《あの日の約束を》16話 夢……かけがえの無い親友

友達。誰もが當たり前のように使う言葉だ。意味は言わずとも問題はないだろう。

そんな『友達』についてひとつ考えて見てほしいことがある。

あなたにとって友達とはどのような存在なのだろうか? 言い方を変えば、知り合いから友達へ変わる為には何が必要だと考えるのだろうか?

おそらく人によってこの答えは様々だろう。友達になる基準は人それぞれ違う。だからこそ最初は流れで作ることができても、長するにつれて違和じてお互いに最低限のコミュニケーションのみになってしまうような人もいる。もしかすれば一生會わなくなる可能もあるのかもしれない。

『1年生になったら、1年生になったら、友達百人できるかな』

ある歌の歌詞の一部だ。い頃の自分はこの歌を聞くたび、友達とは沢山いればいるほど良いことなのだと思っていた。

でもしだけ歳を取った今の自分が改めてこの歌詞を見てみると以前とはまた別の考えが頭の中に思い浮かぶ。

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友達が沢山いることもは確かに良いことだ。けれどただ多ければ良いというものでは無い。友達が沢山居なくも、心から信頼できる友が1人でもいればそれだけで良い。その1人は百人に勝る価値があるのだと。

今の僕にはまだうまくは言えないけれど分かってくれる人がいたら嬉しいなと心の片隅でそう思う。

とある休日のお晝頃。教材の散らかった部屋の中でゲームをする2人の年がいた。1人は僕、もう1人は數ない親友の鈴木裕斗だ。

今僕たちの通う學校はテスト期間間近ということでほとんどの生徒は家で自主勉強をしているのだろう。かく言う僕も親友のうちに來てから先ほどまでは裕斗と共に黙々と勉強をしていた。そして一応自分で決めた範囲までは終わらせることができた。すっかり頭は疲れ切ってしまってしまい互いにバテてはいたが終われば良しだ。

出來ればもうし余分に勉強をするべきなのだが流石にこれ以上は頭がパンクしてしまう。そう言うことでゲームをして気分転換をしようと言うことになったのだ。

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「よし、1人倒した……ってそっち1人行ったぞ」

「噓っ!? こっちは今2人同時に相手にしてる最中だってのに。ヘルプ! ヘループ!!」

ゲーム畫面には緑あふれるマップに2の飛龍と4人の人が寫っている。プレイヤー側がモンスターだ。僕は緑の飛龍を、裕斗は赤い飛龍を作している。相手はハンターという人種とアイルーという牙獣種が敵として存在する。今回の敵は全員ハンターということになる。

ちなみにゲームのタイトルはモンスターサバイバルP2Gだ。聞き覚えがあるゲーム? キノセイダトオモウヨ。

ちなみにこのゲーム、初代はモンスター側が圧倒的有利なヌルゲーなのだが新作が出るごとにどんどん敵ハンター側が強くなり、今では死にゲーと言って差し支え無いものになっている。もはやマゾゲーの域に達しているのでは無いのだろうか? まぁゲーマーとしては難しいほど攻略のしがいがあるというものだ。

さてそんなゲームをやってたわけだが、今僕は非常に困った狀況に直面していた。このままもう1人のハンターの接近を許すと2対1から3対1の狀況になってしまう。モンスター側のステータスはとても高く相手の數が増えてもすぐに問題になるというわけでは無い。だがそれはあくまでその時點での話だ。流石に無敵というわけではないから出來る限り多數対1は避けたいところなのだ。実際今はHPがそこそこ削られててしよろしく無い狀態だから尚更困る。

「分かった分かった。んじゃ火球打つから合わせるんだぞ」

「了解」

裕斗の作する赤い飛龍が3発の火球をハンターに放つ。

「よし打ったぞ!」

火球はそれぞれが見事ハンターを捉えた。2人は前転で回避した。直ぐにも取っている為即座に戦闘復帰するだろう。殘りひとりは間に合わないとじたのか盾で防をする。飛龍のブレスは強力でHPこそ盾に阻まれて削れなかったが相手の制を大きく崩すことに功する。

「ナイス、隙ができた! くらえサマーソルト」

すかさず僕は毒攻撃を行い毒付與をしつつ強力な一撃をたたき込んだ。敵は通常ダメージに毒の継続ダメージをもらい、2人のハンターから離れた位置に吹き飛ばされる。

「ここで攻める! 3連タックルを喰らえー」

僕は続け様に1回、2回、3回と連続で長距離タックルをかました。タックルのタックルの間は攻撃中斷モーションと似たきをする為、敵側からすると止まるのか止まらないのかが判斷しにくい技だ。もしハンター側をプレイできるゲームでこれされてたら僕は発狂してたかもしれないな。

吹っ飛ばした1人に追撃をしてきっちりととどめを刺す。その際殘りのハンターも巻き込むことに功した。僕は盾持ちをきっちりとしとめ、裕斗も空からの一方的なブレス攻撃で起きたばかりの2人を容赦なく倒したのだった。

「なんか相手がAIじゃなくてプレイヤーだったら凄く恨まれそうな倒し方をしたな」

「いやそっちも大概だろ」

僕が優斗の方をジト目で見ながら呟く。すると親友はお返しと言わんばかりにそう言い放った。

「まぁ否定はしない」

「しないんかい」

敵がまた來るまでしばらく時間がある。その間ただ待つのも暇な為僕らは適當に話をすることにした。

「そういやあっという間だよなぁ」

「ん、何が?」

流石に言葉足らずだったようだ。相変わらず僕の言い方は分かりにくいなぁと思いつつし伝え方を意識しながらまた話し始めた。

「學校だよ。部活ももう終わったし、次のテストが終わったらもう何もなくなるからさ」

裕斗はゲーム機をいじりつつも僕の話に耳を傾けていた。多分これまでのことを思い返しているんだろう。

「その時その時は長いなぁって思ってたけどこうして學の時のことを思い返すとさ……あっという間だったなぁって」

気がつけば高校學から2年が過ぎていてこの1年も殘り數ヶ月しかない。小さい頃は1日どころか一時間ですらとても長くじていたというのに。授業の最中は流石に長くはじるものの、學校が終わるともう1日が半分以上終わったんだなとよく思うようになった。

「そっか……確かにそうだよなぁ」

今回のテストが終われば殘る學校行事もあと僅かだ。それぞれが進學、就職活をすることになるから在學こそしているものの學校にいる時間も短くなるし同じクラスメイトでも教室にいる時間はバラバラになるだろう。

「そういえば裕斗は進學だっけ? それとも就職希?」

「俺は県外の大學希。そっちは?」

「僕は地元の企業に就職希をしてるところ」

「納得だな。お前は前々から學校嫌ってたし」

「いや學校は楽しかった。ただ勉強がダメだったんだよ」

「それ矛盾してね?」

「ちょっと紛らわしかったか。正確には學校行くこと自は別に嫌じゃなかった。ただ授業ペースだったり課題の量だったりが……ね」

學校に行くことで得られることは沢山ある。友人と話したり、図書室で本を読みふけったり。うちの學校では専門科目もあったから難しくはあったもののかなり楽しく學べたと思う。

ただやはり苦手科目の時間は地獄だった。テストなんてやる日はもう頭が痛くて仕方なかったし。

「今更だけど自分で科目を選べる學校に行きたかったなぁ」

「総合學校か? それはそれで大変だと思うぞ」

「だよね……それに今更だし」

中學の時もうし高校選びをしっかりとしておくべきだったかな。しだけそう思ったがこの學校を選んだからこそ今の自分があるんだと思い、それ以上考えることをやめた。

「あれだな、卒業したらこうして會いづらくなるよな」

「だな。希通りに行けば俺は県外、歩は県だもんなぁ」

僕と裕斗は稚園の頃からの仲だ。だからあとしで離れ離れになると思うとし寂しさがこみ上げてくる。

男同士で気持ち悪いとか思われるかもしれない。それでも僕はこいつとはいつまでも仲良くいたいとつい思ってしまうんだ。

「卒業後もなんとかして會えんものかねぇ」

「……はぁ〜、分かったよ。なんとか時間作ってやるからそっちも時間あけとけよ」

「その言葉を待っていた。もちろん開けとくでそん時も楽しもうや」

そう話しているとゲーム畫面に敵が映り始める。僕らはまたゲーム機を取って沒頭していくのだった。

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