《あの日の約束を》18話 知り合いから友達へ
◯引き続き鈴音視點より
修君と初めて會ったのは小學生の頃。絵本を読んでいるときに修君から話しかけられたのがきっかけだったと思います。
「何を読んでるの?」
「え? えっと、魚の絵本」
「へぇ、魚好きなの?」
「う、うん。好きだよ」
「ふーん」
そこで話が止まりしの時間沈黙が続きました。私からも話を振るべきだったのかもしれません。しかし普段人と話すよりも絵本ばかりを読んでいた私にはどう話を振れば良いのかがわかりません。
途方にくれているとそんな私の気持ちを知ってか知らずか、修君の方からまた話を切り出してくれました。
「よかったら一緒に見てもいいかな?」
私はし考えました。私と一緒だと退屈になるんじゃないかな。特別な絵本というわけでもないから飽きちゃうんじゃないかな。そんなマイナスな考えももちろんありました。
でもそれと同時に私にとってはめったにない男の子との會話をできるチャンスなんじゃないのかな。私の読んでる絵本に興味を持って話しかけてくれたことに対する嬉しさといった気持ちが強く殘りました。
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そして私は考えたのちに修君の返事に頷いて返しました。
「ありがとう」
「ううん、気にしないで」
當然最初はし不安な気持ちでした。でも時々彼が質問をしてきてそれに私が答えているうちにそんな気持ちはしずつなくなっていきました。
気付けば修君は休み時間の終わるギリギリまで一緒に本を見てくれていました。
「ありがとう……えと、すずねちゃんでいいのかな?」
別れる直前に彼は私の名札を見ながらそう聞いてきました。
「うん、そうだよ」
「僕はおさむ……また一緒に絵本見ようね」
そう言うと修君は自分の教室に戻っていきました。
「うん……またね」
時間にしてたった數十分。男の子との子が絵本を一緒に見ただけというとても簡単な出來事。でもそれは私にとても大きな変化をもたらしていました。
他の子と同じようにできるのかはまだわかりませんが彼となら仲良くなれるような気がしてきます。
「明日もお話ししたいな」
そう呟いた私は自分自がほんの僅かに、それでも確実に変わり始めたことをまだ知らないのでした。
………
……
…
◯カナ視點
「それからは私からもちょっとずつ話しかけるようになってね、小學校を卒業する頃には今みたいなじの仲になったの」
「そうなんだ」
最初はゆっくりと思い出せる範囲で鈴音さんは話をしてくれました。そして話すうちに當時のことを思い出したのか、數十分たった今では次から次へと修君との話を私に聞かせてくれています。話している最中の顔は昔を思い出しているのかとても幸せそうな顔で、そんな鈴音さんの顔を見て笑顔になってしまいそうです。
「ふふ」
「カナさんどうしたの?」
「なんでもない、っと教室著いたね」
「え? あ、ほんとだ。ごめんね長々と話しちゃって」
「別に気にしなくもいいよ」
話を聞いているうちにあっという間に教室に著いてしまいました。鈴音さんは謝っていましたが、それでもまだまだ話したそうな顔をしています。それだけ彼にとっては大切な思い出なんでしょうね。
私とはなちゃんはい頃から一緒だったので鈴音さんと修くんのような出會いもなくて、こういった話はとても新鮮でこちらからも是非もっと聞かせてしいと思うほど興味深いものでした。
「そうだ! 鈴音さん、ひとついいかな?」
「どうしたの?」
「えっとね……鈴音さんのことこれからは鈴音"ちゃん"って呼んでいい?」
「え? いいけど……どうして?」
「それは」
今更じゃないかなとも思いました。でも言わないままうやむやに過ごしていくのはなんだかスッキリしません。
それにここまで大切な思い出を話してもらったんです。私は鈴音さんと今以上に仲良くなりたいです。
そう考えた私は思い切って鈴音さんに気持ちを打ち明けることにしました。
「いつまでもさん付けだとなんだかよそよそしいかなって思って。あとね、なんだか呼び方を変えるだけでより仲良くなれる気がするから」
「……ふふ」
私の話を聞いた鈴音さんはしばらく無言になったかと思うと今度は小さく笑いだしました。
「な、何か変だった?」
「いいえ〜なんでもないですよ〜」
自分のセリフを思い出して恥ずかしくなり、たまらずそう聞きました。帰ってきた返事はなんだかいつもの鈴音さんの返事とはすこし違うような気がします。
すると次の瞬間、鈴音さんはぐっと私に近づいてきて耳元でささやきした。
「カ・ナ・ちゃん」
「あぅ…」
それを聞いた途端顔がボッと暑くなるのをじました。自分で言っておきながらどうかとは思いますが、とても恥ずかしいです。ですがそれと同時にちゃん呼びされたことに私は若干の嬉しさもじていました。
恥ずかしさとちょっぴり嬉しさが混ざり合い鈴音さんの顔を見ることができません。1秒にも満たない時間の中でいろいろなに襲われました。それでもなんとか心を落ち著かせ鈴音さんに向き直りました。
「もぅ、……じゃあ改めてよろしくね鈴音ちゃん」
「うん、よろしくね」
いつまでも教室の前で話し込んでいるのもいけないと思い、おろしていた手をドアにかけて開きました。
教室にると音に反応してはなちゃんと修君がこちらを向きました。そのあと私たちは他のない話をしながらも4人でテスト勉強の続きを始めました。ふと窓の外を見ると空に4つの小さな雲が浮かんでいました。その雲はゆっくりと近づき、やがて1つの中くらいの雲になり視界の端へと流れていきました。私とはなちゃん、修君と鈴音さん。雲が1つに重なり共に流れて行くように、私たちも4人で仲良くこれからを過ごしていきたい。なんてちょっと中二病っぽく? 思うのでした。
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