《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 20
「一日目ですからね、まだまだ大目に見ている部分があります。ここだけの話しですが」
教授執務階は當然上層に位置している。だから各階に停まった後のエレベーターに乗っている人はまばらだった。
それでも田中先生は一人一人の顔を確かめるように見てから――こういうのが大學病院の処世なのだなと心に刻みつけておこうと思った。
「はい……」
田中先生はやっぱり優しい人なんだなぁと心の底から心してしまう。そしてこの人のことは信頼出來るなと直した。やっぱり、お兄さんが居たらこんなじなのだろう。要所要所ではこうして注意をしてくれるトコとか。
「特に救急救命室勤務となればその傾向は高くなります。ウチの醫局はそこまでナースの発言力はないのが現狀でして……」
「きゅ……」と言いかけて、それが田中先生の一存なのか、それとも教授直々のお言葉でも有ったのだろうか。
ただ、救急救命室に回される醫師というのは香川教授の高いお眼鏡に適った人だということになる。
「救急救命室ですか……オレ、いや私もそちらに行くことが出來るのですかっ!?」
心臓に疾患はないと普通の健康診斷よりも高い度で調べた上で病院勤務が許されたのだから確かだろうが、それでも悸がしてしまうし、咽もカラカラに乾いてしまった。
救急救命室の名ナースのことも聞いていたけれども、そういう人の元で働くのは良い経験になるだろう。お父さんも「若いうちの苦労は買ってでもしろ」とか言っていたし。
「その意向はお有りのようですよ」
オレの顔が輝いているのを逆に不思議そうに見て田中先生が凄く嬉しいことを言ってくれた。
「頑張りますので、どうかご指導、ご鞭撻をお願い致します」
田中先生が救急救命室でも期待の星と呼ばれていることも知っていたので、この人からたくさんのことを學べると思ったら嬉しさしかない。
「いえ、こちらこそ遠慮なくこき使いますので、頑張ってついて來て下さいね」
何だか園の中の珍獣を見るような目つきで見られてしまったが気にしないことにした。
「田中です。久米先生と共に參りました」
初めて足を踏みれた教授執務階は絨毯もフカフカで、何だか別の世界に踏み込んだような気がした。
田中先生は慣れたじで長い腳をかしていたので慌てて付いていく。コンパスの長さが異なるので仕方ないとはいえ、この早さに慣れるしかないだろう。
「どうぞ」
香川教授の凜とした聲が室から聞こえて來て、いよいよ挨拶だと思うとも心も更に引き締まる思いだった。
しかし。
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8 183クリフエッジシリーズ第四部:「激闘! ラスール軍港」
第1回HJネット小説大賞1次通過、第2回モーニングスター大賞 1次社長賞受賞作品の続編‼️ 宇宙暦四五一八年九月。 自由星系國家連合のヤシマに対して行われたゾンファ共和國の軍事行動は、アルビオン王國により失敗に終わった。クリフォードは砲艦の畫期的な運用方法を提案し、更に自らも戦場で活躍する。 しかし、彼が指揮する砲艦レディバードは會戦の最終盤、敵駆逐艦との激しい戦闘で大きな損傷を受け沈んだ。彼と乗組員たちは喪失感を味わいながらも、大きな達成感を胸にキャメロット星系に帰還する。 レディバードでの奮闘に対し、再び殊勲十字勲章を受勲したクリフォードは中佐に昇進し、新たな指揮艦を與えられた。 それは軽巡航艦デューク・オブ・エジンバラ5號(DOE5)だった。しかし、DOE5はただの軽巡航艦ではなかった。彼女はアルビオン王室専用艦であり、次期國王、エドワード王太子が乗る特別な艦だったのだ。 エドワードは王國軍の慰問のため飛び回る。その行き先は國內に留まらず、自由星系國家連合の國々も含まれていた。 しかし、そこには第三の大國スヴァローグ帝國の手が伸びていた……。 王太子専用艦の艦長になったクリフォードの活躍をお楽しみください。 クリフォード・C・コリングウッド:中佐、DOE5艦長、25歳 ハーバート・リーコック:少佐、同航法長、34歳 クリスティーナ・オハラ:大尉、同情報士、27歳 アルバート・パターソン:宙兵隊大尉、同宙兵隊隊長、26歳 ヒューイ・モリス:兵長、同艦長室従卒、38歳 サミュエル・ラングフォード:大尉、後に少佐、26歳 エドワード:王太子、37歳 レオナルド・マクレーン:元宙兵隊大佐、侍従武官、45歳 セオドール・パレンバーグ:王太子秘書官、37歳 カルロス・リックマン:中佐、強襲揚陸艦ロセスベイ艦長、37歳 シャーリーン・コベット:少佐、駆逐艦シレイピス艦長、36歳 イライザ・ラブレース:少佐、駆逐艦シャーク艦長、34歳 ヘレン・カルペッパー:少佐、駆逐艦スウィフト艦長、34歳 スヴァローグ帝國: アレクサンドル二十二世:スヴァローグ帝國皇帝、45歳 セルゲイ・アルダーノフ:少將、帝國外交団代表、34歳 ニカ・ドゥルノヴォ:大佐、軽巡航艦シポーラ艦長、39歳 シャーリア法國: サイード・スライマーン:少佐、ラスール軍港管制擔當官、35歳 ハキーム・ウスマーン:導師、52歳 アフマド・イルハーム:大將、ハディス要塞司令官、53歳
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