《獣と共同生活!?》第十五話 斷の

「──その子、もしかしたら指名手配している子かもしれんのじゃ」

そう、巫狐さんは確かに言った。

あんな子が……指名手配?何かの間違いとか冗談ではないだろうか?

「指名手配って……あの子がですか?」

「信じられん話じゃろうが、本當の話じゃ。あの子はやってはいけない・・・・・・・・・を行い、またそれをやろうとしておる」

「やってはいけない……ですか?」

やってはいけない。つまり止される程危険なか何かだろう。

そのを一度使っていて、また同じ事を繰り返そうとしている……。

「因みに、どんななんですか?」

そう聞くと、巫狐さんはし悩んだ後、俺に教えてくれた。

「お主、もしも自分好みの世界が創れるとしたらどのような世界をむ?」

「自分好みの世界……ですか」

いきなり難しい質問を問いかけられたな……。

自分好みの世界って事は、自分がんだ世界が創れるって訳か。けど、今の生活に特別不便がある訳ではないからな……。

「……あまり思いつかぬじゃろう?」

「そうですね。いきなりっていうのもありますけど、この世界に特別不便がある訳ではないので……」

「それはお主が今幸せだという証拠じゃな」

巫狐さんは笑顔でそう言った。

今が幸せか……。し照れるが、確かにそうかもしれないな。

みぞれと出會って、秋風さんと出會って、々あって。今は巫狐さんに家まで貰ったりして、幸せな生活を送っているかもしれない。

しかし、その笑顔もすぐに消えた。

巫狐さんはまた真剣な表に戻り、話を続けた。

「じゃがな、あの子は違ったんじゃ。何かを代償にしてまで創りたい世界があった。一度目は失敗に終わったから良かったものの、今回はそのについて書いてある書──書・・を盜み、を完させようとしておる」

書。名前からして明らかにマズい書なのが分かる。

さらに、という事は恐らく大きな対価が必要なのだろう。

……あんなにい彼が、そこまでして創りたい世界。どんな世界なのかはとても気になる。

だけど、本當に彼はそんなをしたいのだろうか?そんな考えもあった。

前に駅前の公園であった時、初対面の俺に彼は「警告」してきた。

つまり、彼は本當はを──。

「まぁ、今後會うような事はないとは思うが、もし會うような事があれば気をつけるんじゃよ?」

「はい。肝に銘じておきます」

そう言うと、巫狐さんはこちらの世界と繋ぐ扉にり、帰っていった。

その後も、俺は和服を著た彼の姿とあの警告が頭から離れなかった。

何故、彼は危険なを使ってまで世界を作りたいのか。何故俺にだけ警告してくれたのか。

……彼を探してみて、直接聞くのもいいかもしれないな。

そんな事を思いつつ、また作業に戻るのであった。

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