《あの日の約束を》24話 休日の買い

「お母さん私籠持つよ?」

「いいの? ありがとうカナ」

ある土曜日のお晝頃、私はお母さんとユイちゃんの3人で近くのショッピングセンターにお買いに來ていました。

お店の中は休日ということもあり多くの人が買いをしていました。そそくさと籠の中に商品をれていく人もいれば値札をじっくりと見比べてやっと選ぶ人など様々です。

そんな中私たちは今夜の食事の材料を買う為にし離れたショッピングセンターに來ていました。しでもお母さんの負擔を減らしてあげたいですし、いつか自分が買いをする時の參考にさせてもらおうという思いもあり、今回お母さんにお願いをしてついていかせてもらうことになりました。

ちなみにユイちゃんは『お姉ちゃんがいくなら私もいく』とのことで一緒について來ることになりました。妹の家族し涙が出てしまいそうです。

私はいつまでもそんな妹の自慢の姉でありたいものです。そのためにも今回のお買いでしっかりとお母さんの手伝いをこなして親孝行と同時に自分磨きをしていきたいです。

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「それじゃあまずは野菜を」

「野菜ね、任せて!」

「あらあら走っちゃダメよ〜」

「あ、うん」

お晝の食品エリアはし混雑してるのでうかつにくのは周りにも迷になるでしょう。それを心配してかお母さんから注意をされてしまいました。私はすこし反省をしたあと早まる気持ちを抑えてお母さんの後をついていこうとしました。すると突然。

「お姉ちゃんお姉ちゃん」

ユイちゃんが私を呼びました。なんだろうと思い振り返ろうとする私の手に何かがれました。

「えへへ」

私は手元を見ると、それはちっちゃくて溫かなユイちゃんの手でした。ユイちゃんは私の手を広げさせると自分の手を潛り込ませてぎゅっと握りました。視線を上げてユイちゃんの顔を覗いてみると満面の笑みを浮かべていました。

「ユイちゃん?」

「手繋いで歩いてもいい?」

「いいけど、ユイちゃんは歩きにくくない? 大丈夫?」

「お姉ちゃんと一緒に歩きたいから大丈夫!」

そこまで言われたら斷るわけにはいきません。というよりも別に斷る理由はなくて、むしろ嬉しいくらいなので私はそのままユイちゃんに手を握られながらお母さんの後を追いました。

………

……

最初は空っぽだった籠も數十分経つと々な食材でいっぱいになっていました。いくら1つ1つが軽くても量が多いと重くなってくるものです。

「カナ大丈夫? やっぱりお母さんが持ちましょうか?」

「だ、大丈夫だよ。これくらい平気平気」

し腕がプルプルとしてしまいそうですがまだ大丈夫なはずです。ただ流石にそろそろ片手で持つのは辛いです。でもここでユイちゃんに手を離してというのもなんだか悪い気がしてしまいます。

なんとか表に出ないように注意をしつつ買いを続けて行きました。そしていよいよレジでお會計を済ませるところまで行くことができました。

「さぁこれを車に運びましょうか」

「え? あ……そうだった」

お店の中でのことは考えていました。しかしその後のことを私は完全に失念していました。

今持ってる籠の中はお會計を済ませた後はビニール袋に移されるでしょう。買いを手伝う人ならすぐわかると思いますがビニール袋だとが重ければ重いほど握る部分が手に食い込んで痛くなるのです。それをまだ車まで運ばなければならないのです。

できれば両手で籠を持ちたいところなのですが私の隣いるユイちゃんはあれからずっと手を握ったままです。恐らく何も言わなければそのまま握り続けるつもりなのでしょう。

「ユイちゃん?」

「何?」

「申し訳ないんだけど一旦手を離してもらってもいい?」

流石にこれ以上は無理だと思いユイちゃんに恐る恐る聞いてみると。

「……グスン」

ユイちゃんはしばらく黙ったあと涙目でこちらを見上げました。まだ繋いでいたいという思いが痛いほど伝わってきます。

「な、なんでもない! 車乗るまで繋いでいてあげるからね! ただ手はこっちの方を握ってもらっていい?」

私は無理やり笑顔を作りましたが手の方は流石にこれ以上持ちそうにありません。反対の手の方はまだ余裕があったのでそちらにに握り直してもらうよう私がお願いをするとユイちゃんはパッと表を明るくして反対側に回り込みました。私は籠を持ち直すとユイちゃんと手を繋ぎ直しました。

今思うとお母さんはいつも片手で籠を持ってました。今日ほど多くはないものの普段の量でも十分片手では辛いはずです。それを考えるとお母さんはやっぱりすごいのだなと思わずにはいられませんでした。

そのあと私はビニールが手に食い込む痛みに耐えながら車に荷を運びました。かなり手が痛いので家に著いた後はお母さんにお願いすることにします。

私とユイちゃんが車に乗ったのを確認するとお母さんは車にエンジンをかけて運転し始めました。外の景はあっという間に変わっていき、気がつけば家まで後しというところまで來ていました。

家に帰ったら今日の買いのことをメモしたり、學校で終わらせきれなかった宿題をやらないといけません。

「家に帰ったら頑張らないと」

車に揺られながらそう考える私。その橫には疲れてしまったのかうとうととしたユイちゃんがいつまでも手を握っていました。

………

……

「著いたわよ〜」

2人の母である私、天宮靜江がそういうも後ろからの返事はありません。思えば車に乗ったときから子供達はすこし疲れているように見えました。

無理もないことでしょう。カナは買い中ずっと籠を持ってくれていましたし、その後も車に乗せるところまで手伝ってくれました。ユイもずっと歩きっぱなしだったからきっと大変だったはずです。

私はすこし心配になり後ろの2人を覗き込むと。

「あら?」

案の定2人はスヤスヤと眠っていました。ちょっと予想外だったのは眠ったあとも2人は手を繋ぎ続けていたことでしょうか。

「ふふ、ほんと仲のいい2人だこと」

娘たちは寄り添いながら規則的な寢息をたてています。その景に思わず顔が緩んでしまいそうでした。

「起こすのが忍びないわね。困ったわねぇ」

私はそう言いながら娘たちの頭を優しくでるのでした。

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