《獣と共同生活!?》第一話 ウサギの

4月。

社會は學式や社など、様々な形で新たな出會いを迎える時期。

勿論、この俺朝倉 誠あさくら まこともその1人だ。

プログラムの會社に勤めて3年。流石にプログラミングにも慣れ、そこそこ安定した地位を手にした俺は、今日もいつもと変わりのない日常を送っていた。

納期や新社員の面倒見などがあったりなど、しいつもとは違うかもしれないが、それは誤差の範囲。俺の平和な日常は何一つ変わらない。

會社から帰宅する途中に電車に乗るのだが、睡魔に襲われて寢てしまい、いつの間にかよく分からない土地まで來てしまったが、幸い帰りの電車もある。……1時間半も後だが。

仕方なく時間を何処かで潰そうと考え、たまたま周りを見渡すと登山道らしき小道を発見。

一本道らしいので迷う心配もない。時間も腕時計で確認出來るので、見ながら歩いていれば間に合わないという事はないだろう。

……が、そんな慢心があんな大変な事になるとは思ってもいなかった。

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山の中間くらいまで來ただろうか。広い空間が広がった場所へと繋がり、そこには小さな池があった。

夜空は星々が輝き、その夜空池が鏡のように移す。それは幻想的で、とても綺麗な景だった。

目を奪われて見ていると、近くで草が不自然にいた。

でもいたのだろうか……?

好奇心でその草に近づき、ゆっくり音を立てないように覗いてみる。

すると、そこに居たのはウサギの耳が付いているがスヤスヤと寢ていたのだ。

……なんでこんなところにコスプレが?

見たじ、高校生くらいのの子。服はちょっとボロボロだが、長い耳と丸い尾はそこまで汚れていないように見える。

家出したコスプレとか初めてみたぞ?まぁ、家出見たの初めてだけど。

時刻は22時を過ぎており、親さんも心配しているだろう。

「こんな所で寢ていると風邪引くぞー」

を揺すりつつ、聲を掛けてみた。

するとウサギ耳がピクピクとき、ゆっくりと目を開けてこちらを見た。

「……あ、人間さん。おはようございますぅ」

まだ寢ぼけているらしく、目をこすりながら返事をした。

ここの地域の子だろうか。……じゃなきゃここには居ないか。

「もう夜も遅い。送って行ってあげるから、もうお家に帰りな?」

「そうですね……。ところで、今何時ですか?」

は時間を聞いてくる辺り、時計や攜帯電話などを持っていないのだろう。今時の子にしては珍しい。

腕時計を見ると、時刻は22時25分。電車は約一時間後に來るわけだから、送っていっても間に合うとは思う。

「えっと、22時25分だね」

「えぇ!?もう22時を過ぎてしまったのですか!?」

時間を伝えてあげると、22時を過ぎている事に焦っていた。門限とかなのだろうか?

の子は慌てながら辺りをキョロキョロ見渡し、空を見上げ、大きなため息をついた。

「大丈夫?門限とか?」

「いえ、22時を過ぎてしまったので家に帰れなくなってしまったんです」

……家に帰れなくなった?

電車はまだあるし、バスは……通ってると思う。

家の人が厳しくても、流石に『帰れない』というのは可笑しい。

ここはもうし事を聞いてみよう。

「えっと、家に帰れないって何か理由でもあるの?」

そう質問すると、彼は息を整え、真剣な目でこちらを見た。

「はい。私、ご覧の通りウサギなのです」

「うん、ちょっと待って」

ご覧の通り、ウサギだと?

誰がどう見てもウサギのコスプレとかにしか見えない。これをウサギと言う人は居ないと思う。

「えっと、俺の目に狂いがなければだけど、何処から見てもコスプレをしたの子……だよね?」

「違いますよ!コスプレとかじゃなく、しっかりとしたウサギなんです!証拠に……って、何で私人間の姿になってるんですかぁ!?」

は自分の姿を確認すると、また驚いた。

自分の手や足、耳や尾をったり見たりして確認した。

その仕草ひとつひとつが可い。23歳獨の俺、

しかし、が人間になるなんて聞いたことがない。漫畫やアニメの世界ならありそうだが。

も何故人間の姿になっているのか分からない辺り、自分自の力で人間の姿になっているのではないのか。

「とりあえず、君のことを教えてもらってもいいかな?」

「は、はいです……」

そう彼は警戒しながら話してくれた。

の話を簡単にすると、彼は別の世界から來たらしい。

その別の世界というのが、達だけの世界。アニマルワールド的なものに彼は住んでいた。

その世界には人間年齢でいう18歳になると、別の世界の森で一週間暮らし、生活や行った世界の記録などをして帰ってくるというものがあるらしい。

もその最中で、今日で7日目だったらしいのだ。

が元の世界へ帰る方法は、21時から22時の間に神木にお供えを置くだけらしい。

しかし、突然の睡魔に襲われて寢てしまい、お供えを指定の時間にお供え出來なかった。

……今の俺もそんなじだな。電車で寢過ごしてるし。

つまり、彼は帰る場所がない。かと言ってここで過ごすとしても、見た目はコスプレ。警察に通報されかねない。

さらに、この世界の一般常識も知らない。これは々とまずいのでは?

うーむ。この現狀を他の人には知らせず、尚且彼を安全に暮らせる方法……か。

まぁ、案はなくはない。が、彼はそれでいいのだろうか?

……帰る手段が戻るまでなら大丈夫か。

そう考えた俺は、彼にこう提案した。

「君は、ここの世界で過ごすには一人では大変だろう。もし君が良ければ、俺の家で過ごさないか?」

うむ、我ながら不審者っぽいな。

いや、この現狀を知ってて周りに広めない方法。俺が彼を守ってあげるしかないだろう。うん。これは最善の策なんだ。

は、それを聞いて迷った。が、その迷いはすぐになくなった。恐らく、俺と同じような考えをしていたのだろう。

「よ、よろしくお願いします!」

はペコリと頭を下げた。

こうして、俺とウサギのとの共同生活が始まったのであった。

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