《あの日の約束を》21話 放って置けないあの背中

思ったことは即行。これはわたしが困ってどうするか迷ったときに必ず考えることです。

テスト2日目の朝私は自分の準備をしつつさりげなく後ろの席に意識を向けていました。もちろんそこにいるのは昨日話そびれてしまった彼です。1限目の開始までまだ時間に余裕がある今こそ話しかけるチャンスでしょう。

ただし今日のテストの學科が苦手でなさそうなら別に無理をして話しかけに行く必要はないでしょう。それになにも考えずに話しかけに行ったら流石に迷になってしまうかもしれません。なのでまずは彼の様子が悪くないかの確認をするのでした。

1限目終了後……

「(結局そのまま1限目終わっちゃった…)」

あの後彼は特に困った様子もなく教科書とノートを確認していたので注意はしつつ私も自分の方の確認作業をしていました。テストが終わりまたさりげなく様子を見ると淡々と次のテストの範囲チェックをしていました。

「(大丈夫だったのかな)」

そう思いつつ1限目と同様に注意しながら2限目のテストの確認をしていきました。

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2限目終了後……

またしても何事もなくテストが始まり、そして終わってしまいました。ここでし困ったことが起こってしまいました。先ほどのテストでし不安な部分が出てしまったのです。

幸いにも時間をかけて解くことができたので問題はありませんでしたが、流石にこれ以上意識を割きながらの確認は危ういかもしれません。次のテストは流石にしっかりと集中した方がいいかもしれないとそう思いながらも一応彼の方を見ました。

「ん……あれ?」

すると先ほどと違い何か困っているように見えました。間の悪さが意図的にもじてしまうそのタイミングに思わず困してしまいます。しかし一度決めたことを曲げるわけにはいきません。それに改めて困っている彼を見ると放っては置けないと思ってしまうのです。

「鬱陶しいって思われないといいな」

そう小さく呟きながら私は彼の席へと進んでいきました。

「わがらないところがあるの?」

「……え?」

張しながらもわたしは最初の一言目を投げかけました。すると彼は話しかけられたことが意外だったのか目を丸くしながらこちらを凝視していました。それはそうですよね、私たちは初対面ですし。しっかりと話すのもこれが最初のはずですから困するのも當然です。

「えっとね、なんだか困っているように見えてね。どこか分からないところがあるのかなぁって気になって」

続けてわたしが語りかけると彼はビクッとを震わせました。意識が抜けていたようですがそこまで反応するなのでしょうか。ちょっと不安になりましたがそを表に出さないよう注意して返事を待ちました。

「あ、えと……わからないところ。う、うん……確かにわからないところがあって困っていたところ……です」

なんというか先輩と後輩の會話みたいなじになっちゃってますね。もうちょっとリラックスしてもいいでしょうに。

「(ううん、それも無理かな)」

そう考えましたが即座に自分でそれを頭の中で否定しました。なぜなら私もさっきまでは僅かに張していました。今は目の前の彼が私以上に慌ててるので逆に私が冷靜になっているというだけの事に過ぎません。彼も同じように張して、きっとそれは私がじたもの以上なのでしょう。

「もしよかったらね、どこか教えてくれない? 私もちょっと確認て起きたいし」

それなら私がすることは相手を焦らせず話しやすい言い方でテストの話題を振る。きっとこれが今私にできる最善の行だと思います。

「えっと……ここかな」

彼はすこし迷いつつも、私にわからない場所を教えてくれました。

「この問題ね。これは……そうそうこのページにその容が載ってるね、だから……」

こんなじでしばらく私はわからない場所を聞いて、答えのヒントが分かる教材のページを言っていきました。話すうちに問題の方に集中してきたのか彼から張のしずつ無くなっていきました。

しかしそれと同時に今度は問題に苦戦して難しい顔を見せるようになりました。

「(數時間前は普通に確認作業をしてたのに今はすごく大変そう)」

こうして近くで見ていると彼の事がしだけわかってきた気がしました。問題に対して苦手意識はあるものの、一杯解こうと努力しているように見えます。彼は解ける問題は迷いなくペンを走らせています。しかしどうしても分からない所はペンが完全にかなくなるようでした。

しお節介かなとも思いつつもうし踏み込んで解説したり教科書の容をより部分的に伝えてみました。するとし手を止めて考える仕草をした後、またペンをかし始めました。

………

……

チャイムがなり、それに続いて擔當の先生が教室にってきました。流石にもう片付けをしないとテストが始まってしまいます。

「ちょっとしか手伝えなかったけどごめんね」

「ううん助かったよ……ありがとう」

急に話しかけたことが迷になったのではないかと不安でした。でもその心配はなさそうなので安心です。

彼は片付けのため教室を出ていき、私も自分の機に広げたままの教材を片付けるために戻りました。

私も自分の準備をしなければなりません。片付けを終えて機に戻るときにふと自分のある変化に気づきました。

誰かのために自分ができることをしてあげることができたからでしょうか?

なんだかそれだけじゃないような気がしますが…

「(何だかよくはわからないけど…まぁ良いことなんだから別に気にしなくていいかな)」

今日は昨日よりもすっきりした気持ちでテストの終わりを迎えられそうなそんな気がします。

「(でも今は気を引き締めてテストに臨まなきゃ!)」

再びチャイムがなり本日最後のテスト用紙が配られます。

テスト用紙が行き渡り全員が裏返しにして準備ができると先生はテスト開始の合図を出しました。

ペラッ…

用紙を表にしてまずは名前を…

「(あ…彼の名前聴きそびれた)」

いえ聞くというより同じクラスなのだから確認し忘れたという方が正しいような気がします。

結局すっきりしたのも束の間すぐにモヤモヤとした気持ちで今日の終わりを過ごしていくのでした。

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