざいと、処刑とか口走っちゃうかもしれないけど、アンよりはうざくないからまだ大丈夫。

私は、クリスティラに向けて了解の意味を込めて親指を立てた。するとどうだろうか。クリスティラはとても悲しそうな表になり、うつむいてしまう。

私、何か変なことしたかな。

気になって顔を覗き込む。すると、うざったらしい笑みを浮かべてこっちを見てきやがった。

う、うぜぇ。

「もう一つお願いがあるっす。聞いてくれないっすか?」

「別に聞いてもいいけど、変なのは嫌よ」

「変なお願いっすけど、お嬢様には被害がないので大丈夫っすよ。被害をけるのは豚だけっす」

「ならよし。聞いてあげるわ」

「私には願い事があるっす。あの豚をやせさせて、引き締まった筋につけさせて……」

理想の男の子にでも育てたいのだろうか。でもあの豚だぞ。趣味悪いな。

それともあれかな。ショタコンなお姉さん。やだわー。

世間一般的に、ロリコンは危ない、ロリコンは病気、ロリコンは死ねばいいとさんざん言われているが、ショタコンについてはあまり聞かない。私が聞いていなかっただけかもしれないが。

なんかの子から手を出す場合は何も言われないっぽいイメージが出來つつあるけど、ぶっちゃけロリコンもショタコンも同じだからな。ロリコンが紳士でなくてはいけないように、ショタコンは淑でなくてはならない。

けど私の目の前にいるショタコンはどうだろうか。好みの年を目の前に出せば、すぐさま襲い掛かるような気がする。

やばいな、こいつも。

「飢えた野獣のような男どもの中に放り投げていでいるシーンが見たいっすよ」

「考えていたことよりもひどかったっ!」

ちょ、ちょっと予想の斜め上行き過ぎよ。逆に怖くてなんも言えんわっ!

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