《獣と共同生活!?》第十三話 思わぬ提案

仕事が終わり、明日から3連休という事もあり気分よく帰っていた。

家の前に著くまで、畫サイトに載っている曲を垂れ流しながら帰っていた。

今日はみぞれが夕飯を作ってくれていて、さらに俺が好きなオムライスを作ってくれているらしい。

そんな嬉しい事が重なり、今日の俺は機嫌がすこぶるいいのだ。

そんな事をしているうちに、家の前までたどり著いた。

「ただいまー」

ガチャリと家のドアを開けて、いつも通りただいまと言う。

……しかし、いつもとは違うのはすぐに分かった。

リビングは明るい為、みぞれも秋風さんもいる事は確実と言っていいだろう。

しかし、いつもくるはずの「おかえり」という一言が全く來なかったのだ。

それだけ。それだけの事なのだが、俺は心何処か焦っていた。あの二人に何かあったのではないのか?そんな不安が心を締め付けていた。

急いで靴をぎ、リビングまで走る。ドアを開ける時もちょっと強引だが、力強く開けた。

「みぞれ、秋風さん!大丈夫──」

すると、そこには正座をしている二人と、見知らぬからはフカフカそうな尾。そして耳。って事はこの人も獣か……。

「──おぉ、帰ったようじゃな。お主がこの二人の主じゃな?」

「は、はぁ……。朝倉 誠と言います」

とりあえず、二人の態度とこの人の言い方的に上司的な……まぁ偉い人なんだろう。

「うむ。妾は巫狐みこと言う。この世界と獣の世界を繋ぐ結界の管理者……みたいなものじゃ」

この世界とみぞれ達の世界を繋いでる結界の管理者……か。

って事は、もしかしたらみぞれが家に帰れるのではないか?みぞれがここに居るのは家に帰れないからだもんな。

だが、そう思った俺は何処か悲しさと寂しさが心を埋め盡くしていた。

あの子が家に帰れるんだ。本來の場所に帰るだけ。

それなのに、俺は帰ってしくないなどと自分勝手な事を……。

「ん?何をしんみりした顔をしておるのじゃ?お主」

そう言われ、ようやく我に返った。どうやら顔にまで出ていたらしい。

「す、すいません……。それで、ご用件と言うのは?」

「この2人が人間の家に居候をしていると聞いてな。近況報告と共に視察に來たと言う訳じゃ」

どうやら、みぞれが既に帰れなくなっていた事は知っているらしい。

しかし、近況報告と視察……だけ?みぞれを連れ帰る為に來たのではないのか?

「……お主、もしや勘違いをしておるな?別に連れて帰るつもりはない。寧ろいい勉強になるじゃろうし、ここに居させてやってはくれぬか?」

巫狐さんが來たのは、連れ帰る為じゃなかったのか……。

そして、巫狐さんからお願いされた居候続行の話。俺にとっては願ったり葉ったりである訳だし、斷る理由は全くない。

「俺なんかで良ければ是非」

「そうか。……しかし、三人だとちと狹くないか?」

巫狐さんは部屋をキョロキョロと見ながらそう言った。

アパートなんてそもそもそんなに広くもないし、寧ろこのアパートは広いレベルになるだろう。

確かに引っ越して一軒家に……って案もあったが、そんなお金ないので二人には悪いとは思ってるけど。

すると、巫狐さんは「うむ」と頷いてこう言った。

「お主らに妾から新しい家をやろう。どの位まで大きく出來るか分からんが、恐らく三人で生活する分には困らんじゃろう」

「巫狐さん、それは悪いですよ!」

「なぁに。と人間の流場のような場所を提供してくれている禮じゃ。素直にけ取ってくれた方が嬉しい」

そう言いながら笑顔を見せてくる巫狐さん。その笑顔はとても優しく、何故か懐かしくじた。

それなら俺が斷るのも悪いし、有り難くけ取る事にしよう。

「巫狐さん、ありがとうございます」

「いいんじゃよ。それじゃ、また後日に來る。その時に家もプレゼントするからの」

そう言って巫狐さんは窓の方に手を出すと、扉が出てきた。

その扉を開け、巫狐さんが中をると自で扉が閉まり、扉が消えた。

……しかし、初めて會うはずの巫狐さんの笑顔が何故懐かしくじたのだろうか。

そんな事を思いながら、三人で夕食を作り始めるのであった──。

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