《異世界エルフの奴隷ちゃん》待合室

ここは迷宮都市――ブルーティア。

ダンジョンから戻ってきた3人が次に何処に向かったかというと――冒険者ギルドである。

この世界ではダンジョンに潛って、モンスターからドロップするアイテムを売って生計を立てる人間を総稱して『冒険者』と呼んでいた。

「すいません。魔石の買い取りをしたいんですけど」

「承知いたしました」

ご主人さまの擔當をしているギルド付嬢、付嬢さん(仮)はブルーティアで働く付嬢の中でも1番の人と評判の人であった。

中でもご主人さまの視線を引き付けて離さないのは、ブラウスのボタンを弾き飛ばすかのような勢いで膨らんだ付嬢さんのである。

付嬢さんのからは、エルフちゃん、犬耳ちゃんには存在しない魅力が漂っていた。

~~~~~~~~~~

一方、その頃。

奴隷ちゃんたちが何処にいたのかというと――冒険者ギルドの待合室である。

世はまさに弱強食。

強者が弱者から搾取するのが日常なこの世界では、奴隷専用の待合室が用意されていることが多かった。

「はぁ……。仕事の後のジャーキーは格別ですねぇ……」

ベンチの腰を下ろしたエルフちゃんが何を食べていたのかというと――乾燥である。

噛めば噛むほどの旨味と程よい塩気が口の中に広がっていく。

乾燥を頬張るエルフちゃんはご満悅の様子であった。

「おい。エルフ。お前、何食っているんだよ?」

1人で味しそうなものを食べていることが気に食わなかったのか、犬耳ちゃんが因縁を付けに行く。

「何って……見て分からないのですか? ジャーキーですよ。ジャーキー」

「そんなことは知っているぜ! オレにもし分けてくれよ」

「え~。嫌ですよ~。ご主人さまから、お小遣いをもらっているんですよね? 自分で買えばいいじゃないですか」

ご主人さまは毎週の決まった日にエルフちゃん&犬耳ちゃんに対して給料を渡していた。

中には奴隷に対して一切の金銭を支払わない主人も存在するので、ご主人さまはその點においては良心的であった。

「そんなものはない。全て家族の仕送りに使っているからな」

「ええっ。犬耳さん。そんなことしていたんですか!?」

「オレは8人姉弟の長なんだよ……。頑張ってオレが稼がないと、今度はチビたちが奴隷にされちまうんだ……」

この世界は現代日本と比べて、貧富の格差が激しかった。

犬耳ちゃんの実家のような貧しい家庭では口減らしを兼ねて、家族を奴隷として売り払うケースが常態化していた。

「そんなヘビィな過去を持ち出してきてもダメなものはダメです」

モグモグとジャーキーを齧りながらもエルフちゃんは告げる。

あくまでに流されないドライなエルフちゃんであった。

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