《獣と共同生活!?》第四十二話 決意
「──その子、亡くなっていたんじゃよ」
その言葉を聞いた途端、俺は何故か冷靜で、2つの考えが橫切った。
1つは、一度亡くなっている事が分かっただけの可能。佐倉 華というのを借りているだけで、俺が話した華さんは一度亡くなっている。それが発覚した、という事。
まぁ、この可能はほぼゼロに等しいだろう。し前に起きた出來事だ。調べれば分かるだろう。
そして、もう一つの考え。この考えだけは不思議と疑問に思わなかった。
──もう一度、死んでしまった可能。
まず、考えないであろう可能。そして、考えたくない可能。なのに、すんなりと頭の中に浮かんだ。
そして、俺は巫狐さんに聞いてみた。
「その亡くなったに、會う事は出來ますか?」
「お主が見たと言う子と同じかも確認しておきたいのでな。こちらからも確認を頼みたい」
「分かりました。今日は時間が時間ですし、明日でも大丈夫ですか?」
「うむ。では、明日に妾から迎えに來よう」
「すいません、お願いします」
その後、お茶を飲み干した巫狐さんは帰り、俺一人が和室に殘っていた。
大きなため息と共に、座っていた俺はそのまま後ろに倒れ、橫になった。
華さんに會って、言おうと思っていた事を言う前に會えなくなるなんて思ってもいなかった。いや、まだ確証ではないけれど。
しかし、もし本當に亡くなってしまったのなら、俺が説得する事も無くなったし、危機だって無くなった筈だ。
……それなのに、何か大きな違和が俺の中に殘っていた。
その違和が、どの様なものかと言われたら俺は答えられない。だが、何故かしっくり來ないのだ。
もし、華さんが自ら命を絶ったのなら、何故あのような警告をしたのだろうか?そして、何故あんなに悲しそうな顔をしていたのだろうか?
つまり、何か原因がある筈だ。亡くなってしまっているなら、亡くなった原因。亡くなっていないのなら、偽裝の様な事をした理由。
そして、俺はその原因が気になっている。ここまで関わってしまったという理由もあるのだが、俺が知りたいというのが大きい。
……こうなったら、とことん調べよう。暫く、會社も休ませてもらおう。
俺は、立ち上がってリビングに行き、3人で食事をし、風呂にった。
そして、自室に戻った後、俺は枕元の小さな引き出しからとあるを取り出した。
それは、丸い寶石の様なものがついたネックレス。とある人から貰った、お守りの様なものだ。
俺は、そのネックレスを一度握りしめ、枕元に置いた。明日、コレを持って行こう。
そして、俺は明日に備えて早めに寢ることにした。何もない事を、祈りながら──。
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