《獣と共同生活!?》第九話 誠の不安

あれから、秋風さんは荷を持ってその日に引っ越しをしてきた。

次の日が日曜日だと言うこともあり、俺とみぞれも引っ越しの手伝いをしたので、すぐに終わった。

……が、一つ問題が生じた。

──部屋がない。

殘念ながらうちはアパートなので、部屋はみぞれが今使っている部屋と、リビングの二部屋のみ。

とりあえず話した所、二人とも同室でいいとの事だったので、みぞれと秋風さんは同室になっている。

俺は変わらずリビングのソファーで寢ているが、流石にそろそろベッドでも寢たい。

……さて、どうしようか。

一軒家を買う……のも考えたが、今の俺にはこの生活でも大変。

貯金は多あるけれど、足りないだろうし。

……アイツ・・・に頼るのだけはちょっと嫌だしな。後で何言われるか分かったもんじゃねぇし。

そうなると、やっぱ仕事量増やして功績殘すしかないかなぁ……。

けど、みぞれ達をずっと留守番させるのはちょっと悪いしなぁ……。

うーむ、どうするべきかなぁ……。

と、考えながらソファーに座っていると、つんつんと肩をつつかれた。

それに反応するように俺は後ろを向く。そこには、秋風さんがいた。

「どうしました?何か考え事をしているようでしたが……。私でよければ、相談に乗りますが」

どうやら、考え事をしていた顔をしていたのか、俺を心配してくれているようだった。

しかし、相談する容が……。

秋風が來て、部屋がなくじたから引っ越しを考えてるなんて言ったら、秋風さんに失禮だ。

ここはとりあえず、誤魔化すしかないか。

「いやー、今日の夕飯を考えててね。秋風さんは何か食べたいものとかある?」

すると、秋風さんは腕を組んで悩み始めた。どうやら誤魔化すことには功したようだ。

が、この問題がバレるのも時間の問題かな。みぞれも最初は何回もいいのか聞いてきたレベルだったし……。

しかも、秋風さんは禮儀正しいだけじゃなく、どうやら勘が冴えているようだし。

すると、家のドアがガチャリと開く。どうやらみぞれが散歩から帰ってきたようだ。

「ただいまですー。あれ、お二人並んでどうしたんです?」

「あぁ。夕飯を一緒に考えてたんだよ。みぞれは何か食べたいのはある?」

みぞれに提案すると、みぞれも秋風さんと同じように悩み始めた。

しかし、みぞれは十數秒で口を開いた。

「私、カレーが食べたいです!」

笑顔いっぱいで答えるみぞれ。なんだか、さっきまで悩んでいたことがどうでもよくなる気がした。まぁ、結構重要だけどさ。

俺はソファーから立ち上がり、壁に掛けてあったバックを手に持った。

「それじゃ、買いに行きますか!」

こうして、俺の悩みは一旦保留になるのであった──。

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