巫狐さんの一言の後、目の前の扉が開かれる。

部屋の中は病室の様になっており、々な機材が並んであった。

その部屋の中心にベットがあり、そこに例のが橫たわっていた。

俺は覚悟を決め、そのベットに近付く。ベットまでの距離は短いが、そこまでの一歩一歩がとても重く、長くじた。

そして、とうとうの元にたどり著いた俺は、深呼吸をした後に顔を覗いた。

すると、そこに居たのは佐倉 華で間違いなかった。

──いや。正確には、佐倉 華であって佐倉 華ではなかった。

見た目は完全に、俺の知っている華さんで間違いない。けれど、何かが違う。何とははっきりは言えないが、何か違和をじたのだ。

そして、その違和の正はすぐに判明した。

『朝倉さん、聞こえていますか！？』

「この聲……もしかして華さん？」

しかし、目の前の華さんらしきに変化はない。巫狐さんは聲が聞こえていなかったのか、首をかじけてこちらを見ていた。

『はい、佐倉 華です！』

「巫狐さんが首を傾げてるって事は、この聲は巫狐さんには聞こえてなさそうか……」

『朝倉さんにだけ聞こえる様です……。それより、大変なんです！』

……なんか、俺が會って喋った事のある華さんとは雰囲気が違くないか？喋り方もそうだが、さがあるというか……。

この念話も気になるが、それよりも華さんが焦っているのに疑問をじたので、聞いてみることにした。

……念話がこちらからも出來るわけじゃなさそうなので、小聲で話そうか。

「落ち著いて、ゆっくり事を説明して。焦っていたら、伝える事が伝わらなくなっちゃうから」

『そ、そうですね……。すいません……』

すぅー、はぁー。と深呼吸の音まで聞こえてくるのだが、コレって本當に念話なのか……？でも、目の前の華さんはピクリともいていない。念話って凄いな……。

し時間が経った後、華さんは落ち著いた様子で話を続けた。

『実は、朝倉さんの目の前の私は今まで會っていた私と別の私なんです』

「それは……どうゆう事だ？」

『今、その目の前にいるのは本來の私。つまり佐倉 華なんです。でも、今まで會っていたのは私ではなく、の世界から來た蕾ちゃんなんです』

「蕾ちゃん……か」

つまり、今まで話していたのは佐倉 華と名乗った蕾という。そして、今俺と念話で話しているのが本の佐倉 華……という訳か。

なんか……ややこしいじはするが、落ち著いて考えれば大丈夫。うん。

そういえば、俺は今まで蕾って子の事を華さんって呼んでたけど、本來の佐倉 華はさがあって……はっきり言って、さん付け変だな。変えるか。

そうしてしだけ考え、無難な呼び方にする事にした。

「それで、なんで今はその蕾って子じゃなくて華ちゃんなんだ？」

『それなんですが、今私と蕾ちゃんはが別にあるんです』

「……なんだって？」

『見た目は私なんですが、中は蕾ちゃんなんです。私の姿はここにもあるんですが……』

「つまり、華ちゃんの見た目のが2人居るって事でいいのか？」

『はい。そうゆう事になります』

頭がこんがらがってきたが、その事実に安心と不安が生まれた。

佐倉 華が生きていたという安心。蕾というが、まだ何処かで何かをしようとしているかもしれない不安。

……そうと決まれば、ここに長居してちゃダメか。

「大の事は分かった。俺は蕾を止めてくる」

『……お願いします。蕾ちゃんを救ってあげて下さい』

「おう、任された！」

俺は両手で自分の頬を叩き、巫狐さんの方を向いた。

巫狐さんはその行為に驚いていたが、何かを悟った様に真剣な目に変わった。

「……巫狐さん、力を貸してください」

「何があったんじゃ？」

俺は1度大きく呼吸をした後、巫狐さんに伝えた。

「詳しくは後で話しますが、華さん──いや、蕾を助けに行きます」