《獣と共同生活!?》第十一話 悪夢
『どうしてだよッ!』
──なんだ?俺の聲……?
『なんで辭めたんだ!答えろよ!』
──あぁ、あの時の記憶か。
『あのせいで母さんは──』
──辭めてくれ……それ以上……辭めてくれ。
『お前なんて──』
「──ッ!」
ズドンッ!
跳ね起きる俺。そのせいでソファーの上から落ちてしまった。
を多打ってしまったが、幸い傷や痕になりそうではなかった。
しかし、さっきまで見てた夢──隨分と前の記憶を思い出したもんだ。
はぁ……。俺なりに解決したつもりではあったんだがな。まだ何処か心殘りがあるみたいだ。
時刻は午前2時。まだ夜中か……。明日も仕事あるから、出來れば寢ていたかったんだがな。
……流石に寢直す気分じゃないな。
臺所に行き、慣れた手つきでコーヒーを作る。
いつもより砂糖をれ、いつもは使わないミルクもれ、暖かくてちょっと甘いコーヒーの出來上がり。
気分を一気に変えたいという事もあり、ベランダに出て外の風をじながら飲むことにした。
コーヒーを一口。うん、やっぱりちょっと甘いな。
……はぁ、みぞれ達の前じゃなくて良かった。あんな顔見せたら、あの子達がどれだけ心配するだろうか。
なるべく事も話したくはないが、もし見つかって気が滅っていたら、迷わず俺は話していただろう。
そして、あの子達の前で泣いていたりしていたかもしれない。それだけあの記憶は思い出したくなかった。
あれは今から約十年前。俺がまだ15歳だった頃だ。
家で母さんと親父と俺の三人暮らしをしていて、母は重い病気とかでずっと寢たきりの生活だった。
俺と親父は母さんの為に、出來ることなら何でもしてあげていた。母さんの病気は、今の醫學では治らないとされていたからだ。
幸いにも薬で癥狀は軽く出來た為、寢たきりだが60歳くらいまでは生きていられると言われていた。
そう、あの出來事が起こるまでは。
親父は、突如母さんに薬を投與するのを辭めた。
俺は何度も理由を聞くが、黙ったまま。母さんにも聞くけど答えず、家にある薬も飲んでくれなかった。
始めは、何故だと考えた。一人で何度も、様々なケースを考えた。
しかし、答えを導き出す前に母さんは死んでしまった。
どうしていいか分からなくなった俺は、何度も親父を問い詰めた。
しかし、出てくる答えは黙のみ。
何も教えてくれない親父に、俺は徐々に距離を置き、もう何年も話さなくなっていた。
……あの頃の俺は、まだ子供っぽい思考だったと今は思う。
けど、親父はまだ心の何処かで嫌ってるし、恨んでいる。
……分かってはいるつもりだ。いつかはこうなってしまう、と。
けれど、まだ話したい事も沢山あったし、一緒にしたい事だって沢山あった。
はぁ……。思い出したくなかったわ。
もうちょい頭冷ましてから寢るか。じゃなきゃまた夢に出そうだ……。
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