《獣と共同生活!?》第二十三話 佐倉 華と、もう一人の

「ただいまーっと」

マンションの2階のドアを開け、中にる。

私の言葉の返事は返ってこない。部屋は真っ暗。

そう、これが私の──佐倉 華の今の現狀なのだ。

正確に言えば、今借りているの持ち主の現狀。私も、似たような経験をしたからよく分かる。

この子の両親は、この子が生と死の狹間を彷徨っている間の約1年間、ずっと帰りを待っていたらしい。

しかし、1年間も華の心配をしていたせいなのか、神が病んでいき、2人とも自殺をしてしまったらしい。

そして、両親が亡くなった1週間後。私と一化した華は、家に帰った。

華は、両親から待をけていながらも、両親が好きだった。

待が毎日だった訳じゃない。両親も心が病んで、それで待をしてしまっていた。

私が調べた結果、両親も華の事をしていた。待してしまっていた事に後悔していた。

明日は華を甘やかしてやろう。明日は目一杯してあげよう。

そんな時、彼は病気で意識不明となった。

両親の心のダメージがどれだけ大きかったかは分からない。けど、間違いないのは自殺をしてしまう位の傷を負ったという事だ。

(蕾つぼみちゃん、大丈夫?)

そう、華が語りかけてきた。

佐倉 華という名前になる前の──本當の私の名前。華だけが唯一知っている名前だ。

私と華は二重人格の様なものなのだが、それぞれの思想を持ち、それぞれの意思で人格を変える事が出來るといった、アニメとか漫畫みたいな都合のいい設定になっている。

好み、行きたい場所、したい事。一緒にはいるが、考えている事は全くといっていい程に別。

だが、今まで言い爭いなどにはなった事がなく、お互いが一歩引く様なじ。

私は正直、華には悪い気持ちが多い。その為か、彼には今與えられている命で、沢山の楽しみを見つけて経験をしてしい。

──私が、味わう事が出來なかった楽しみを。

(えぇ、大丈夫。それより、今日の夕飯は任せて頂戴)

(急だね……?蕾ちゃんのご飯は味しいから、寧ろお願いしたいくらいだけど)

ニコッと微笑んだ後、の所有権が私に移る。

手を握ったり、開いたりして覚を確認。そして、テキパキと料理を作り始めた。

今の私は、あの時の様に一人じゃない。華が居る。

あの世界に復讐するとは言ったけれど、差別なんてない世界を作れるのは、私だけ。その為なら、どんな代償だって払うつもりだ。

だから、私はあの世界を──見えない差別が多いあの世界を、私が終わらせる。

私が、創り変えてみせる。

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