《あの日の約束を》22話 放課後の校舎で

期末テストが終わって數日後。學校は半日通學から元に戻り6限プラス部活の日々に戻っていきました。

テスト返しはすでに終わっていて、私たちは無事4人とも赤點を取ることはありませんでした。なので各々勉強や部活に勵む日々を送っています。

これまで集まっていた放課後の時間は部活によってに集まりにくくなってしまいました。仕方のないことではありますがし寂しいなとじてしまいます。なのでその分は家に帰った後みんなと攜帯で通話をしながら勉強をしたり、直接誰かの家に集まって遊んだりする時間を作っていきたいです。

が僅かに傾き空が赤みを帯び始めた頃、私は部活のため部室へと向かっていました。

実力確認テストが終わったし後、私たちはそれぞれが選んだ部活に部しました。はなちゃんは家庭科部、修くんは陸上部、鈴音さんは園蕓部に。そして私は仮部を験した部にりました。

吹奏楽部の方も迷いましたが好きな時に來ていいよと言ってもらえたので部にることにしました。後もう1つ、部ではないのですがし気になるところがありましたが、それはまたそこへ行く時に時に話すことにします。

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部活が始まって20分程たった頃。私は1つの絵を描き終えました。自分としてはまずまずというじで、直せそうなところがたくさん隠れているようにじるものでした。

一通りのチェックを終えるとちょうど私の隣を佑月先輩が通ろうとしていました。仮部の時によく話をしてくれた先輩です。ちなみに副部長さんでした。

せっかくなので先輩の意見を聞きたいなと思い聲をかけさせてもらいました。

「すみません先輩、これを見てもらってもいいですか?」

「ん? いいよ。どれどれ」

突然のことにもかかわらず先輩は當然のように私の絵のチェックを引きけてくれました。私は張しながら先輩がチェックを終えるのを待ちました。今は部員として絵を見てもらっていますが普段なら気恥ずかしくて他人に同じことはできそうにないですね。

「悪くはない。けど厳しめに言うとここと、あとはここ。2ヶ所をもうし気をつけて描けばもうちょっと良くなりそうだね」

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る程……ありがとうございます」

確認し終えた先輩は絵から視線をこちらに移して意見を1つ1つ丁寧に話してくれました。そして私がお禮を言うのを確認するとスタスタと自分の席の方へ戻っていきました。

指摘してもらった場所を直して全を見渡しました。そうすると確かに最初と比べてバランスが良くなっているような印象をじました。

私は違う用紙にもう一度同じ絵を描いてみました。今度は最初からアドバイスされた點を注意しながら描いていきます。

………

……

「(流石にちょっと疲れたかな)」

好きなこと、集中できることをしていると時間の流れは早くじるものです。的に數分だったかなと思い、作業を止めて時計を見ると絵を描いてから15分も時間が過ぎていました。先輩と話したり1枚目を直したりした時間も足すと、部活が始まってから40分がたったところといったじです。無理に続けるのはいろんな意味であまり良くないと思い、休憩を挾むことにしました。

何気なく周りをし見てみると、1人または複數人で固まって絵を書いている生徒と雑談をしている生徒がいます。よくみる部の景です。

部の基本的な活は絵の練習で、コンクールが近くなる時期は出展用の絵を描くというシンプルなもの。なので一日何枚絵を描く! などのノルマは特に無いです。

なので絵を描かずに雑談をしている人たち(ほとんどが先輩)もいますがコンクールの時期、もしくは部長や先生が指示をする時は真剣に絵を描き始めるそうです。別に先輩達は怠慢なわけではなく、描ける時に描き、休む時に休むという切り替えがしっかりとできているので問題はないのです。

ただ聞いただけでは本當なのか疑うところでしょうが仮部の時もパッと雰囲気が変わったので納得です。

部した後も部長の指示で絵を描くことが時々あり、その度にパッと準備を整え、いつでもどうぞ? といった様子の先輩たちを見た時は改めてすごいと思ったものです。

「あら、良いじに描けてるじゃない」

しばらく休憩をしていると後ろから聲をかけられました。振り返ると部部長の朝比奈先輩が私の絵を見ていました。

「ありがとうございます。部長も今休憩中ですか?」

私がそう聞くと部長は私の隣の椅子に座りました。

「ええ休憩中よ。なんだかビビッとくるものが無くてねぇ」

「ビビッとくるもの……ですか?」

「そう! だから暇で暇でしょうがないのよ」

ビビットくるものとはどうやら部長が描きたい絵のイメージのようです。練習で何かを描いてはどうでしょう? と提案してみると部長は顔を橫に振りました。本人曰く『普段描きたい時に描いているから必要はない』とのことでした。

「それにイメージが固まらないままに描いたらロクなものにならないからねぇ。私そんな曖昧なものは描きたくないのよ」

「そうなんですか、部長が絵を描いているところ見たことないからちょっと見てみたかったです」

私がそう言うと部長は何か考えるそぶりを見せました。

そして何かが閃いたのか顔を上げました。その顔は新しい遊びを考え出した子供のような笑顔で、私はほんのしだけ嫌な予じました。

「カナちゃんって確か本をよく読むよね?」

「え? は、はい読みますね」

私は學校にいる時、お晝休みなどの長い休憩時間中などによく本を読んでいます。自分で持ってきた本を読むときもあれば図書室に本を借りにいくこともありますね。部でも部活が始まる前に読むことがあったのでその時に見られていたのかもしれません。

「しおりしくない?」

「え? しおりですか? いや私もう持っ」

しくない?」

有無を言わせないような言い方、顔は笑顔で言っていることも別に問題はないはずなのに変なが走ります。

「……しいです」

「決まり!」

そう言うと部長はさっと私の席から離れて行きました。遮られてしまいましたが私しおりは一応持っています。でも新しくもらえる分には問題ないので考えないことにしました。

「ん……舞花? 突然なんだ?」

部長を視線で追うと向かった先は工藤先輩のいる席のようです。そして席に著いたと思ったら間髪れずに何かを話し始めました。話の容が気になったのでし聞き耳を立ててみることにしました。

「……は? 今使ってる筆とパレットを貸してくれ? いや待て、僕は今描いている最中だから無理だ」

……無茶振りをされているようでした。先輩同士の會話なので私が間にることも出來ないので引き続き聞き耳を立て続けることに。

「まぁまぁ良いじゃないゆっちゃん」

「いや良くない……というかゆっちゃんはやめてくれ」

2人の會話を聞いている最中、なんだか周りが靜かなことに気づきました。なんでだろうと思って視線を彷徨わせると、先ほどまで雑談をしていた先輩たちが部長たちのことをチラチラと見ていました。よくよく耳をすますと雑談自は変わらず継続していました。容が部長と副部長のことに変わっていること以外は。

「ほら、ゆっちゃんは私の描くとこ知ってるから分かるでしょ?」

「いやまぁ確かに君は一瞬で描き上げるから待たないだろうけど……って、だからゆっちゃんはやめ」

「なら良いじゃない。お願いゆっちゃん!」

なんだか周りの先輩たちの視線が生暖かいもののようにじます。『なんだいつものやつか』『またゆっちゃんって呼ばれている』等の會話が小聲で聞こえてきます。

「あぁもう分かった! 分かったからこれ以上大聲でゆっちゃんって言わないでくれ」

視線を戻すと遂に折れた工藤先輩から筆とパレットをけ取った奪い取った部長が小さな畫用紙を持ってこちらに戻ってくるところでした。

「さ、始めよっか!」

「アッハイ」

チラッと工藤先輩の方を見てみました。流石にこれは先輩も困っているのではと思いましたが、見てみた限りあまり困っているようにはじませんでした。もう書き終わるところだからだったのでしょうか?

そう思いながら部長の方を見ると何故か筆を置いて手をばしていました。

「出來た!」

「えぇ!? って本當に描き終わってる!?」

ターラーラーラ〜。部長特製のしおりを手にれた!

某勇者ゲームの寶箱からアイテムを手した時の効果音が聞こえた気がしました。

「ちなみに乾かしてラミネートしないとだからまだあげないよ?」

そもそもまだもらえませんでした。まぁ気にするところはそこではないのですが。

先輩が描いたしおりの絵は目を離した間に描いたとはとても思えないような完度でした。しかし描き始めるところはギリギリ見ていたので、今出來たことはまず間違いないことだけは分かりました。

「完したらその時あげるからね。じゃあね〜」

そう言って先輩は自分の席へと戻って行きました。

天才ってやっぱりいるんだなぁ。私はそう思いながら機の上に殘された筆とパレットを副部長のところへと戻しにいくのでした。

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