気なメイドさんはヒミツだらけ》メイドとの日常は慣れる気はしない

「ご主人様……お、起きてください……」

肩を優しく揺すられる。

々ポンコツな部分が見した霜月さんではあるが、この起こし方は本當に素晴らしい。

オドオドしているが、落ち著いた聲音が心地よく耳に響き、優しく揺すられると、不思議とパッチリ目が覚める。

目を開くと、ぼんやりした視界の中に、小さな笑みが見える。

ふわふわ優しく包まれる覚が、の奧を締めつけた気がした。

しかし、それは幻だったのか、目の前にあるのは、やたらオドオドした顔だった……っていうか……!

「近っ!!」

「はわっ!」

慌てて寢返りを打ち、距離をとる。あー、びっくりしたぁ……。てか、睫が意外と長かったような……いや、それより……。

「な、何やってるんですか?」

「あ、あの、これは、その……中々起きないから……じ、人工呼吸を……」

「いやいや、しなくていいから!大丈夫だから!ほら、困るじゃん!いざクラスメートとかとキスする展開になった時、『ごめん。俺自分のメイドとファーストキスしちゃったんだ』なんてバレたら……!」

「え?あ、あの、何を……言ってるんですか?ご主人様、朝から……頭おかしいんですか?」

「やかましいわ!あと、おはようございます」

「あ、はい……おはようございます。あの……ちなみに、クラスの中で彼を作るのは……無理かと」

「いや、朝っぱらから何言ってくれてんですか。適當な事を……」

突然の発言に苦笑いで返しながら、心びびっていると、霜月さんは哀しそうな表でふるふると振った。

「私くらいのメイドになれば、誰がご主人様に好意を抱いているかくらいわかります……ち、ちなみに……クラスの中に、ご主人様に好意を抱いている方は一人もいません」

「えっ?マ、マジですか?」

「は、はい!マジのマジの大マジです!!」

何でやたら元気に言うのか。朝から元気なのは良いことだけど、こっちはテンションだだ下がりなんだが……。

本當にチートなのかポンコツなのか、よくわからないメイドさんだと思う。

「そういえば、読心とかどこで覚えたんですか?」

「っ…………ヒ、ヒミツです」

あれ?このリアクション……もしかして……。

「……本當に読心使えるんですか?」

「ほ、ほ、本當ですよ?はい……」

「じゃあ試しに俺の心を読んでもらっていいですか?」

「……はい。じゃあ……読んでみます」

そう言ってから、彼は俺の頭を両手で挾み込んだ。何気に痛い。ていうか怖い。この人の力でこんなことされると、命の危険をじるんだが……。

「…………」

「…………」

自然と至近距離で見つめ合うことになり、何だか落ち著かない。

顔は可い。

顔だけは素晴らしい……。

し頭のおかしな言さえなければ……。

主人様……前も申し上げましたが、主人は正直言ってあまりタイプではないといいますか……」

「いや、考えてねーから。とりあえず読心ができないのはわかりました。あんま変な事ばっか言ってると學校で他人のふりしますよ」

「あうぅ……そ、それは困ります~!そうなったら、わ、わ、私はただの可いメイドコスの痛いじゃないですか~!」

「あんた案外自己評価高いな!!」

*******

やはりきつい。

何がって?

登校中に周りから浴びる視線がだよ。

この狀態が當たり前になる日がくるのを想像できない。ていうか、もしそうなったら、この地域の人達の頭を疑う。

「ご、主人様……日本は、そ、その……あちこち萌え萌えキュンな、メイドで溢れているというのは、都市伝説に過ぎないのでしょうか?」

「都市伝説どころか、ただの妄想ですよ。誰がそんなおかしな事を言ってたんですか?」

「えと……その……だ、旦那様が……」

「クソ親父~~~~!!!」

何考えてんだよ、あの父親!

本當は自分がメイド見たいだけじゃねえのか!?

いや、だとしたら今の狀況はおかしいか……って、何を朝っぱらからくだらない事を考えるのに時間を割いているんだ。

「……やれやれですね」

「ていうか、無理せずに本當にいでもいいですよ?」

「あわわわ……」

「どうしたんですか?」

「前から言ってるように……」

「いや、もうそのくだりはいりませんから。別に無理矢理著る必要はないですよ……」

「で、でもでも……いきなり……『お前、さっさといで俺を満足させろ!』だなんて……」

「いやいや、耳腐ってるんですか!?ちょっ……あ、違いますよ!」

近くを通りすぎた若いお姉さんが冷たい目を向けてきたので、慌てて弁解してみたものの、彼はさっさと走り去ってしまった。

「くっ……また一つ誤解が……」

「あの……ご、主人様……元気をだしてください。誰にでもそんな日はありますよ」

「ですよね……って、ないですよね!!こんなシチュエーション!!」

本當にこんな日が慣れるようになるとは思えなかった。

しかし、こんなのは序の口でしかなかった。

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