気なメイドさんはヒミツだらけ》メイド?家族?

「…………」

「…………」

気まずい。

朝食のウインナーを頬張りながら、先程の出來事を思い出す。

さりげなく霜月さんに目をやると、彼はさっと目を逸らした。どうやらこちらを見ていたようだ。

れないのが正しいのかもしれないが、こっちとしては疑問は早くぶつけておきたい……じゃないと気まずいもん!思春期男子なめんなよ!

うだうだしてても埒があかないので、こちらから聞こう。

「あの、霜月さん。さっきの事なんだけど……」

「はひゃいっ!?」

「いきなりすぎたので、説明してもらえるとありがたいのですが……」

「あ、さ、さっきの……ですか?」

「まあ、そう、ですね……はい」

間近で見た彼の顔を思い出したせいか、こちらの顔が赤くなる気配がした。

それでも彼を見続けていると、ようやく気持ちの準備ができたのか、口を開いた。

「あの……私、初めてなんで」

「……そうですか。俺も初めてでした。でも、いきなりキスとかそういうのはちょっと……」

「ええっ!?キ、キ、キス!?ち、違います違います違います!あれは、そ、そういう意味ではなくて……ご、ご主人様、何を言っているのですか!冗談は顔と格だけにしてください!」

「お、おう……」

なんか今、さらっと俺が全否定されたんだが、あわてふためいている事だし、今はつっこまないでおこう。あわてふためいた拍子に、うっかり締め落とされたりしたらイヤだし……。

まあ、もちろん霜月さんが俺に惚れてキスしようとしたわけじゃないのはわかっている。本當だよ?だって、ねぇ……タイプじゃないとか言ってたし?

とにかく、今度こそ彼が本當の事を言うまで待とうと決め、目を合わせると、霜月さんは落ち著きを取り戻し、ぽつりぽつりと話し始めた。

「あの……私……実は、こういう生活が初めてなもので……」

「こういう生活?」

「はい……家事をしたり、學校に行ったり、お友達と遊んだり……」

「そう、なんですか?」

「はい……それで、その……誰かとこういう形で一緒に暮らすというのも初めてで……」

こういう形で、という言葉からして以前はまったく違う形だったのだろうが、そこはあえて気にしないようにした。話したい時に話してくれればいいと思っている。

霜月さんは、気恥ずかしさを紛らわすように髪を指で弄び、おどおどしながらも言葉をしぼりだした。

「それで今朝……メイドとはいえ、その……この人が、今、同じ家の下で暮らしてる家族、なんだなあ、と思いまして、じっと見てたんです……す、すす、すみません、メイドの分際でおこがましいことを……」

……なんだ。そんなことか。

の事に関してはよくわからないが、こちらの言う事は決まっている。

「……いや、全然そうは思わないよ」

「え?」

「その……なんて言えばいいかはわからないですけど、霜月さんの思うようにしたらいいと思いますよ。あの、実際そう思ってもらって悪い気はしないですし……それに、霜月さんはまあ、たまに口が悪いけど……いい人だと思いますし……」

「…………」

いつもの霜月さんみたいに噛みながら言うと、彼はそれを珍しい何かを見たように目を丸くしていた。

「……あ、ありがとうございます。ご、ご主人様、優しいんですね」

「惚れんなよ。たった今からメイド&家族なんだから」

「は、はい……大丈夫です。やっぱり、その……男として全然タイプじゃないですので」

「…………」

そこまでばっさり切られると、なんだか寂しい気もするが、まあいいだろう。こっちのほうが霜月さんらしいし。

ようやく穏やかな空気が戻ってきた事に安堵していると、霜月さんはとんでもない事実を告げてきた。

「そういえばご主人様……きょ、今日は、遅刻ですね」

「そうですね、ってええええっ!?」

目を向けると、時計の短針は既に8に到著していた。これは完全に遅刻コースである。

ていうか、朝からする話じゃなかったな。こういうのはもっとこう雰囲気のある夜中にするべきだった。いや、雰囲気が必要なのかはわからんけど!

「ご、ご主人様……考え事をしてる最中に、申し訳ございませんが……どんどん時間が経ってますよ……」

「うん。今日はもう諦めた。まあ仕方ないよ。霜月さんも諦めてくれ」

「ええっ、わ、私、無遅刻無欠席を目指してたのに……」

「メイドとして達してください」

「うぅ……まあしょうがないですね。ご主人様ですから」

それから二人して遅刻して先生に叱られた。

それと、何故か夢野さんから霜月さんと何かあったのかをめっちゃ聞かれた。

あとは……霜月さんとしだけ仲良くなった、かな?

*******

「ねえ、稲本君。ちょっといいかな?」

「どうした?」

晝休みになり、夢野さんが機の前まで來たかと思えば、何やらもじもじしている。頬がほんのり赤い気がするが、もしかして……

「トイレは奧行って右だけど」

「あら、ありがとう……って、違うわよ!しかもトイレそっちじゃないし!」

どうやら、俺のジョークはお気に召さなかったようだ。殘念。でもこのリアクションは可いので、いずれまた使おう。

夢野さんは、周囲を窺うようにキョロキョロしてから、俺の左耳に顔を近づけてきた

「今日、アンタの家に行ってもいいかしら」

うわ、聲近っ!あと息が耳にかかってるし、なんか甘い香りが…………は?

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