《獣と共同生活!?》第二十四話 引越しのお手伝い(前編)

「はぁ……。休日くらいはゆっくりしたかった」

そう嘆きながら、いつも使う駅から電車で4駅。今となってはほぼ見なくなった、懐かしの場所に來ていた。

ここは、俺が生まれ育った場所。そして、今は出來ればあまり來たくない場所。

ここに來る理由はなかったのだが、とある人のお呼び出しにより、この土地に來ることになった。

そして、その呼び出した本人は……2分経っても來ず。あの人、マイペース過ぎるからな……。

駅で買った缶コーヒーを啜りつつ、待ち人を待っていると、遠くからそれらしき人が。

向こうも俺を見つけたのか、大きく手をブンブンと降る。子供じゃないんだから、はしゃぐなって……。

「ゴメン!遅くなっちゃった」

そう言って、俺の目の前で息を切らしながら來たのは、西行寺 文香。俺の會社の課長を務めている。

小さい頃から面倒を見てもらっていた俺は、文姉と呼んでいた。今は會社で會う事が多くなったので、文姉と呼ぶわけにもいかない。ので、課長と呼んでいる。

「遅くなったのはしょっちゅうだからいいけど、引っ越しするのを手伝えってどゆこと?」

「そのまんまの意味?會社近くに家を確保出來たから、そっちに引っ越そうかなーって」

簡単に引っ越すと言いながら、ニコニコしている文姉。そういやこの人、家がそこそこのお金持ちだから、引っ越しとか別荘とかしょっちゅう言ってたりしてたっけ?

前に引っ越ししようか悩んだ時、文姉に頼むのも良かったが、流石にそこまで迷をかける訳にもいかない。結果的に、巫狐さんに新しい家をもらったから良かったが。

つまり、引っ越しをしたいから力仕事は任せた。そうゆう事か……。

「……ん?引っ越しの手伝いって、俺以外には?」

「荷、そんなにないからまーくんだけでいいかなーって」

「それは慢心過ぎじゃないですかね……」

を運ぶのを一人でやるって、結構な重労働。更に、會社に近いとなると4駅も離れている訳なので、量によっては往復。明らかに一人でやる量じゃない。

だが、手伝うと言ってしまった以上、手伝わずに帰るなんて言えない。やるしかないのだ。

「はぁ……。取り敢えず、トラックは?」

「車は確保してあるから、まーくんは積み込みをお願いね〜」

歩きながらニコニコして言う文姉。気が効いているんだが、いつも微妙に抜けてるんだよな。

そして、歩く事5分ほど。著いたのは、大きな高層マンションだった。

「文姉、もしかしてココ?」

「うん。ここの一番上の階に部屋借りてるのよ」

……ちょっとお金持ちってレベルじゃねぇ。お嬢様ってレベルのお金持ちだわ。

馴れない高層マンションにビクビクしながらり、文姉に案されて目的の部屋に到著。

カードを差し込み、鍵を開ける。オートロックってやつなのかな?初めて見たわ。

部屋の中は最上階というだけあり、街を見下ろせる景。高い。

は幸いにも、ダンボール5個分。これならそこまで時間はかからなそう。

こうして、引っ越し作業のお手伝いが始まった……。

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