《逆転した世界で楽しんでやる!》今度こそ學校へ行こう。

扉を開け、し錆びついた自転車をひいて公道へ出る。中學のはじめに乗ったきりだがはまだ自転車の乗り方を覚えているらしい。國道をし行きそこから県道へると、ようやくこれから通う西山高等學校が見えてきた。

學校に近ずくに連れて同じようなブレザーの制服が増えてくる。

自転車置き場にそれを自転車を置き、多錆びついて抜きにくくなった鍵を無理やり引っこ抜いて昇降口へと向かう。

「えーと、靴は……あった、1-Cか」

よし、クラスと出席番號はわかった。あとはクラスの場所だけだ。この學校、制服のネクタイの分けで學年がわかるのだが、一人だけ違う學年へ行くと違和がすごいのだ。そんなことにならないためにもぜひとも間違えないようにしたい。というか校図はどこだ。百合姉に聞いておけばよかった。

「えと、あの。どうしたんですか?」

図を探してあちこちうろうろしながらうーん、うーんとうなっていると、後ろから聲が聞こえた。先ほどから誰あの子、聲掛けなってと聞こえてきていたのだ。元ひきこもりの聴覚を舐めるんじゃない。一キロ先のそよ風の音すら聞き逃さないぜ。しかしこの顔。こちらではとても形に見れれるらしい。僕にはわからないが。ソースは百合姉。夜遅くに一人でリビングにいるなーと思っていたら「はぁ、最近みー君格丸くなったし、形だから弟じゃなかったらなー」と一人つぶやいていた。弟くんはそれを歓迎するぜ! むしろ姉だからイイ!! 姉と弟の斷の関係……バッチ來いだ。

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聲がする方を見ると、そこにはセミロングのがいた。ネクタイは僕と同じ赤。同學年だ。

「あー、教室の位置がわからないんだ。案図も見當たらないし」

「え? でも學から一週間たってますよ? さすがに覚えるんじゃ……」

「その一週間學校へきてはいないのだ」

「え? もしかして七峰君?」

「ハッ! なぜ名乗っていないのに名前を!?」

こ、こいつエスパーか!

「あ、えと、同じクラスで隣りの席だったから來てなかったから不思議だなーって思ってて」

「なんだ、同じクラスか。ちょうどいいや、教室まで案してくれないかな?」

と、教室まで案してもらうことにした。

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扉を開け教室る。中では數人で集まり、しゃべっているグループがいくつかあり、一番大きい聲で話しているのが上位グループなのだろう。男子のグループは一つしかなく、七人程度だったが野郎の事はどうでもいいだろう。先ほど案してもらった子(柊ひいらぎさんだったか)の席の隣らしいので柊さんが座るまで待つ。こうすれば誰かの席に間違えて座るという恥ずかしい真似はしないで済むのだ。おお、一番窓側の後ろから二番目だ。

ちらほらと生徒が増えてきて幾人かがこちらをチラチラとみてきている。

生徒數名がこちらを話しかけたそうにチラチラ見ています。話しかけますか? 《はい・いいえ》

待て! 待つんだ七峰 命! 登校早々の子に話しかけていては軽い男だと思われかねん! そう! ここは得ををまつイモガイのようにせねば!!

澄ました顔で鞄の中れ替えるが心いつ話しかけてくるかと思っていたのだが誰もHRまでに話しかけてはこなかった。この意気地なし!

「はーい、HR始めますよー」

と、間延びした聲が聞こえてくる。と、男の先生がってきた。あ、教壇の段差でこけかけた。前の世界ならしドジでの大きいがするジョブのドジ教師だがこちらではやはり男がするのだろう。前の世界の価値観があるせいか野太い聲でそんなことを言われると寒気がする。すると、僕に気づいたのか小さくあっ、と聲を上げ、

「七峰君、やっと登校ですかー。一週間何していたんですー?」

と、非常にまずい質問をしてきた。これはヤヴァイ。元とはいえ引きこもりなのがバレてしまってはこれからのリア充生活に支障をきたす。これだけは言ってはならぬ。言い訳を考えなくては。えーと、えーと。

「えっと、風邪ひいて寢込んでました」

「一週間もですか!? の方は大丈夫なんです? 風邪ならちゃんと連絡してください。心配してんですよ?」

よし、うまく騙せた。しかし、いくら野太い聲のドジ男教師とはいえ心配そうな顔をしている擔任をみるとし罪悪が生まれてくる。男なのでしだけだが。べ、別に罪悪なんでじてないんだからねっ! 勘違いしないでよねっ!

「えと、余裕をもって一日しっかり休んだので大丈夫ですよ」

「そうですかー。あ、自己紹介してなかったですねー。先生は須々木すすき 正義まさよしですー。須々木先生でも、正義先生でもいいですよー」

と、聞いてもいない自己紹介を終え、漸く僕は解放された。須々木先生はHRを再開させ手際良く連絡や出席などを済ませていた。と、後ろにいた男子生徒が、

「よう、大丈夫か?」

「え、ああ、大丈夫だよ。力なくて風邪がながびいただけだし」

「そうか、よかったな。俺、後前うしろまえ 琉斗りゅうとだ。琉斗って呼んでくれ。よろしくなっ」

  野郎の友人は求めていないんだが。ん? そういえばリア充って現実リアルが充実している人のことを指す事であり、彼がいるかどうかではなかった気がする。そうか、じゃあ男友達を作ってもリア充なのか。いいことに気づいた。

「七峰 命。よろしく。命って呼んで」

そういって、後ろなんだか前なんだかわからない彼の差し出した右手を握った。

そんなこんなで晝休み。現在僕は三年生である百合姉の教室に向かっている。場所はまた柊さんに教えてもらった。琉斗から晝を一緒に食べないかとわれたが先約があると斷った。最初の晝くらいは野郎とではなくの子と食べたいものだ。教室の前で一人三年の先輩が立っていたので確認してみる。

「あの、ここって七峰先輩のクラスですか?」

「ん? そうだが。呼べばいいか?」

そう言って彼は教室を覗きながら、

「おーい、百合子。百合子に一年生が用があるんだってさー。しかも男子」

すると、ええ!? という百合姉の聲とおまっ、いつの間に一年生捕まえたんだよ! と、仲のよさそうな聲が聞こえた。

僕は先輩にお禮を言い、そのまま教室へとって行く。いくつか視線が僕に刺さるがリア充とはそういう生きであるのだ。いいんだ…これでいいんだ…。

「みー君!?」

百合姉が立ち上がり驚きの聲を上げる。ふむ、これはラノベで見たアレをやってみるか。僕は弁當を顔の高さまで持ち上げ、

「百合姉と一緒にお晝食べようと思って。邪魔だったかな?」

そういいながら僕はえへへ、とこの三日間練習した笑顔を解き放った。ところどころから天使だ…という聲がきこえる。こうかは、ばつぐんだ!

一人洗面所の鏡の前で練習したのだ。鏡に映る笑顔の自分を見て何こいつイテーなと思いつつ。最初はまるで悪の組織の幹部並みの邪悪な笑みしか浮かべる事しかできなかったが、練習の果か百合姉の友人が顔を真っ赤にするまでになっている。フフフ、墮ちたな。

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