《逆転した世界で楽しんでやる!》コピー紙はIF世界へのチケット(ただし片道である)
GAME OVER
そう表示された二つ折りのゲーム機を閉じてスリープさせ僕は立ち上がる。確か今日新しくネット通販で頼んでおいたゲームソフトが屆くはずだ。
 有名RPGの新作タイトル。わざわざ中古のまで買いに行き初代からプレイし続けている引きこもりゲーマーの僕にとっては絶対にプレイしないわけにはいかない。
そう思ったからなのか、何故か某コンビニ店音に似ている玄関の呼び鈴が鳴った。平日の晝間実に徹夜三日目だが、當然仕事をしている両親は家にはいないので僕が出る。
もし。
もしこの時、僕が足元を確認していれば。
おろした足の下にコピー用紙がなかったら。
というか僕が部屋をしっかり片付ける習慣をに著けていれば
果たして僕の未來に変化はあったのだろうか。
スルッっと足がる覚。急激に変わる視界。そして僕は思い切り床をゴチっとぶつけた。
ああ、なぜだろう。ついてないな……
ドンドンドン、ドンドンドン。ドアをものすごい音でノックする音で目が覚めた。
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「みー君、みー君!。大丈夫!? すごい音がしたけど!!」
誰だそんな気悪い名前で僕を呼ぶ奴は。僕をそんな親しげなあだ名で呼ぶような人間はいないし、大今は平日の真晝間。共働きの両親は家にいないはずだ。
「みー君!! 本當に大丈夫!? 救急車呼ぼうか?」
誰かも分からない聲がせっぱ詰り出す。このままではドアを蹴破られそうだ。早急にとにかく何か返事をしなければならない。大丈夫? なんて言っているし僕に害意は無いのだろう。ならば返事を返さねば。人間は會話する生きなのだから。
「だ、大丈夫だから。ちょっと足らせて頭打っただけ」
そう言って相手を落ち著かせようとするが逆に相手は焦り出す。
ダメかー……
本當に誰だよ玄関の前のは。
「ええ!? みー君、早く手當しなきゃダメだよ!! みー君男の子なんだからを大切にしなきゃダメなんだよ! ごめん! みー君後で埋め合わせするから!!」
そして。バキッと、引きこもりである僕の聖域の守り手であるドア先輩が破られた。
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ちょ、おまっ、これまで同級生やらなんやらを阻んできた僕の盾が!
そして飛び込んでくる僕と同じ素の薄い灰の髪をしたが飛び込んでくる。歳はたいして違いがなさそうだ。
そして僕は後頭部にできたたんこぶを包帯まで用意されみー君と僕のことを呼ぶに治療されることになる。
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
「みー君男の子なんだからは大切にしなきゃダメなんだよ? みー君そうゆうの意識低いからお姉ちゃん心配だよー」
 僕をみー君みー君と気悪い名前で呼ぶ目の前のはどうやら姉らしい。心配そうな顔をしてこちらをよく見ようとしたのか服の隙間から発育のいい谷間が見えて目に毒だ。
ここ一年とちょっと部屋からトイレ、食事、アマズーンの買いやコミケなんかにしかほとんど出ていなかったのだがうちの両親はいつのまに一人っ子の僕に姉を増やしたのだろうか。義理なのか、そうか義理ですねそうなんですね。ここから僕の青春ラブコメディーが始まるんですねそうなんですね。
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まあ、僕にを口説くスキルなんてこれっぽちもないのだが。
とりあえず話を合わせてみようかと思う。
「大丈夫だよ姉さん。ちょっとぶつけただけだって。それより母さんたちは?」
「お母さんならもうすぐ帰ってくると思うよ。そろそろ夕方だしね」
「そっか。僕ちょっと汗かいちゃったからお風呂はいってくる」
「あ、うん。って転ばないようにするんだよー」
  そう言って僕は著替えを取りに行くために自室へと戻る。はっきり言ってあの超人の自稱姉を現引きこもりの僕が相手をできるとは思えない。とりあえずタブレットをひっつかみ風呂へと逃げる。
もう一年も母以外のと會話してねぇんだ、引きこもりに人の姉と會話なんてやってられっか!
第一僕は一人っ子だった。なのにいきなり姉が現れ、相手はそれが當たり前のようにふるまう。縁起だとしたら優になれるんじゃないかと言うレベル。見た目だけでも十分れそうなんだけれど。
家族を何らかの癥狀で忘れてしまうというのは聞いたことがあるのでもしかしたらそれかもしれない。知らんけど。なんにせよ報はあった方がいい。そのための戦略的撤退だ。
僕はタブレットの電源をつけネットを開く。いくつかこれかな? と思うものはあったがこれだ、と確信を得られるようなものは一つもなかった。ここは最後の手段として醫療関係の掲示板で聞いてみることにする。風呂へと移しながら書き込みをする。
《一人っ子の俺が頭を打ってし気絶したら知らない姉がいたんだけど何の病気かわかる?》
と。
するとそれなり速さで返信がが來る。おいおい平日の晝間だぞー? 僕は服をぎ風呂にった。このタブレットは完全防水なので三日三晩電源をれて水につけておいても大丈夫なものだ。電池が持つかどうかは知らんが。昔ゲーム機を水沒させて泣いたことからの教訓が役に立ち無駄に高い金を出したかいがあったね。
《俺とか男かよ》と。
し不思議に思う。このネット掲示板は一部を除き利用者がほとんどが男での利用者はごくわずかのはずだ。たとえばBでLなものが大好きなご腐人くらいだ。偏見かもしれないが、それでも男利用者の方が圧倒的に多いはず。ゆえに一人稱はたいてい俺でそれに違和をじることはないはずだ。
《離婚とかのショックで………ってのは聞いたことあるけど、離婚したりしてない?》
と、まともな回答があったので返す。この人は醫者かなんかなんだろうか。
《いや、俺彼いたことないし貞だし十五歳だしそれはないと思う》
と返信するとなぜかほかいたメンバーたちが喜びだす。何故だ? と首をかしげた。
《じゃあ事故にあったとか記憶を失うようなことがあったとか? 失禮かもしれないけどもし男なら犯罪の被害にあったとか》
《うーん? 足らせて頭打ったけど、日常生活、っていうかもし記憶喪失的なのなら姉の記憶だけない狀態なんだよね。それこそいないはずの姉が現れたじで。普段の生活の様子なんかは昨日の晩飯までしっかり覚えてるよ。あと男だから犯罪にあったことはないよ。それどこの新宿二丁目》
《新宿二丁目はレズの聖地だろ。あと犯罪についてググってこい》
訳が分からないがとりあえず犯罪について調べてみる。
すると。
犯罪の被害者は男で・・・加害者はだった・・・・・。何それどこのエロ同人?
訳が分からない。驚きのあまりタブレットを落としてしまい、あわてて引き揚げたがこれ防水なんだった。し前の僕をほめてやりたいね。
だが、警察が公表している犯罪対策の部分を見ても、男専用車両だの、男は夜道、人けのないところを歩かないだの、男を保護し、男が襲われる立場にあった。國家公務員が運営する警察のサイトだ。信用できないデマ、ましてや防犯対策についてこんなくだらないことをたとえ狂ったとしても書かない。サイバーテロにしてはやることがくだらないし。驚いて端末を落としてしまったのも仕方のないことだろう。
男の関係が決定的に何かおかしい。先ほどの報掲示板でのやり取り。やはり何か必ずおかしな點がある。先ほどじていた違和はもう無視できないほどになっていた。
男の違いについて徹底的に調べ上げる。ついでに最近気になっていたネット小説も。それこそ格や思考の違いから、的特徴、に関する者までだ。
そしていくつかの資料が見つかる。人口の男比は1:2。対比は男:だ。この計算だと三人に一人しか男がいない計算になる。隨分と異変前(さっき名付けた)に比べて比率がに偏っている。
次にについて。これは犯罪についての件があったため、真っ先に調べた。
はっきり言えば、のが強くなり、男のは異変前の並みになっていることが分かった。人向け雑誌はが見るものだし、男は占いとか、ファッション雑誌を読む。きわどい水著をきてセクシーなポーズをとるアイドルは男へと変わっていた。は働き男を養い、男はを支え家事をするものとまでされていた。
ここまで調べて理解できない馬鹿などいないだろう。僕は結論をはじき出す。どうやら僕は貞が逆転したIF世界に來てしまった、もしくは僕がいた世界の貞がれ替わったようだ。この場合、いないはずの姉がいるので違う世界に來てしまったというのが正しいのかもしれない。ここは地球であって僕の親しんでいる地球ではないのだ。な、なにを言っているかわからないと思うだろうが俺も何を言っているかわからねぇ。本當にどうしてこうなった。
まぁ、茶番はさておきこれからどうしようか。一応異世界だと思うのだが、僕を取り巻く環境は姉が現れたことくらいでそうたいして変わっていない。むしろ引きこもりでほとんど部屋から出ていないので変わるものがないのだ。しかし、ここが前の世界と似ていてよかったと心底思う。もしファンタジーな世界だったらゴブリン遭遇戦どころか食糧を見つけるところで確実にあぼんすると思う。第一ネットがないのもダメだ。それに異世界なんて完全に異なる法則でいているのだから自宅の廊下を歩いていたらいきなり氷山になり、また一歩歩くと火山の火口の真上になっているかもしれないのだ。[異なる]世界なのだからそうあってもおかしくはない。こんなの命がいくつあっても足りない。これも僕の推測でしかないので、本當に何が起こるかわからないのだ。本當に地球に似ていてよかったと思う。貞が逆転していることなど些細なことである。
………ん? 貞が逆転? もしやこれは……
そこで、一つ思いつく。もしかしたら、これって夢にまで見たキャッキャウフフのリア充ライフを送れるのではないかと。前の世界ではやさしい子にいろいろ勘違いをさせられたが、もしかしたらハーレム狀態になれるかもしれない。なにをすれば勘違いをするかはさんざん勘違いをしてきたこの僕が知している。先ほど見たもてる男十の法則なんてもうヒロイン屬がほとんどを占めていたし。これで勝つる。やったぜ。
そろそろのぼせてきそうなので、風呂から上がりを拭く。そこで、あることに気が付いた。
「著替えがない」
そう、著替えがないのだ。調べをすることに夢中でどうやら著替えを持ってきてはいない。幸い著てきた服があると思い洗濯機を見るともうすでにいていた。手際がいいのな、おい。
仕方なく扉を開け部屋に著替えを取りに行く。すると、姉である百合子とばったり遭遇してしまう。百合姉さんではし言いにくいので百合姉とこれから呼ぼうそうしよう。
仕方がないので腰にバスタオルだけ巻いて廊下へと出る。確か注文したもののサイズが大きすぎてダボダボのジャージがあったはずだ。案外、しぶかぶかなのが著心地良くお気にりである。
「な、ななな何してるんだよみー君!! とりあえずかくして!!」
真っ赤になった姉が赤面しながらし顔を上向きにして手で隠す。
百合姉 があらわれた!
指の隙間からチラチラ覗いているのは異世界共通のお約束なのであろうか。もしかしたら男のというのは前の世界でいうのと同じなのかもしれない。ここはすこしいたずらをしてみようか。リア充になるための訓練もかねて。
「どうしたの百合姉。顔赤いよ? もしかして風邪?」
「え? へ? なんでもない! なんでもないから大丈夫なんだよ! いいから隠して!!」
フフ、効果は上々の様子。僕は百合姉にばれないようにニヤリ、と口角を上げる。そのまま僕は心配そうな顔を作り相手の額と額をくっつけて熱を計る。
「な……ちょ……フゴォ!!」
ボフン! と顔から比喩抜きで湯気を出し鼻を噴いて倒れる百合姉。僕の勝ちでぇーす!
これが、僕のリア充への第一歩となった。
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