《獣と共同生活!?》第二十二話 1人より、3人で

華さんと話し終えた後、俺はまっすぐに家に帰った。

華さんが抱えている辛さ。それが全て分かる訳ではないが、何処か引っかかっていた。

が暴行をされていて、その復讐がしたい。その事を話す顔はずっと微笑んでいたが、俺には悲しい表に見えた。

何処がと言われれば詳しくは言えないのだが、恐らく「ぬくもり」を知らない彼は、それを知りたいのではないのか?

それだとしたら、誰かがそのぬくもりを教えてあげないといけないのだが、この事を話すのはだと約束してしまった以上、誰かに協力してもらう事は出來ないし……。

はぁ、どうしたものかねぇ。

考えすぎて疲れてきたので、勢いよくベッドにダイブ。ふかふかであったかい。

かと言って眠いわけでもなく、布団の中でゴロゴロ。

時刻は21時。明日も仕事があるので、早く寢ないとな。

……かと言って眠くないのに寢るのって結構辛いので、散歩でもしてを疲れさせる事に。

軽く支度をし、リビングに出るとみぞれと秋風さんがテレビを観ていた。

「誠さん、今からおでかけですか?」

「うん。寢れないから、散歩にでも行こうかとね」

そう言って、リビングにあった上著を羽織り、準備完了。すると、2人も外出の準備を始める。

「私達もお供しますよ」

「私達も暇ですし、夜風にあたるのもいいですからね」

そう言うと、手早く準備を済ませて玄関へ。たまには皆で散歩もいいな。

そうして、俺達は家を出発した──。

夜道を歩いて十數分。俺達は駅前の公園へと著いた。

この公園は結構広く、中を適當に歩くだけでも結構な時間を消費するので、散歩する場所には最適だと思う。

……これだけ歩けば、今の悩みもどうにかなるかもしれないしな。

「ところで朝倉様」

「ん?どうしたの?」

り口から歩いてし経ったあたりで、秋風さんが話しかけてきた。

チラッと秋風さんの方を向くと、ちょっと真剣な顔になってこちらを見ていた。

「あまり深くは聞きませんが、何か悩んでらっしゃいませんか?」

いきなりそう言われ、ドキリとした。

もしかして、そんなに顔に出ていただろうか?みぞれもその問いを聞いて、俺を真剣な目で見ていたので、バレバレだったのか……。

でも、オブラートに包めば相談出來るし、しは解決するかもしれない。これはチャンスなのかも。

「……恨みを晴らして、その子を元気にさせる方法ってあるのかな」

その問いを聞いた2人は、驚くような目をしていた。

そりゃ驚くか。意味分からない相談だし、そもそも俺が恨みを買ってるみたいな言い方だしな。驚くのも無理もない。

しかし、それでも2人は何も聞かず、真剣に考えてくれた。

本來ならば、誰かの為の悩みなのか、自分の為の悩みなのかを聞いたりするだろう。そういった誰でも生まれるであろう疑問は、無意識のに聞いてしまったりもする。もしくは、めの言葉などをかけるだろう。

だが、2人はそのどちらもしなかった。

真剣に俺の問いを聞きれ、真剣に考えてくれている。俺は、そんな2人に心からの謝をした。

そして、公園を散歩しながら3人で話し合い、時間が遅くなってきたので帰る事に。

2人は、あまり力になれずに申し訳なさそうにしていたが、俺にとっては大きな前進になったと思う。

次に華さんと會ったら、俺なりの救いの手を差しべられる様に──そう、心の中で誓った。

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