《気なメイドさんはヒミツだらけ》気なメイドさんは馴染んできた
帰り道、まさかメイドさんと一緒に帰ることに、こんなに早く慣れるとは思わなかった。人がチラチラこっちを見ていようが気にならない!むしろ、もしかして……あの人俺の事好きなんじゃね?くらいに思えてくるわ!
……ふぅ。もう考えないようにしよう。
俺は、右斜め後ろをトコトコ歩く霜月さんに目をやった。
すると、ばっちり目が合う。
その気まずさを紛らすように、ひとまず口を開いた。
「そういや、もうだいぶクラスに馴染んでるみたいですね。友達もいるみたいだし」
「あ、ご、ごめんなさい……」
何故謝るのか。
「いや、別に謝らなくてもいいんですけど……」
「だって……主人様より、メイドの私のほうが……と、友達が多いだなんて、主人様に恥をかかせてしまいます……」
「いや、アンタ何言ってんの?」
このメイド、ちょっと友達ができたからって調子に乗ってやがる。
相手してやるのも面倒くさいが、とりあえず反論しておくか。
「霜月さん。さすがに失禮ですよ。転校して日が淺い霜月さんより友達がないとか、どんな冗談ですか」
Advertisement
「ええっ!?ち、ちち、違うんですかっ!?」
「またやけに驚き方派手ですね。どんだけ信じられないんだよ……」
「えと、あの……だって、主人様……教室では橫田さんと話してるところしか見ていないのですが……」
「……気のせいだ」
「えっ?あ、ああ、ごめんなさい。忘れていました……二言三言くらいは話してましたよね。でもあまり親しげではありませんでした。會話の容や距離からは、友達とはいえないような気がします」
「何でそういう時だけ饒舌になるんだよ……いや、待て。そもそも會話容とか聞いてたの?」
「はい。ね、念のために……ちなみに、次の授業は何かとか、宿題の容しか話さないだけの関係を友達というのは……」
「やめろやめろやめてくださいおねがい!なんかとんでもない事実を突きつけられてる気がしますから!」
「あっ、主人様……きょ、今日は主人様の好きなをお作りしますよ。ね?」
「ね?じゃねえよ!何急に優しくめようとしてるんですか!ていうか、そのテンションムカつく!」
「あわわ……も、申し訳ないございません。た、多分悪気はないんです」
「多分って言いましたよね!?今、多分て言いましたよね!?」
「あっ、流れ星……」
「いやいや、誤魔化し方下手すぎか!あっ、今度は耳栓付けやがった!」
とまあ、こんなじで賑やかで楽しい帰り道です。
*******
翌日のお晝休み……。
ここからはほんのしだけ私目線になります。皆さん、お待たせしました。霜月あいです。メイドのお姉さんです。
あっ、さすがにモノローグでは噛みませんよ?當たり前です。
しかし、いいのでしょうか?私目線なんて……。
これでまた主人様の影が薄くなったら、目も當てられないのですが……。
いえ、私はメイド。主人様のメイドなのです。
メイドは主人様をながら支えるものなのです。なので、メイドらしく、こっそり私目線で語を展開していきます。
「ねえねえ、霜月さ~ん」
「は、はい……」
おっと、いきなり聲をかけられました。人気者は忙しいですね。
目を向けると、クラスメイトのA子さんとB子さんがいました。すいません。まだ名前覚えていないんです。べ、別に、興味ないとかじゃないんだからねっ、です。まだ余裕がないだけです……々と。
A子さんは、何か面白そうに私の顔を覗き込んでいます。何でしょう?
「霜月さんってさ、ぶっちゃけ……どうなの?」
「はあ……メ、メイドですが」
「ち、違うよ!そういうのが聞きたいんじゃなくて!彼とはどうなの?」
「え?え?彼、とは?」
「そりゃあ、あなたの主人様よ」
「そうそう、稲本君!……だっけ?」
主人様……名前すら覚えてもらってないなんて……哀れな。
でも安心してください、主人様。私はしっかり覚えてますから。
「そんな……ご、主人様はただの主人様です。それ以上でも以下でもありません」
「そうなんだ。あっ、じゃあ稲本君からアプローチとかは?」
「……よくありますが、すべてお斷りしています。あうっ」
頭に衝撃が走ったので振り向くと、主人様が立っていた。あれ?怒ってる?何故でしょうか?
「人が目を離した隙に、何噓をばらまいてんですか」
「えっ?ご、主人様……私の事、ほ、本當は好きだったんじゃ……」
「まだそのくだりかよ!アンタ本當に好きだな!」
「い、いえ、その……私は、別に、主人様の事は好きじゃ……」
「……話してるとこっちが頭おかしくなりそうなんだが……とりあえず、何度も言ってるように、霜月さんに対する特別な好意とかないから」
「そんな……主人様、私に押しれで寢ていいって……い、言ったじゃないですか」
「ちょっ……」
「はぁっ!?稲本君、霜月さんを押しれで寢かせてるの!?」
「さいってー!」
「いや、違うって。これには々深いワケがありまして……」
「…………」
どうやら押しれの件は言ってはいけない事のようでした。なるほど。學びました。
さて、じゃあこの場をさりげなく離れましょう。
「あっ、霜月さん、逃げないでくださいよ!」
こうして私は、また一つ學校生活に……人としての穏やかな生活に馴染んでいくのでした。
「だから纏めんなー!!」
【書籍化決定】婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。
アメリアには、婚約者がいた。 彼は、侯爵家の次男で、貴重な「土魔法」の遣い手だった。 婚約者とは良好な関係を築けていたと思っていたのに、一歳年上の彼が王立魔法學園に入學してから、連絡が途絶える。 不安に思うが、來年には自分も入學する。そのときに話し合えばいい。 そう思っていたのに、一年遅れて入學したアメリアを待っていたのは、周囲からの冷たい視線。 婚約者も理由をつけて、アメリアと會おうとしない。 孤立し、不安に思うアメリアに手を差し伸べてくれたのは、第四王子のサルジュだった。 【書籍化決定しました!】 アルファポリスで連載していた短編「婚約者が浮気相手と駆け落ちしたそうです。戻りたいようですが、今更無理ですよ?」(現在非公開)を長編用に改稿しました。 ※タイトル変更しました。カクヨム、アルファポリスにも掲載中。
8 50ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~
書籍化しました。小學館ガガガブックス様よりロメリア戦記のⅠ~Ⅲ巻が発売中です。 コミカライズしました。ロメリア戦記のコミックがBLADEコミックス様より発売中です。 漫畫アプリ、マンガドア様で見ることができますのでどうぞ。 「ロメ、いや、ロメリア伯爵令嬢。君とはもうやっていけない。君との婚約を破棄する。國に戻り次第別れよう」 アンリ王子にそう切り出されたのは、念願の魔王ゼルギスを打倒し、喜びの聲も収まらぬ時であった。 しかし王子たちは知らない。私には『恩寵』という奇跡の力があることを 過去に掲載したロメリア戦記~魔王を倒したら婚約破棄された~の再掲載版です 私の作品に対する、テキスト、畫像等の無斷転載・無斷使用を固く禁じます。 Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited.
8 190オバケYouTuber
會社をクビになった晴太郎が、生活の為に家賃の安い物件を探していると、1年間タダ!それ以降は2萬と言う、格安賃貸物件をネットで見つける。その物件には告知事項があり、若い女性が変死した訳あり物件だった。幽霊を信じていないし、怖いと思わない晴太郎は、訳あり物件に引っ越しするのだか、信じられない様な心霊現象が次々と起きて、、、
8 96なぜ俺は異世界に來てしまったのだろう?~ヘタレの勇者~
俺は學校からの帰り道、五歳ぐらいの女の子を守ろうとしそのまま死んだ。と思ったら真っ白な空間、あるいはいつか見た景色「ここは…どこだ?」 「ここは神界今からチートスキルを與える。なおクラスの人は勇者として召喚されているがお前は転生だ。」 俺は真の勇者としてクラスメイトを復讐しようとした。
8 137異世界に勇者召喚されたけどチートな一般人|(噓)だった
日常に退屈している少年 鳴龍《なきり》 榊斬《こうき》はある日、教室で寢ているとクラスメイト4人とともに異世界に召喚される。しかし榊斬は召喚される前に女神にある能力をもらう。いざ召喚されると榊斬だけ勇者の稱號をもっていない一般人だった。しかし本當に強いのは、、、
8 123転生しているヒマはねぇ!
異世界で転生する予定になり、チキュウからマタイラという世界の転生界へと移動させられた『カワマタダイチ』。 ところが、控え室で待たされている間に、彼が転生するはずだった肉體に別の魂が入れられ、彼は転生先を失ってしまう。 この大問題を、誤魔化し、なおかつそうなった原因を探るべく、マタイラ転生界の最高責任者マーシャが彼に提示したのは、冥界に來た魂を転生させるこの転生界の転生役所で働くことだった。 ニホンでやる気を持てずに活力なく生きていたダイチは、好みの女性陣や気の合う友人に勵まされながら、少しずつ活力を取り戻し、それでも死んだままという矛盾に抗いながら、魂すり替え事件やマタイラの冥界と現界を取り巻く大問題と、わりと真面目に向き合っていく。
8 76