《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 11

シャワーを浴びながら、尊敬してやまない香川教授の質問に滅茶苦茶な答えを返したにも関わらず俺が選ばれた理由は一何だったのだろうと思ってしまう。

大學の績などは楽々クリアする程度の點數を持ってはいたものの、そんなのはあの試験會場に集まった人達も皆同じレベルの點數の持ち主だろうし、醫學の本場でもあるアメリカの大學からの出願者も居たので、そっちを優先されそうな気がした。

まあ、醫局で親しくなったら先輩の誰かに聞いてみようと思いつつ、普段著に著替えてキッチンでコーラを飲んでいるとお母さんが攜帯で多分、父方の祖母らしき相手に嬉しそうに報告の最中だった。嫁と姑という――ドラマの中でも仲が悪い設定が多い――あまり良好とはいえない関係だが、今日は凄く仲が良さそうに話している。

親孝行が出來て本當に良かったなとシミジミと思ってしまう。

「今日の七時に例のレストランを予約したので、その積もりでいて頂戴」と満面の笑顔で言われて、頷いた。

子供の頃から行きつけのレストランだったけれども――ちなみに學のお祝いとか、誕生日などは全て老舗レストランに連れて行ってもらっている――今日の味は格別だろう。

本音を言えばミスドとかマックの方が好きだったし行きたかったが、こんなにも上機嫌なお母さんの気持ちに水を差す積もりは頭ない。

もしかしたら、棚にいっぱい並べたフィギアに祈った利益が有ったのかも知れないなと、一応禮を兼ねて綺麗に拭き始めた。

いつも以上にワクワクした気持ちで一のフィギアを綺麗に拭きながら鼻歌まで出てくる、アニソンの。

そして、父のクリニックを継ぎたくないわけではなかった。いずれは若先生としてこの醫院に戻ってくることも両親の願いの中にっていることも知っていた。

ただ、香川外科の、あのキラキラしたの中にる資格を得たことが凄く嬉しかったのも事実だった。

舊國立大學の研修醫が人間扱いされないということも――だから同級生達は市民病院とか私立の大きな病院に就職を決めていた――知ってはいたが、俺はどうせの子から人候補から大きく外れていることををもって思い知らされていたので気にならないような気がする。

それに。

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