《獣と共同生活!?》第三十二話 お世話になりました

「とりあえず、これでよしっと……」

あの事件の後、朝食と晝食を済ませて部屋に戻り、帰りの荷支度をしていた。

4〜5日家を空けていた為、流石にみぞれ達にも心配をかけてしまった。……文姉には後で謝らないとな。あの人、何も考えてない雰囲気だけど、々な事を考えてるからな。

みぞれには今日帰るとメールで伝えると、みぞれからはすぐに返信が返ってきた。ずっと心配してくれたのだろう。

文姉の方にもメールをしようとしたのだが、俺が直接謝りたい事もあり、電話をかけることにした。

しかし、今は平日の13時。仕事中だから、電話に出るのは無理だろうな……。

そんな気持ちで電話をかける。5コールくらいしたら、電話を切ってメールしよ──

「ま"ぁぁぁぁく"ぅぅぅぅん"!!」

1コールもせずに、電話越しに大聲が聞こえた。しかも、泣きながら。

この泣き方はガチだ。どうやら、相當心配させてしまったらしい。

「文姉、落ち著いて?周りに迷かけるでしょ?」

「う"ん」

何とか落ち著かせないとと思い、俺は文姉を泣き止ませる。電話越しだけど、思いっきり鼻をかんでいるのが聞こえた。

なんとか落ち著いたのを確認し、俺は要件を伝えた。

「文姉、ごめん!あの時、いきなり逃げ出す様な事して……」

「まーくんのせいじゃないよ。私が言いすぎたし、アレは言っちゃいけない事だと思うし……」

明らかに落ち込んでいる文姉。だけど、アレは俺が一方的に悪かったのだ。

俺は、恐らく過去に後悔がある。未練がある。

父の気持ちも分からず、嫌っていた事。母がどんな思いで、あの決斷をしたのか。母を何とか助けられなかったのか。

それらを文姉に指摘された時、俺は何も言えなかった。それが悔しかったのだろう。

つまり、文姉は何も悪くないのだ。

「とりあえず、今日中に帰るよ。明日には仕事復帰するつもりだから、よろしく」

「わかった。でも、無理しちゃ駄目だからね?」

「うん」

俺は電話を切り、荷を持って玄関へと向かう。

すると、玄関口には雪ちゃんとそのご両親が待っていた。

「もう、帰るのかい?」

「はい。仕事もありますし、あまり家を空ける訳にもいかないので……」

何処か殘念そうにするお父様と、何故かニコニコしているお母様。俺が何かしてしまったのだろうか?

すると、雪ちゃんが一枚の紙を渡してきた。見てみると、手紙というよりもメモ紙の様だ。

「これ、私の電話番號とメールアドレスです。朝倉さんさえよければ、話したり出來たら嬉しいのでいつでもご連絡下さい」

「わかった。たまに連絡させてもらうよ」

そして、俺は荷を持って再度、別れを告げた。

さぁ、帰ろう。皆が待っている、あの家に──!

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