《あの日の約束を》19話 完璧な人間

「はいそこまで!後ろからテストを集めてください」

「はぁ〜やっと一科目終わった」

俺、早川修にとってはできれば來てしくなかった中間テスト初日。一応これまでとは違い鈴音だけでなくカナや花の協力も経て今日まで勉強をして來た。今までのと比べれば自信があるのは圧倒的に今回のテストだと斷言できる。

ただそれでもテストというものは好きになれない。喋ることはおろか音を立てることにすら張を覚えるこの空気は早々慣れることのできないものなのだろう。

そんな疲れる授業がまだあと2時間も。もっと言えばあと2日も殘っているなど考えるだけでも気が滅るというものだ。

「はぁ……テストをやるよりも育の授業をやっていたいや」

「テストはまだまだこれからだよ、修君」

そうぼやいているといつのまにか鈴音が隣に來ていた。鈴音はまだまだ余裕な様子だ。それに比べ俺はたった1限目でこれだ。いつもならすぐ気付くところだが、やっぱテストは神力もってかれるのかな。

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俺は目頭を押さえながらの力をゆっくりと抜いていく。俺はこの通りの狀態だが殘りの2人はどうなのだろう。そう思ってカナと花の方をそれぞれ見てみる。

花の様子を見てみるとやれることはやったが結果に自信がないといったじだろうか? し顔を強張こわばらせながら教科書を見返していた。

一方のカナの方は黙々とこの後の教材を眺めていた。もうすでに思考は次の教科へと向いているのだろうか? 俺なんかすでに疲労困憊だというのに。

「どうなってんだよあいつ」

「ん、何が? ってもしかしてカナちゃんの事?」

「そうそう、見てる教材がもう次の時間のやつだぜ? さっきのテストの振り返りはもう済んでるってことなのか……時間短すぎないか?」

「さっきし話して來たんだけど『ほぼ全問正解で間違いないと思うから軽く確認したあとは次の科目のチェックするつもり』って言ってたよ」

「マジで何もんだよ」

他人が同じことを言えばウケ狙いの冗談か自信だけが高い輩と思うところだ。でも一緒に勉強をしていたから俺は知っている。カナは本當に心からそう思って行っているんだと。

あいつは本當に自信があることははっきりと言う。そして自信がない場合はとことん調べ盡くして『分からない』と言う狀況を作らないようにしている。俺はお察しの通り勉強が苦手だ。だから同じことをしようとしても俺にとっては苦行にしかじないだろう。それをあいつは當然のことと言わんばかりに行なっている。

一見すれば勉強好き、勉強熱心というふうに見れる。そりゃ人は1人1人違うのだから勉強好きな奴が何人かいたっておかしくはない。でも俺からするとカナは無理をしているように見える。漠然としていてうまく言葉には出來ないのだが、ただ1つはっきりとじるのだ。あいつは何かが違うと。

「……考えすぎか」

「なんのこと?」

「テストで頭が疲れたから休みたいなぁと考えてた。というわけでずる休みしていいか?」

「ダメ♡」

「だろうな……くそう」

ちなみに鈴音の方はどうだったかと言うと、中々いいじだったようでニッコリとしながらバッチリだったよ! と自信ありげに言った。

「それじゃあ私は次の科目の確認したいから席戻るね」

「おう」

鈴音が席に戻るとまた先程の考えが頭を過ぎる。実際のところどうなのかは分からない。もし本當にカナが無理をしていたとして本人がそのことをどう捉えているのか。まぁそもそも俺の勘違いなのかもしれないからなんとも言えないのだが。

結局言ってなかったが鈴音に相談した方がいいのだろうか? 同じ子同士の方が話しやすいだろうし、俺じゃなくて鈴音だからこそ言えることがあるのかもしれない。

「別にテスト期間中に無理に話すこともないか」

話はしておいた方がいいだろうが別にそれは今じゃなくていいだろう。変に気負わせるのも悪いし。そう自分の中で考えをまとめ終わった時、休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。

「はい、そろそろ席につけよ〜」

ガラガラと教室のドアを開けながら次の科目擔當の教師がってきた。友達の心配も大事だが今は自分の心配をした方がいいかもしれないな。

俺は機の上に目を向けると、ある重要なことに気がつく。

「……確認忘れてた」

機の上には広げたまま1ページも進んでいない教科書とノートが広がっていた。もはや見直している時間はなく、すぐに片付けないと間に合いそうもない。

「(く……やってやる。今日まで散々勉強してきたんだ! 確認なんてしなくても十分ダァ!!)」

俺は半ばヤケになって次のテストへとむのだった。

………

……

「ぐえぇ」

「大丈夫?」

「あぁ大丈………いや、やっぱきつい」

あの後なんとか無事にテストをこなすことが出來た。そしてなんとか今日の授業を全て終えることができた。ただ自分からハードルを上げるような真似をしたため無駄に疲れが増した気がする。

しかし殘念なことにまだ今日は初日だからこの地獄はまだ続くわけで、そんな事実を改めて把握した俺は全力で機にもたれかかっていた。

「あらら……修くん本當に疲れてるね」

鈴音はそんな俺の様子を見かねてそう言う。

何か答えてやりたいが正直喋るのもだるくじた俺は頷いてそれに返した。

しばらく椅子に突っ伏していたが流石に腹が減ってきた。

きたくもないけど空腹はもっと我慢できない。

「鈴音帰り道コンビニ寄ってかないか?」

「そうだね。ちょっとお腹空いちゃったし、カナちゃんたちにも聲かけてくるね」

そう言って2人の所に向かうとその2人を連れて戻ってきた。

「今から帰るところだったからちょうどよかったね」

「うん、聲かけてくれてありがとうね鈴音ちゃん」

「んじゃあ帰るか〜」

「「は〜い」」

「………」

2人は反応したがなぜかカナは返事をしない。何かを考え込んでいるのかし難しい顔をしながらその場にとどまっている。

そんなカナにはなが聲をかけてこちらに來るように促している。

誰だって考え込んでしまい周りが見えなくなってしまう時はある。もちろんカナだって同じ人間なのだから當然そういう場面が全くないなんて思わない。だけれど実際のところカナは普段そんな様子を滅多に見せない。だからきっと今俺は違和じているんだろう。

結局帰路で別れるまでカナからそのことを話すことはなかった。気にならないとは言わないが俺にだってやらなくちゃいけないことがある。明日のテストの事とか。

そんなわけで俺はなんとか気持ちを切り替えようと深呼吸をする。

ふと見上げると雲がしずつ空を覆い始めている。明日は雨かなと考えながら俺と鈴音は帰路を歩んでいった。

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